悪巧みを考える
アルト王子の誕生日まで、数日しかなく時間もない、お金も持ってない春は何をアルト王子にプレゼントするのか?その一方で、不穏な動きを始めるメルの思惑とは?
「アルト王子の誕生日パーティーが開かれるんですって!」
「まあ。もうそんな時期なのね」
「今年こそ、ファーストダンスに叶う、姫君か、レイジはいらっしゃるのかしら?」
誘拐事件が、一段落落ち着いた頃、侍女たちが、立ち話をしてるのを聞いてしまった春は、誘拐事件で、アルト王子に助けてもらったのに、お礼の1つも出来ていなかった。かといって、お金がある訳でもない。王族のプレゼント渡すとなると…。りんごみたいな果物を齧りながら、春は部屋に戻った。
「うーん。誕生日、何あげればいいのだろう。手芸は間に合わないし、かといって、ケーキとかそんなお菓子作ったことが、ない」
「アルト王子殿下は、春様の贈り物ならなんだって喜ぶと思いますよ」
「そうかな……って独り言、聞こえてた?」
ベッドの上で大の字になりながら、寝そべってた春が、飛び起きると、専属侍女のルミネが、部屋の掃除をしていた。アルト王子の誕生日パーティーまで、数日しかない中、悩む春。
貴族令嬢の一人娘、レミー·ミランダ公爵令嬢の元に一通の手紙が届いた。
「あら?何かしら?」
封を切り中身を読むと、レミー嬢がお父様の書斎に急いだ。
「お父様!お父様!」
「どうした!我が可愛い娘、レミーよ」
レミーの父、ジェムズが娘を抱きしめると何やら耳打ちをしていた。そしてその翌日、1人のメイドが、公爵家にやっできたのだった。
「その話は、本当であるのか?」
「はい。旦那様、彼女は聖女ではなくただの人間です」
「なのに、アルト王子殿下が、その人間一人に、やけに目をかけてるとは…よし、今すぐ手紙を書こう」
ソファーから立ち上がると、交流のある貴族全員に、手紙を送ったのだった。メルが、レミー令嬢の部屋へと向う。雇われたメルは、聖女ではないこと、アルト王子を独り占めしながら、今も王宮で贅沢三昧をして暮らしている話を聞くと椅子から立ち上がり、持っていた扇をへし折った。
「なんて、野蛮な人間!一度たりとも、殿下にお声すらかけてもらったことがないのに。許さないわ!」
そんなことが裏で起きてることも知らず、春は、王室の中でも、難しいハーベルト語を、侍女ルミネに習いアルト王子に手紙を書いてみようと、ハーベルト語の綴りを、練習する日が続いた。
……噂って怖いんだよ。




