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「俺はこれから別の街に行く予定だけど、レティスさんはどうする?」


「私もユウ様についていこうと思います。この1ヶ月で一緒にいた方が安全だと実感しましたし、未だに誰も到達できなかった【全智】を習得する瞬間がみれそうですしね」


「了解、それじゃあこれからもよろしくお願いいたします」


「ええ、こちらこそ。それで、つぎはどこへ向かうのですか?」


「ボルヤンに行く。おそらく新しい勇者がそこに現れると思うから、様子を見て仲間に誘おうかと」


「そんなことまで分かるんですね、さすが勇者様。どんな方なのでしょうね?楽しみです」



なぜ分かるのかはノーコメントで、そんな雑談をしながらボルヤン行きの馬車に乗る。


ボルヤンはフリーデン共和国にある小さな街だ。


ポイントオーバーをせずにペナルティが与えられることなく転移されたら、勇者は最初は必ずこの街に転移させられるのだ。


1ヶ月おきに新しい勇者が生まれるので、そろそろ来てもおかしくない。


俺には戦闘力がないから、気が合いそうなら仲間になってもらう方が助かる。



「ボルヤンに着いたらギルドで簡単な依頼を受けて稼がないと、旅費が心許なくなってきたな……」


「そういえばユウ様が戦っている姿を見たことないですが、戦えるのですか?」


「いや、実は戦う手段は持ってないんだ」


「そうなのですね。私は剣と弓と風魔法を扱えるので、簡単な討伐系なら私ひとりでも任せてください!」


「女の子に戦闘任せて安全圏にいるのは流石にちょっと、アレ、うん、だからな……【情報】を使って採取系をする予定だ」


「気を使ってくれてありがとうございます。【情報】があれば品質の良いものを判別できて報酬ボーナスが付きそうですしね」



雑談をしている間にも【物語】を確認する。


【物語】は現実世界で配信されているこの世界の小説を読むことができるスキルだ。


おそらく、俺が読者だったから付いた能力だ。


他の勇者は見所だらけなのに、俺の視点はひたすら図書館で読書する様子が1ヶ月もあって読者的には退屈だったろうなと我ながら思う。


新しい勇者が生まれたら物語が更新されるだろうから、いつ更新が来るかとそわそわしている。



「あ、見えてきましたよ!」



遠くに小さく街並みが見えてくる。


次はどんな人が勇者に選ばれるのか、楽しみでもあり怖くもある。



 

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