19
まだ薄暗い夜明け、なんとなく目が覚めて外の空気を吸いに行く。
「最初の1ヶ月が嘘のような濃い1日だったな……」
そして抱える爆弾がめちゃくちゃ増えた日でもある。
これからどうしていこうか進路を悩むくらいには。
「ユウ様、おはようございます。お早いのですね」
「起こしてしまったか?」
「いえ、私も早起きですのでご安心を」
「そうか」
無言のひとときが訪れる。
そんな俺たちの間に朝の冷たい風が吹く。
〖ユウ様はついに【情勢】まで辿り着いたのですね〗
〖なんでそれを……!?〗
【情勢】の次は【全智】になる。
そのための条件は不明だ。
そもそも【情勢】を持つ人間は俺を除いて、この世界で1人しかいないほど希少なスキルだからだ。
その価値は非常に高く、全人類、それどころか魔族も狙ってくるほど。
だから仲間にも隠し通そうと思ったのに、いったいいつバレたのか。
〖あの爆発から助けていただいたときです。あれは予兆のない爆発でした。それが分かったということはそういうことなんでしょうと〗
〖やっぱりレティスさんには隠し通せないか〗
さすが同じ探求者、どこまで見えてどこまで見えないかは知っているか。
〖その通り、俺のスキルは【情勢】まで進化した。しかし他の【情勢】持ちのように、行方をくらまして籠城することはできないから皆にも黙っていようと思っていた。不誠実で申し訳ない〗
〖謝らないでください。それは当たり前の判断だと私も思いますので〗
〖そう言ってもらえると少し気が晴れるよ〗
〖私は何度もユウ様に助けていただきました。だから私もユウ様を助けたいのです。貴方が戦えない分、私が戦ってお守りします。それを伝えたかったのです〗
〖ありがとう。でもレティスさんが大事なのは俺も同じだから、あまり無理はしないでくれ〗
〖ふふ、分かりました〗
日が昇り光が射し込んでくる。
朝の肌寒さが変わって日差しで少し暖かくなる。
ここまで思われていたのも、ここまで思っていたのも我ながらびっくりしている。
「結、レティスさん、おはよう。外にいたんだ」
「おはよう!皆早いんだね」
「おはようございます、ジョーさん、エアルさん」
「おはよう」
「これから朝ごはん作るからちょっと待っててね」
「ありがとう」
「でしたら手伝いますよ」
「本当!?助かるよ!」
前途多難な問題が山積みだが、この仲間たちと楽しく冒険を続けていけたらいいな。
そんなことを思った。