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途中戦闘を繰り返しながらも奥へ奥へと進み続ける。
すると、鮮やかな赤い花が咲き誇る花畑に遭遇した。
「これが依頼人の言っていた花か……」
「とても綺麗ですね!」
「さっそく摘んで帰ろうぜ!」
【情報】を使って品質を見ようとすると--
「待て!それに近付くな!」
「へ?」
錠が花畑に近付いた途端、赤い花は揺れ地面が盛り上がりウツボカズラのような大きな魔物が現れた。
錠はその瞬間に飲み込まれてしまった。
「ジョーさん!?」
「早く助けないと……!【情報】で見たところ消化器官の房は脆い部分がある、そこをマーキングするので風魔法で切り落とせないか!?」
「分かりました、やってみます!」
他の花も揺れ動き出して今にも出てきそうだ。
俺は急いで魔物の下へと駆け出す。
「いきますよ……!」
房は見事に切り落とされ、タイミングよく落ちてきた房を抱える。
中にはぬとぬとした消化液と錠が入っていた。
それを抱えたまま【脱兎】で素早く距離を取る。
「錠!大丈夫か!?」
「うへえ……なんか変な感触が纏わりついてるけどおかげさまでなんともない、ありがとう結」
「あの魔物こちらの方に来ようとしてます!」
どうやら移動速度は遅いようで、まだ距離を保てている。
しかし、他の群生している花も次から次へと顔を出してきた。
「あの魔物は頭にある花モドキが心臓だ!一気に焼き払えたらいいんだがそうはいかない。レティスさんの矢に炎を【付与】して心臓を狙えるだろうか!?」
「任せてください、弓は得意です!」
「了解、それじゃあ【付与】するぜ!」
「足は遅い、あの蔦に足を取られないように距離を保ちながら攻撃してくれ!」
その注文どおりにレティスさんは次から次へと出てくる魔物の頭を正確無比に撃ち抜き、数十分後には群生していたすべての魔物を燃やし尽くしていた。
「びっくりした……」
「まさかウツボカズラだったとはな……」
「次は【情報】で本物かどうかを判別してから近付かないといけませんね」
「そうだな……駆除ありがとう、レティスさん、錠」
「いいってことよ!」
「戦闘は私たちに任せてください」
良い仲間を持ったなとしみじみ心から感謝をしつつその場を離れた。