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そこには驚く内容が記されていた。
早く新しい勇者の元に急がねば……!
「レティスさん、新たな勇者が来ました!噴水広場です!急ぎましょう!」
「は、はい!」
向かうはこの街の中心にある噴水広場、勇者はそこに現れたという記述があった。
慌てて噴水広場へ行くとそこには--
「錠!」
「お、結!本当に存在したんだな!」
そう、友人である秋雨錠が次の勇者に選ばれていたのである。
次も読者が選ばれるんだろうなとは思っていたが、まさか身内とは……想像以上に読者が少ないのかもしれない。
「お前の代わり映えのしない日々、見てたぞ!」
「うるせぇ、これが最適解なんだよ!」
「ええと、ユウ様、こちらの方は……?」
錠と軽口たたきあっていると、困惑したようにレティスさんが話しかけてきた。
そうだしっかり紹介しないと。
「こいつは錠、俺の元々居た世界での友達であり新しい勇者だ」
「錠って言います、よろしくお願いします」
「ジョー様ですね、私はレティス・エヴィンと申します。よろしくお願いいたします」
「勇者の能力のひとつで、俺たちの事情は分かっているから信頼できる仲間になれると思う」
「なるほど?勇者の持つ力はどれほどなのか、探求したくなりますね……」
「まあ、立ち話もなんだ、どこか落ち着けるところでこれからのことを話し合おう」
そうして少し早い昼飯をとりに、食堂へと向かうのだった。
〖こっからは念のためエルフ語で会話するぞ〗
街の隅にあるこじんまりとした食堂は、昼前とはいえ客もまばらで人が少ないが用心した方がいい。
頼んだメニューが届き、誰からも注目をされないようになってから話し始める。
〖まずはそれぞれできることを言い合おう。俺は【情報】を使って品質の良し悪しを見分けたり、魔物の弱点をマーキングできたりする。後は【脱兎】を持っているからいざとなったら、レティスさんと錠を担いで逃げ出すこともできる。戦闘に関してはあまり期待しないでくれ〗
〖私は弓術と風魔法を得意としていて、剣術も嗜んでおります。強いと誇れる程ではありませんが、戦闘ならお任せください〗
〖自分は【剣聖】目指して【剣士】を習得しました。後は武器に属性を付与できる【付与】を習得したんで、魔物の属性に合わせて弱点を武器に付与したりできます〗
〖聞いた感じチームワークがうまく働けば、この街のギルド依頼はなんでもこなせそうだな〗
〖自分が選ばれた段階でお前と合流することを前提にビルドしたからな。感謝しろよ?〗
〖そうだな、できる幅が広がって本当に助かるよ〗
〖それでは昼食が終わったら、戦闘練習を兼ねて下級討伐依頼を受けに行きますか?〗
〖そうしよう〗
〖賛成!〗
〖新パーティー結成に乾杯!〗
〖〖乾杯!!〗〗