〜序章〜 主人公
社長「ちょっといい?」
「はい!今までゲームしてました」
社長「あ、そう」
という、人間が面倒くさくなったら使うランキング上位に入ってくる言葉を言われ、少し傷つく。
だって俺は社長にやってもいいと言われたからやっているのであって、許可が無かったら多分寝てたんだと思う。
「で、なんで呼んだの?」
社長「はあ、まあいいけど。君に頼みたい仕事があってね!」
「簡単な内容で報酬弾むならやるよ。」
まあ、どうせまた噂の元になった話の収集とかだろうがな。と思いつつ、この事務所はなんて汚いんだろう…と思った。何故なら全体的に埃が被っているからだ。というか、なんで使ってるのに埃が被ってるんだろう。
社長「今回は、、、、なんと、噂の元の話の収集だよ!」
「はあ、、いつもと同じじゃないか」
社長「まあ、そうだけど」
「ダルいけど報酬が弾むならやるよ」
社長「じぁあ、交渉成立ということで、依頼内容を話すね」
といい、社長は長々とこれから俺が受ける依頼内容を説明する。
そして社長の説明は終わる。
「話を要約すると、とある会社の屋上に遺体が大量に置いてあるっていう噂の話の収集をしろって事?」
社長「君、要約上手だね」
………社長は要約が下手なのだ。しかしこれを言うと、社長が悲しみそうだから辞めておく。ここは素直に感謝しよう。
「ありがとう、じゃあそろそろ出向くよ」
社長「最後に何か質問はある?」
「とある会社っていうのはどこか分かってないんだよな」
社長「いや、ある程度は分かっているよ」
何故、始めから教えてくれなかったんだろう。
「どこ?」
社長「大体、ここらへん」
「え!近所⁉じゃあなんで俺はその噂を知らなかったの⁉」
俺は驚きながら質問を投げかける。
社長「そうだね、それは君が近所付き合いしてないからじゃない?」
と、少し気まずそうに言った。
「あ、そっか」
という、なんとも簡単な理由なのであった。
「じゃあ、いっつも通りやってくるよ」
社長「いってらっしゃ〜い!」
と、社長に見送られながらそこから出ていくのであった。
そして事務所から出た俺が真っ先に向かった場所は、、
「やっぱ公園っていいよな〜」
そう。公園であった。なぜなら、聞き込みをするには、気持ちを落ち着かせなければならないからだ。
不審者「君、こんなところでとうしたの?」
今の俺の格好は、聞き込みをするのに怪しまれないように女性用の服を着ている。ちなみに、声も女性の声に近づける事が出来る。だから、俺の独り言と容姿で女性だと判断したのだろう。
「今、お父さんと待ち合わせしてるんだ!」
と、幼女の声でいう。何故このセリフを言ったかというと、この手の不審者は、大体が誘拐目的か、ただ心配したかなのだが、このセリフは、どちらも対応出来る魔法の言葉だからだ。
何故なら大人が来ると面倒なことになるし、もしそのまま誘拐すると、お父さんが警報に相談しに行くかもしれない、という可能性が生まれるからだ。誘拐犯もリコウだ。警察には敵わないと言うことをよく知っている。
不審者「そうなんだ~、、良かった」
と言いながら去っていくその姿を見て、これはただ心配だったパターンだ。俺はこれまでも、依頼をうけたら、この格好で行動している。だからこれまでも結構不審者から絡まれているから経験でわかるのだ。
何故そんな面倒な事をしているかと言うと、本当の俺と、女姿の俺の、2つの顔が出来るからだ。だから女姿の方が憎まれても、俺には実害は無いわけだ。というのも、噂の元を探して、広げると言うのは、噂の元を作った人が生きていたり、その遺族から恨まれることが多々あるのだ。そんな危ない仕事だから俺は多額の報酬を貰って居るのである。
そんなこんなで、公園で寝泊まりして3日経った。そして事務所に戻り、真実を伝える覚悟と、俺の考えを実現する覚悟が出来たから、事務所に戻る。
「社長」
社長「おお、速いね!」
「これから、真実を話そう」
社長「急にどうしたの?」
「俺は聞き込み調査をしていないけど、その噂の元の話を知ってた。この事が指している事は社長が一番知ってるだろ」
社長「………まさか、この噂は本当で、」
「大正解、だとしたら何処にあると思う?」
社長「まさか……ここの屋上?」
と、社長は青ざめながら質問を投げかけてくる。
「違う、ここの左隣の大きなオフィスだ。ちなみに、今教えてやったのは、冥土の土産だ」
と俺は言い放つ。そして目の前に居るそいつに俺の持っているハンカチを押し当て、眠らせ、担いで車の助手席に運び込み、爆速でとあるホテルへ向かう。
そして、そのまま目的地に着き、社長を降ろして、トランクケースに入れ、そのままカウンターで鍵を受け取り、指定の部屋に鍵を使って入る。
??「どうだった?」
「思い出したよ。全てを、完全に」
??「その記憶が本物だという根拠の回収をしに行ったらどうだい?」
「そうだね。そうするよ」
と言い、俺はホテルを出て記憶を頼りに………
いや、制限が掛かっている記憶を頼りに、
馴染み深い場所へ向かう。それは偽物だけど、それを知っていても、俺はそこへ迷わずに向かう。
「懐かしいな」
と言い、俺はそこにある偽物の記憶の回収をするために、もう一人の、この世界の俺を殺しにかかる。