エピソード12:時を越えた絆
感動の最終話!
過去からのメッセージ!叙事詩“時を超えた伝説”
過去と未来 新たな冒険へ!
蒼真は自分の成長と友情を振り返る。
一行は心のこもったひとときを共有し、絆を讃える。
倉壮は新たな冒険をほのめかし、未来の物語への扉を開く。
【変わらぬ日常】
陽気な春のやわらな光が降り注ぐ。
蒼真は広いレンゲ田の中に仰向けになっている。
ひんやりと冷たい感触が頬に伝わる。
レンゲの甘い花をちぎって、蜜をなめてみる。
小学生の頃の自分を思い出す。
見覚えのある山々の風景が見えた。
「やっぱり、現代に戻ったんだ・・・」
改めてそう思った。
自宅にたどり着くと、壁一面に咲いたツルバラ。
深みのあるビロードのような濃い赤色で大輪のウルメールムンスターや、ピンクで中輪だが一面を覆い尽くすアンジェラ。バフ色で落ち着いた雰囲気のバタースコッチ・・・見事なツルバラが目に飛び込んできた。
じいちゃんが丹精込めて育てているバラだ。
立ち止まって、思わず見入ってしまう蒼真。
ミホが蒼真に気づく。
「蒼真?!何処行ってた?遅かったな」
「ただいま。帰ったよ!」
「じいちゃんも待っとる」
随分と時間が経ったような気がするが、日付はあの日のままだ。
普通に下校した時と同じような会話が続く。
自宅で飼っているキジ三毛ネコの「大吉」が足にまとわりついてきた。
「大吉」は大変珍しい三毛ネコの雄だ。人馴れしている。
ミホ「大吉も喜んどるね」
笑いながらネコを見ている。
「無事に帰ってこられて、ホント助かったよ。ありがとう、じいちゃん、ばあちゃん」
「急に何?変なこと言ってる。学校から帰ってきたばっかりで」
当たり前の日常風景だ。
「当たり前が一番たい!
人間、ついつい欲が出てしまうけど、当たり前に生活できることが一番・・・」
祖父の「いつもの口癖だ」と言って、笑ってうなずく。
良かった。帰って来られて。
2人を見て、蒼真は改めてそう感じた。
「そう言えば、ウチの家系図ってある?
昔の時代に行ってさ、うちのおばあちゃんそっくりなばあさんに会ったんだよね」
「蒼真今、何と言った?昔の時代に行ったとか?...」
寛とミホは目を丸くし、互いを見て驚いている。
「だから、そっくりなばあさんに会ったって...」
「変なこという子だね。
でも実は、私と同じ名前の人が確か16代前にいるんだよ。
家系図を見た時、不思議だなと、思ってはいたけど。ねえ、じいさん」
「うちに伝わる古文書の中に、不思議なことが書いてある条があってな。
何のことやら分からず、これまで異聞とされ代々、門外不出とされてきたものじゃ」
寛は古い桐の小箱から古文書を取り出し、読んで聞かせる。
「それによると、『未来から来たという若者に勇気と力を与えた』とある。
そこに出てくる人物がミホという人物じゃ。
その人に会ったのか?信じられんが、夢でも見たんじゃないのか?」
寛たちはまだ俄には信じられないという顔をしている。
蒼真は、はっと驚き、つぶやく。
「やっぱり、あのおばあちゃんはうちの先祖様だったんだ...」
「今の時代の、私たちを先祖様が守ってくれとるんじゃのう」
蒼真もミホを見てうなずいた。
「お腹すいたろう?あんたの好きなタカナの油炒めあるよ!チャーハン作ろか?」
「いや、ちょっと出かける!」
チャリで急いで出て行く。
「相変わらず!変わらん」
寛とミホが笑っている。
【再会】
高校側のコンビニ前、蒼真が店内を見回していると、陽翔が急いで入ってくる。
陽翔は苦笑いしながら、
包帯をしている顔に疲れが見えるが、強がっている様子。
「大丈夫か?」
「なんでもないよ。ただ、ちょっとアクションが激しかっただけさ」
蒼真は心配そうに尋ねたが、陽翔は無理やり笑いながら答えた。
「よかったー。大事にならなくて済んだ」
蒼真は、ほっとした表情で、現代に無事帰還したことに改めて安堵する。
「おっ、新しいフィギュア!スペシャルくじ引いてみようぜ」
「蒼真、やめとけって。1回目で1等賞当たったからって、そんなに毎回当たるわけないだろ」
「そりゃそうだな」
笑いながら二人はガラスケースを見ている。
そんな下校時の、日常風景が戻っていた。
「みんなどこにいるんだろう?豚骨ラーメン屋、行ってみる?」
蒼真は気分を変えて誘う。
ラーメン屋の店内に入ると、店長が元気に迎えてくれた。
「おお、蒼真!陽翔も一緒だな!どうした?みんな集まってくれるか?」
「他のメンバーは?」
「まだだな。でも、待ってるよ!」
店長は苦笑いしながら答える。
楽人が店内にやってくる。
「やっぱりここに来てたか。腹へった!」
蒼真は心配そうに聞く。
「花音はどうしてるかな?」
「さぁな。でも、心配するな。大丈夫だろう」
「ちょっと外に出てくる。みんなはラーメンを楽しんで、待っててくれ」
蒼真は急いで店を出てチャリで去っていく。
楽人はにやりと笑いながらつぶやく。
「蒼真と花音ちゃん、仲良くやってるな。うらやましいぜ」
店内は笑い声と会話で賑やかになる。
東シナ海が一望できる岬。
蒼真は高台の端で、花音を見つける。
彼女は風に煽られながら、海を見つめていた。彼女の姿は、強風によってほとんど飲み込まれそうになっている。
「やっぱりここだったか...」
蒼真は心配に駆られ、急いで駆け寄る。強い風と雨に顔を打たれながら、彼は息を切らして花音に近づく。
「花音!」
彼の声は風にかき消されそうになる。
花音はゆっくりと振り向き、涙を流しながら・・・
「蒼真、私、もう...」
彼女の声は震え、言葉を続けるのがやっとのようだ。
突然、彼女は泣き崩れた。
「もう限界かと思ったよ。だって、めっちゃキツいことになってたし...」
「俺は平気だよ!花音は大丈夫?」
蒼真の胸に飛び込む。優しく花音を抱きしめた。
花音の頬の傷を心配そうに手でそっと触った。
花音はしゃくりあげながら泣く。
そっと、抱きかかえる蒼真。
「ほんと、心配したんだから...」
泣きながら蒼真の胸を何度もたたく。
「おれもだ」
「こんなに心配してくれるの、蒼真だけだよ...」
蒼真は少し照れながらも、花音を抱きしめ続ける。
花音は彼の胸に顔を埋めたまま、少しおどけたように言った。
「でも、蒼真、ずっと私の隣にいてくれる?」
蒼真は微笑みながら、しっかりと答えた。
「もちろんだよ、花音。どんな時も、ずっとそばにいるから。」
花音はその言葉を聞いて、安心したように涙を拭い、蒼真の胸にさらに深く抱きついた。
花音の涙を手でそっと拭い、ぎゅっと抱きしめ、頬にそっとキスをする。
二人は雨の中、強く抱きしめ合いながら、未来への希望を感じていた。
雨が彼らの顔と涙を優しく洗い流す。
春雷が鳴り響き、一瞬の光が二人を照らす。
その光の中で、彼らの絆はさらに深まり、彼らは互いに支え合う決意を新たにする。
この瞬間、彼らの周りの世界は消え去り、ただ二人だけが存在するかのような感覚に包まれる。
荒れ狂う天気とは裏腹に、彼らの心は一つになり、互いの強さを信じ合っていた。
【過去と未来 次なるミッション】
高校の部室で蒼真が史実を解明した証拠史料の古文書を改めて見ながら、これまでの冒険を振り返る。
「えっ、マジで!? これ、何書いてあるんだ!?」
蒼真が突然、声を上げた。
「これ、俺たちがあの時に体験した戦いじゃなくね?!」
「そうだよねー!」
陽翔も同様に驚く。
宣教師が本国へ送った報告書には、あの戦いの様子が叙事詩として描かれていた。
「叙事詩:志岐の港で天使たちの神秘的な出来事」
日本国の京より下の地方で起きたデウスの摂理の恵み深い神秘的な出来事について。
好天に恵まれ、南蛮船が口之津の港から志岐の港へと進む際、これまで穏やかだった海が突如としてその姿を変えた。
海面は突如として荒れ狂い、古の怒りを呼び覚ますかのような激しい波が船を襲い始める。
空は暗く沈み、突然の強風が船の帆を容赦なく打ち、海水は横殴りの雨と共に船員たちを激しく襲う。
全てが急変し、船は嵐の中心へと引き込まれ、狂ったように揺れ動く。
船員たちは必死に舵を取り、船を守ろうと奮闘していたが、船は遭難寸前の危機的状況に陥っていた。
志岐の港では船の到着を待つ若者らとその従者らが心配し、見守る中、一人の若者が天に向かって祈りを捧げた。
その最中、天が割れるような雷鳴が轟き、絶望的な状況の中で一筋の光が海へと射し込む。
天空からは、光輝く四人の天使が静かに降り立ち、彼らはその手を海に向かって広げた。
天使たちの周囲からは、柔らかく強力な光が放たれ、嵐の中心でさえもその光は減じることなく、荒れ狂う波を次第に鎮めていった。
天使たちの存在は、嵐を穏やかな風に変え、荒波は静かな波紋へと変わり、天空は再び明るい光に包まれる。
船員たちは救われたことを知り、天を仰ぎながら感謝の祈りを捧げた。
南蛮船は再び志岐の港へと安全に向かうことができるようになり、天使たちは静かに天へと昇っていった。
この驚異の光景に立ち会った船長と船員たちは、天使たちの神秘的な力と海の猛威を目の当たりにし、その日の出来事が語り継がれる伝説となった。
船は無事に港に到着し、船員たちの心には深い感謝と共に、この奇跡の物語が永遠に刻まれるのだった。
「叙事詩:封印を解く章。白い馬に乗った貴者が勝利と平和をもたらす」
再び、悪魔が遣わした巨大な魔法の守護者が現れ、無辜の民を襲いかかった。
その瞬間、一人の若者が特別な呪文を唱えた。
すると、光輝く中から白い馬に騎乗した勇士が降臨し、魔法の束縛を解き放った。
白馬は雷鳴のごとく大地を蹴り、戦場を颯爽と駆け巡る。
一直線に突進するその馬の背から、勇士は次々と矢を放つ。その矢は風を裂き、魔法の守護者や邪悪な侍たちを正確無比に射抜いた。
勇士の矢が的を射るたび、敵は光の粉へと変わり、消え去るその様は、美しくも悲壮な舞踏の如し。
空はその光景を見守り、時の流れさえもその勇姿に畏怖した。
と記す。
さらに、
「叙事詩:大天使ジュエルが加勢し、神の民の勝利の章」
再び、悪魔が邪悪な魔法を使って地上に襲いかかる。
空が赤く染まり、恐るべき7つの頭を持つ巨大な悪魔、赤龍が地上に降り立った。
その各頭からは火炎と煙火が噴き出し、その怒りが天地を揺るがし、無辜の民に対して恐怖の攻撃を仕掛けた。
そのとき、一人の若者が再び、特別な呪文を唱え、封印を解いた。
すると天から神聖な光が降り注ぎ、大天使ジュエルと無数の天使たちが現れた。
ジュエルは輝く槍を手に、赤龍の中央の頭目に向かって勇敢に一直線に飛び込んだ。
空中での戦いは激しく、ジュエルの槍が赤龍の頭を突き刺し、その威力で空はさらに震えた。
他の天使たちは弓矢や剣を振るい、赤龍の他の頭たちに対して熾烈な攻撃を加えた。
天からは無数の火球が降り注ぎ、赤龍を焼き尽くすように襲い掛かり、その炎の中で大天使ジュエルと天使たちの助けを借り、赤龍は遂に退けられ、この最終戦争において若者や民らは勝利を収めた。
天地は再び平和を取り戻し、若者らの英雄的な戦いは永遠に語り継がれることとなった。
と、詳細に描写されていた。
あの時出会った宣教師とその一行の中に、各地を巡察中だった位の高いプロクラドール(宣教師)がいて、報告書を記述する時に、蒼真たちの戦いの様子を叙事詩“時を超えた奇蹟”として記録していたのだった。
先生の倉壮とナミエが入ってくる。
蒼真を見て無言でうなずく倉壮とナミエ。
「歴史論争も見事に、解決してくれてありがとう。よくやった!」
「ほんと。ひどく怪我してるけど、大丈夫?」
蒼真が古文書の記録を倉壮とナミエに見せて興奮しながら話す。
「マジで、俺たちが経験したことがここに書かれてるんだ!
タイムスリップした時のことが...」
倉壮「タイムスリップ?まさか、そんな訳ないだろ?」
と、古文書に目をやり、笑って信じようとしない。
「これ、きっと俺たちだけが理解できることだよ...」
陽翔はそう言って蒼真を見た。
仲間たちもうなずく。
花音が突然、思い出した様にスマホを見る。
「みんなでセルフィーした写真が確か、スマホに...」
(回想)
「みんなでセルフィー撮ろう!」
「いいね!」
「この瞬間を絶対忘れたくない」
花音が言って、宣教師や仲間たちと一緒にスマホでパシャリ。
花音はスマホの写真ホルダーを確認する。
「あった!」
と言った瞬間、写真が陽炎のように消えていく。
「えっ、なんで?!」
と、みんなが驚く。
花音は驚きながらみんなを見回し、戸惑いの表情を浮かべる。
「プリントしておけばよかったなぁ」
と悔しそうに呟く。
蒼真は花音の肩に手を置き、優しく言う。
「大丈夫だよ、みんなの心にはちゃんと残ってるからさ。この瞬間も、僕たちの絆も」
花音はその言葉に少し安心し、涙ぐみながら微笑む。
「そうだね、ありがとう、蒼真」
その瞬間、彼らの絆がより一層強くなったことを感じた。
写真は消えてしまっても、その思い出は永遠に心に刻まれた。
そこに倉壮が突然だけど、と言って話しだす。
「調査から帰ったばかりで、なんだけど。
実はまだ未解決の、歴史上の問題があってねぇ。
それにチャレンジしてみないか?実は・・・」
「えっ!今度は何ですか?」
驚き、興味を示す蒼真。
「おれの出身の王系大学に推薦してやるから!やってみなさい」
「本当ですかぁ?あの超有名な・・・」
思いがけない話にびっくりする4人。
時が過ぎ、あたりはすでに薄暗くなっている。
【フラッシュバック】
蒼真は仲間たちと困難を乗り越え、絆を深めてきた感動的なシーンがフラッシュバックする。
そこには寛とミホ、倉壮とナミエが彼らを見守る姿があった。
寝汗をかき、ひどくうなされる蒼真。
「もう頑張れないよ!!」
突然、大声を出し、目が覚める。
はっとして起き上がる。
「夢か・・・」
【新たな冒険へ】
高台に蒼真と仲間たちの姿がある。
60年以上も続いた歴史論争と、それにまつわる財宝伝説。
その謎を解き、大冒険を終えた蒼真たち。
「数千億円もの莫大な金銀財宝って結局...」
蒼真は考え込みながら祖父の言葉が浮かんできてつぶやく。
「人って、どうしても欲深くなりがちだけど、当たり前の生活が一番なんだね」
蒼真は感心しながら仲間たちに話す。
みんなもうなずく。
「でも、もし何か金目のものがあったら…」
「あんたって本当にさ...」
花音は楽人に呆れたように返す。
笑いながら、みんなは佇んでいる。
遠くで見守る倉壮とナミエ。
「君たちならきっとまた、新たな偉業を成し遂げるだろう」
倉壮は言いながら隣のナミエに目を向ける。
ナミエもその言葉にうなずき、新たな冒険や未来への期待を胸に秘める。
西の久保のため池では、謎の文字が刻まれた石が蒼真たちの一挙手一投足に反応し、湖底で鈍く金色の光を放ち始めていた。
まるで次なる冒険への扉を開くかのように静かにその存在を主張していた。
彼らの物語は終わることなく、この石が示す未知なる誘いにより、再び幕を開けようとしている。
この静寂の中にも、未来へ続く道がひっそりと照らされている。
【空の彼方】
東シナ海の広大な水平線に沈む夕日が、金色に輝く海を照らしている。
その美しい景色の中で、蒼真と花音は小高い丘の上に立ち、静かに過去の冒険を振り返っていた。
「あの冒険の日々が、俺たちをここまで連れてきたんだね」
「ほんと、信じられないくらいのことがたくさんあったけど、全部乗り越えられたのは蒼真がいたからだよ」
蒼真は感慨深く、遠くを見つめながら、彼らが共に乗り越えてきた試練を思い出していた。
花音は彼に微笑みかけ、彼女の目は感謝と愛で輝いている。
島の遠景。先には大きな海原が広がる。
夕日に染まる空と融合し、幻想的な景色を創り出している。
南蛮船が、遠い空を飛んでいる。
船は大きな帆と翼を広げ、夕焼けの中を飛ぶ鳥のように優雅に滑空している。
蒼真はその光景を見つめながら、
「花音、あれ見て!
南蛮船が!
これはきっと過去からのメッセージのようだね」
蒼真が驚いて、つぶやく。
南蛮船は彼らの過去の冒険と繋がり、新たな未来への架け橋のようにも感じられた。
やがて、南蛮船は空の彼方へと消え去る。
船が残した小さな雲が夕焼けに映えていた。
「どこへ行くんだろうね、あの船は」
「未来へ、きっと!」
花音がつぶやくと蒼真は手を取り、彼女に答えた。
二人は手を握りしめ、夕日が海に沈む美しい瞬間を共に見つめながら、これからの日々に希望を抱いて佇んでいた。
彼らの絆と未来への期待を象徴するかのように二人は岬に立ち尽くしていた。
(終わり)
music:TheFatRat - Warrior Song (DOTA 2 Music Pack)
★シーズンⅠ 最終話まで読んでいただき、大変ありがとうございました!
★続編シーズンⅡ 間もなく公開!
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