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砂は水の夢を見る

閑話 神使、受難の夜

作者: 遠部右喬

 柔らかな光に満ちた神界を、一匹の大きな犬が闊歩している。光沢のある深い茶色の短毛と堂々とした身ごなしは威厳に満ち、筋肉質の締まった胴から伸びる長い四肢は、彼が優秀な狩手だと伺わせるに十分だ。

 茶犬は足を止め、ふと鼻面を上向けた。気儘にも用心深くも見える仕草で空を嗅ぎ、納得がいったのか軽く身体を一揺すりすると、またゆったりと歩き出す。それから数歩も行かず茶犬が再び立ち止まり、天を仰いだ。

 茶犬の視線の先で、大きく羽を広げた鷲が螺旋を描き乍ら、徐々に高度を下げる。鷲はヨルダの頭上近くまで降りてくると一つ羽ばたき、瞬きの間で鷲頭人身に姿を変えた。

「やあヨルダ殿、丁度いい所に。今、仕事中かね?」

 親し気に片手を挙げて立っていたのは、伝令係の神アドラだ。ヨルダと呼ばれた茶犬も、挨拶代わりに尻尾をゆるゆると振る。

「日課の見回り中だ。それより、我に何か用事だろうか?」

 ヨルダは光の神チョウキの眷属、神使であり、神であるアドラとは立場も歳も違うのだが、まだ肉体があった頃の彼等の出身地は近く、食性も似ていたりと、共通の話題に事欠かない。まだ神界暮らしが浅いヨルダにとって、アドラは親しいと言える数少ない友神の一柱だ。

 鷲頭の神は少し迷う様に小さく左右を見回し、嘴を開いた。

「ふむ、用事と言っていいのか……君、今夜の予定はもう決まっているかね? もし予定がないなら、ひとつ吾輩に付き合ってくれんか?」

 ほんの僅かな間、ヨルダは考えた。私的に誘われるのは初めてのことだったが、アドラは普段から良識のある、どちらかと言うと思慮深い質だ。主のチョウキの様に、全身で面倒に突っ込んでいく様なことは無いだろう。

 とすれば、これは親交を深める良い機会だ。ヨルダは頷いた。

「貴殿の誘いなら是非もない。ご一緒させて貰おう」

「おお、そうか! では、月明かりの影が最も短くなる刻限に、街の門の前で待ち合わせでよいかね? 吾輩の行き付けの店に案内しよう」

「承知した」

 ヨルダの返事にアドラは安堵の息を吐き、思い出したように付け加える。

「そうだ、毛並みは整えておいてくれたまえよ。まあ、君はいつも身綺麗にしているから、余計な忠告だとは思うが」

「うん? もしや、身形に規定のある店なのか?」

 アドラが笑って首を振った。

「いやいや、気楽な店さ。ただ、お嬢さん方はそういったことを気にするかもしれないのでな」

「お嬢さん? 何方かお連れが居るのか?」

 ヨルダは首を傾げると、アドラがもじもじとし始めた。

「連れと言うか、実はその、気になっているお嬢さんが居るんだが、この前、思い切って声を掛けてみたのだよ……」

 以前から気になっていた娘を誘ったはいいが、二神きりで会うにはまだ互いに気恥ずかしく、互いの友達も誘おうということになったらしい。

「どうか吾輩を助けると思って、今更断ったりはしないでくれよ? 朋友の中で、君が一番女性の扱いを心得ていそうなんだ」

 アドラに目で縋られ、ヨルダはこっそり溜息を吐いた。

「……無論、断ったりなどしないとも。貴殿の恋路に、我が役立つとは思えんが」

「ありがたい! では今夜、待っているぞ」

 アドラは文字通り飛び上がると鷲の姿に戻り、そのまま飛び去った。

 ご機嫌で遠ざかっていく鷲を見送りながら、ヨルダは今度こそ盛大な溜息を吐いた。

(面倒な予感しかしないのは何故だ……いや、我は同席するだけだ、言わばついでの存在、何が起きるということもなかろう。過ぎた用心は視野を狭めるというものだ)

 首を一振りしたヨルダは、見回りを続ける為に歩き出した。だがその夜、彼は、野生の勘が実に優秀な感覚だと言うことを実感することになる。


***


「そろそろ来る頃ではないか?」

 ヨルダは店の入り口に向けて伸ばしていた首を戻すと、隣でちびちびと神酒を舐めるアドラに話しかけた。

「む、そうだな、うん」

 そわそわと杯をこねくり回し空返事をするアドラの腕に、ヨルダは軽く鼻面を当てた。

「少し落ち着かれよ。女性と親しくするのは初めてでも無かろう?」

「いや、その、実は吾輩、これまで一度も(つがい)を得たことが無いのだよ……」

「なんと。だが、貴殿も以前は肉体があったのだろう?」

 ヨルダは少し驚いた。過酷な環境で暮らす生き物は早熟な傾向にある。砂漠で生まれ育ったアドラの体格なら、番が居てもおかしく無い年齢だと思っていたからだ。

 アドラは肩を落とした。

「それが、求婚を受けてくれた相手には悉く先立たれてしまって、共に巣作りするまで至ったことが無いのだ……」

 ヨルダが以前に聞いた話では、アドラの種族は雄が求婚時に一本の小枝を咥えて雌に差し出し、それを雌が受け取るのが承諾の合図で、その小枝は巣作りの最初の一本に使われるということだった。そういった習性で、求婚を承諾されたにも拘らず巣作りを経験してないなら、何らかの事情で目の前で番を亡くしているということだろう。

「済まぬ。事情も知らず、軽々しく口にしてしまった」

「其れはよいのだ、気にしないでくれたまえ。君も知っての通り、そもそもがああいう環境だ、悲しくはあったが、よくある事とは言わないまでも納得はしていた。ただ、何度かそんな事が続いたせいで、吾輩、当時は『縁起が悪い男』と女性から避けられまくってなぁ……」

(そのような過去があれば、臆病にもなろう。そのアドラ殿の心を射止めたのは、どんな女性だろうか)

 遠い目をしているアドラに、ヨルダは心から同情すると同時に、これから姿を現す筈の女性に興味が湧いた。

「お相手はどのような方なのだ? まだ何も伺ってなかったな」

「ああ、彼女は……」

「お待たせー。ごめーん、身支度に時間かかっちゃった」

 卓のすぐ脇から聞こえた声に、すっかり話し込んでいたヨルダとアドラが顔を上げた。鷲頭人身の華奢な女神が腰を屈め、顏の脇で両手を小さく振っている。話し方といい仕草といい、如何にも今時の若い娘だ。

(この娘御がアドラ殿のお相手なのか?)

 色々な意味で予想外な相手の登場に、ヨルダが耳をぴくぴくとさせた。

「待ってなどおらんよ、ジャウィちゃん」

「そか、良かったぁ」

「しかし、驚いた。何時もと随分違う格好だから、誰だか判らなかったよ」

 アドラがジャウィの背後に目を遣り、首を傾げた。

「おや? エルクルカちゃんは一緒じゃないのかね?」

「居るよ。ほらぁ、挨拶挨拶」

「ちーす」

 ヨルダの耳がまたぴくぴくと動いた。ジャウィの膝裏からひょこっと姿を現したのは、真っ赤な毛並みを波打たせた、垂れ耳の小さな犬だった。


***


 女性陣の分の神酒が卓に運ばれ、乾杯を済ますと、早速アドラが彼女達にヨルダを紹介した。

「以前、吾輩の話に出たのでお二方はもうご存じだろうが、改めてご紹介しよう。こちらがヨルダ殿、チョウキ殿の神使をされている」

 知ってる知ってるぅと楽しそうに頷く女性陣に、ヨルダが会釈した。

「お初にお目にかかる、ご紹介頂いたヨルダと申す。以後、お見知り置きを」

「チョー真面目じゃん」

「チョウキ様の神使だもん、やっぱ真面目じゃないと務まらないんじゃない?」

「あー、成程ね、逆にね」

(何が『逆にね』なのだろうか。今時の若者の言う事はよく解らぬ)

 顔に出さない乍らも困惑するヨルダに、鷲頭の女神が名乗る。

「あたしはジャウィ、大気の神やってて、大地の色んな環境を守る仕事してんの。で、こっちはエルクルカ。エルは熱を扱う精霊なんだよ」

「ウチ、ジャウィと契約してんの。ずっ友なんだー」

 「ねーっ」と楽しそうに互いを見交わす女性陣の言葉に、ヨルダの困惑は更に深まる。

(『ズットモ』とは一体……何やら禍々しい響きにも聞こえるが……いかん、このような場で考え事など、皆が白けてしまうではないか)

 向かいの席のエルクルカに「どしたの?」と問われ、ヨルダが慌てて話題を探す。

「ああ、うむ、ジャウィ殿のその姿は、もしやアドラ殿と似たご出自ということなのだろうか?」

 アドラやジャウィが答えるより早く、エルクルカが「イヒヒヒヒ」と悪戯っぽく笑って答えた。

「違うよ。ジャウィは温暖地域の大気の精霊出身で、決まった姿は無いの。普段から小鳥っぽい姿は取ってるけど、今日のこれは、アドっちに合わせてんだよねー」

「ちょっ、ば、何言ってんの? 違うし、偶には変化(へんげ)しないと、やり方忘れそうだと思っただけだし。エルだっていつもは小鳥の姿なのに、態々犬になってんじゃん」

「ウチはそっちの顔ぶれに合わせただけだもん。ここに来るまでずーっと、『どっか変じゃない? イケてる?』って心配したりなんてしてないもん」

 慌てて友の口を塞ごうと伸ばしたジャウィの腕を器用に躱し、エルクルカはアドラに水を向けた。

「いいじゃん、別に。折角頑張ってお洒落して来たんだし、ちゃんとアドっちに見て貰いなよ。ね、今日のジャウィ、チョーイケてない? マジでカワイイよね」

 羽毛から覗くジャウィの首元が真っ赤になっている。ヨルダがちらりと横を見ると、ジャウィ以上に首元を真っ赤にしたアドラが俯き卓にのの字を書き乍ら呟いた。

「うむ、その、実に美しいと思う」

「あ、えっと、ありがと……」

 真っ赤になってもじもじする二柱の微笑ましい姿に、ヨルダは胸の内で頷く。

(初々しいものだ、互いに想い合ってるのは明白ではないか。アドラ殿は早々に求婚するべきだな。それにしても、エルクルカ殿は何と言うか独特だな。アドラ殿が『アドっち』ならば、我は……)

「ヨルダんって、やっぱチョウキ様の家に一緒に住んでるの?」

(そうきたか)

 ヨルダはエルクルカの言葉遣いに、こっそり苦笑いした。

(言葉遣いはあれだが、彼女なりに場を持たせようという気遣いは感じられる。明るい、気の良い娘御なのだろう)

 小柄なエルクルカは卓に両前足を載せ、見上げる様にしてヨルダに顔を向けている。垂れた耳を覆う真っ赤に波打つ艶やかな長い毛並みと、ヨルダを映す丸い茶色の瞳は中々に可愛らしい。

 黙って自分を見詰めるヨルダに、エルクルカがむくれた声を上げた。

「ちょっとヨルダん、聞いてる?」

「ああ済まぬ、聞いておる。貴殿が可愛らしくてつい見惚れていたのだ、許されよ。先の問いの答えだが、主殿の敷地で暮らしているが、塒は別……ん、どうされた?」

 皆に注視され、ヨルダは首を捻った。

「……普通、そんな当たり前~みたいな顔して、そゆこと言う? もしかして、エルの事口説いてる?」

 ジャウィの言葉に、ヨルダはきょとんとした。

「我は何かおかしなことを言っただろうか」

「君、やはり結構女性を泣かせてきてるんじゃないか?」

「女性を泣かせるような振る舞いをした覚えはない」

 きっぱりとした答えに、エルクルカが尻尾をぱたぱたと振った。

「可愛いって言ってくれてありがとだけど、さっき言ったじゃん、今日はこの姿にしただけ。ジャウィと一緒で、ウチに決まった姿なんて無いんだよ」

 ヨルダは己の言動を振り返った。そして、どうやらエルクルカを「可愛らしい」と言ったことが問題だったのだろうと判断した。

(見目だけを指していると思われたのやもしれぬ。やれ、言葉が足りなかったか)

「誤解しないで頂きたい、何も貴殿の姿だけを愛らしいと言った訳では無かったのだ。性根というものは身形だけではなく、振る舞い、言葉、表情、匂い、全てに表れるものだからな」

 卓が静まり返った。

(む、何故だか場が盛り下がってしまったぞ。こういう場合はどうすれば……)

 ヨルダが神酒を舐めつつ考えを巡らせていると、突然エルクルカが噴き出した。

「あはははは、ウチ、こんな褒められたの初めてかも! 照れ通り越して、何か笑える。ヨルダんって面白いね。言葉遣いはおっさんくさいけど」

「我は事実を口にし……いや、誰がおっさんか」

 日頃から言動が年寄りくさいと言われることを気にしているヨルダが、目を剥いて突っ込む。その表情が余程可笑しかったのか、エルクルカは爆笑し、アドラとジャウィも噴き出した。

「そんなイカツい格好と喋りで、もしかして天然系?」

「君は存外機知に富んでいるんだな。吾輩も、今後は親しみを込めて『ヨルダん』と呼ばせて貰うとしよう」

「うむ、ごめん被る」

 ヨルダの真顔での答えに、また笑いが起こる。場が和み、神酒の効果も相まって、次第にヨルダも楽しくなってきた。

 すっかり打ち解け、よもやま話に花を咲かせれば、楽しい時間はどんどんと過ぎて行く。

(偶にはこういった場も悪くない。今度はフウガ達と来てみるか……いや、あやつ等は、何かしらの面倒事を起しかねんな。それよりも、だ)

 今夜の目的は、アドラとジャウィの親睦をより深めることだ。どうやって彼等を二柱きりにしようかとヨルダが思案し始めた時、エルクルカが卓に手を突きぐーっと背伸びした。

「やば。もう、いい時間じゃん」

 ぱたぱたと尻尾を振るエルクルカの言葉に、ヨルダがすかさず乗った。

「名残惜しいが、あまり長々と淑女達の時を奪っては申し訳ない。我がエルクルカ殿をお送り致すので、アドラ殿はジャウィ殿を住まいまで送って差し上げては如何か」

「えっ、いいよ、悪いし。大丈夫、一人で帰れるって……」

 ジャウィが慌てて首を振る。その首が真っ赤なのは、勿論神酒に酔っているせいだけではない。突然訪れた時節に動揺するアドラの尻を、こっそりとヨルダの尻尾が叩く。

(アドラ殿、ここが正念場だ。機を逃すのは愚者の行いぞ)

 意を決したアドラが小さく頷き、ジャウィに向き直った。

「いや、送らせてくれ、その……だ、だだだ大事な話があるのだよ……」

(よく言った!)

 胸の内で快哉を叫んだヨルダが向かいの席に目を向けると、エルクルカも激しく尻尾を振り、目を輝かせて鼻息を荒くしていた。

 

***


 会計を済ませ、店の前でアドラとジャウィを見送ったヨルダとエルクルカは、互いに顔を見合わせた。

「貴殿は機を見るに敏だな。上手く切り出してくれた」

「イヒヒヒヒ。だってさ、どうせ両想いなんだしもう早くくっつけよーって、ウチずっとイーッてしてたんだから」

 イーッと歯を剥いたエルクルカに、ヨルダは笑って頷いた。

「どちらも恋に慎重なのだろう。似合いの二柱ではないか。結果は聞くまでも無かろうが、次回アドラ殿と顔を合わせるのが楽しみだ」

「そだね。じゃ、ウチももう帰るわ。またねー、ヨルダん」

「うむ、お送りいたそう」

 エルクルカは困った様に首を振った。

「気持ちだけでいいよ。ヨルダんに迷惑だからさ」

「迷惑などとは思わぬが」

 そう答え乍ら、ヨルダはエルクルカの言葉に微かな違和感を覚えた。気遣いから断るのであれば、普通は「迷惑だから」ではなく「面倒をかけてしまう」という言葉を使うだろう。

 ヨルダが口を開きかけた時、上空から男の声が響いた。

「エルちゃぁぁーん!」

 首を傾げ夜空を見上げるヨルダの隣で、エルクルカが肩を落とした。

「あー、やっぱ来ちゃった……ゴメン、もう遅いかも」

「うっ」

 空から吹き下ろす激しい熱風に、顔を背けたヨルダの髭が震える。

(エルクルカ殿の知り合いか? にしても、ずいぶんと荒々しい)

 意思を感じる風に、ヨルダが自然と警戒態勢に入る。

 神界の気候は常に穏やかで、多くが起伏の少ない開けた土地ということもあり、熱風が吹き下ろすことなど滅多に無い。まして、皮膚感覚が鈍いヨルダが激しく()()したのであれば、それは現象を司る神や精霊の強い意志の表れということであり、その思惑が好意か悪意に満ちたものかは、当事者に聞くまで分からない。

「エルちゃーん、エールーちゃーん!」

 再び聞こえてきた声に、エルクルカが答えた。

「ここだよ、お父さん!」

 次の瞬間、ごうっと渦巻いた熱風がヨルダの全身を嬲り、身体を陽炎の様に揺らめかせた鳳が彼等の前に舞い降りた。

(エルクルカ殿の父君とな。しかし、一体何事か?)

 警戒を解いたヨルダと裏腹に、頭を低くして威嚇の姿勢を取ったエルクルカが鳳に唸った。

「もー、ウチ、もう子供じゃないんだから! 今日はジャウィ達と飲んでくるから、ちょっと帰りは遅くなるって言っておいたじゃん」

「でも、お父さん心配で……あれ、ジャウィちゃんはどこに居るんだい? お父さん、ご挨拶したいんだけどな。それにこいつ、おっと、こちらの男性は何方だい? 見たことない(つら)、失礼、お会いしたことないな。もしかして、エルちゃんが犬の姿になってることと、何か関係があるのかな?」

「ジャウィならアドっちと帰ったよ」

 わざとらしく左右に首を巡らす鳳に、エルクルカは歯を剥いた。

「ヨルダんはアドっちの友達で、ウチ等とは今日会ったばっかだもん、お父さんが知ってる訳ないじゃん。この姿は、ジャウィとアドっちと何時もの姿のウチじゃ、今日の飲み会は鳥ばっかになっちゃうじゃん、ヨルダんの居心地が悪いかと思って合わせただけ」

「そうなんだ、エルちゃんは気が利くね」

 うんうんと頷く鳳に、ヨルダが挨拶をした……いや、しようとした。

「お初にお目にかかる、エルクルカ殿の御父上……」

「あ? 見ず知らずの輩が御父上呼ばわりとは、どういう了見だ?」

 鳳から放たれる熱が急激に温度を上げた。周囲の空気が揺らめき、巻き起こった風に鳳の冠羽がゆらゆらと揺れる。

 ヨルダは悟った。これは、面倒臭い案件だ。

「……貴殿の名を存じ上げぬ故、失礼した。我はヨルダと申す。名をお聞かせ願えまいか」

「名乗る義理は無いね」

「お父さんの名前、バーシャって言うの。熱風の精霊なんだ。それよりお父さん、ヨルダんに嫌なこと言うのやめてよ。ゴメンねヨルダん、お父さんが意地悪して」

 エルクルカに睨まれ、バーシャが首を振る。

「あぁん、エルちゃん、何で教えちゃうの? それに、意地悪なんてしてないよぉ」

 父親からすれば、誰にでも懐っこい娘が悪い男に引っかからないか心配なのだろう。かつては群れの長だったヨルダにも、その気持ちは分からなくは無い。せめて己に邪な想いが無いことを伝えるべく、出来る限り穏やかに頭を下げた。

「今宵の宴席で、エルクルカ嬢と知り合う機を得た。以後、お見知り置き……」

「はぁ? お見知り置く必要がある程の知り合いなんですかねぇ?」

 言葉は多少丁寧になっても、機嫌が悪いのを隠すつもりはないらしい。バーシャは羽を広げ、ヨルダを見下ろすように顎を上げた。

(こういう場合は、どう答えても気に召さんだろう)

 無駄と思いつつ、ヨルダは正直に答えた。

「知り合って間もないので、何とも。だが、エルクルカ殿さえよければ、今後とも良き友人として付き合えたらと思う」

「付き合う? 今日知り合ったばかりで、とんだ助平野郎じゃねーか」

「いや、あくまで良き友として……」

 ヨルダの言葉をエルクルカが引き継ぐ。

「そうだよ。それにヨルダん、おっさんじゃん」

「いや、誰がおっさんか」

「おやおや君達、随分と息が合ってるみたいダネェ……」

 バーシャの足元から熱風が吹き上がり、衝撃で周囲の建物が激しく揺れる。と、ヨルダ達が先程まで飲んでいた店の引き戸ががらりと開き、困り顔をした店主が顔を覗かせた。

「悪いが、他所でやってもらっていいか? 聞いてる分には面白いんだけど、他のお客さん達が出入り出来ないからさ」

 店主の背後では、酔客達が興味深げに彼等の遣り取りを伺っている。

「迷惑かけてゴメンなさい、もう行きます……ヨルダん、行こう」

 店主に頭を下げ、エルクルカは走り出した。ヨルダとバーシャも店主に非礼を詫び、慌ててエルクルカの後を追う。

 保護者が現れた以上、ヨルダがエルクルカを送り届ける必要は既に無いのだが、まだきちんと別れの挨拶も交わしていない。そろそろ、塒でゆっくりしたい気持ちもある。だが、子を案ずる親心も理解出来るし、過保護な親に窮屈さを感じる子の気持ちも解る。何より、今後彼等と仕事を共にすることは無いと断言出来ない以上、このままなあなあで済ませてしまうと、いざという際に業務に支障をきたすかもしれない……つまり、自分はもう少しこの親子に付き合う必要がありそうだという結論に達し、ヨルダは覚悟を決めた。

「エルちゃん、どこ行くんだい?」

「もー、お父さんは付いてこないで!」

 ヨルダの視線の先で、エルクルカとバーシャが言い合いをしている。鳳が旋回しながら小さな犬を追っている図は、傍から見ればそれなりに微笑ましい。

(常にあれでは、エルクルカ殿は友を作るのも容易ではなかろう。仲の良い親子なのは間違いないのだろうが……)

 気付けばもう街外れだ。付かず離れず親子の後ろを走っていたヨルダが速度を上げ、彼等の前に回り込んだ。

「バーシャ殿、エルクルカ殿、止まられよ」

 足を止めたエルクルカとヨルダの間に、バーシャが舞い降りる。

 ヨルダはエルクルカに訊ねた。

「何処か行きたい所があるのだろうか? であれば、喜んでお供いたそう」

「ううん、別に無い……」

「じゃあ、もう帰ろう。こんな堅苦しくて、むっつり助平なおっさんは放っておいてさ」

 項垂れていたエルクルカはバーシャの言葉を聞き、背中の毛を逆立てた。

「ヨルダんに酷いこと言うのやめてよ! そりゃ、ヨルダんはおっさんかもしれないけど、むっつりなんかじゃない……かどうかは知らないけど、多分、ちゃんとした良いおっさんなんだから」

(断言してくれて構わんのだぞ、エルクルカ殿。それにしても、今日だけで何度おっさんと呼ばれたか……)

 精霊親子の言葉に萎えかける気持ちを切り替え、ヨルダはエルクルカに改めて訊ねた。

「まだ知り合ったばかりではあるが、我は貴殿の良き友となれればと思う。そこに疚しい気持ちなど無い。如何だろうか?」

「フツーに、もう友達だと思ってた」

 あっさりと頷く赤犬に頷き返し、ヨルダはバーシャに顔を向けた。

「バーシャ殿、お聞きの通りエルクルカ殿と我は友であり、貴殿の危惧する様な関係では無い」

「誰が信用するか。男なんて皆、最初はそう言うんですぅー」

 バーシャの頑なな態度に、ヨルダは溜息を吐いた。

「では、どうすれば認めていただけるのか?」

「認めねえって言ってんだよ、気付け……とは言え、純真なエルちゃんは貴様を良い奴だと思ってるみたいだし、そうだな、貴様が一つでも僕に勝ってる所があると証明出来るなら、いざという時のエルちゃんの盾として認めないことも無いようなあるような」

(結局どっちなのだ、それは)

 隣で「お父さんが何て言っても、もう友達だもん」「でも、お友達はちゃんと選ばないとネ」と言い争う精霊の親子を眺めていたヨルダが提案した。

「では、駆け比べなど如何だろうか? もし我が勝ったらエルクルカ殿の友として認めて頂く、負けたら今後顔見知り以上の関係になることは無いと誓う」

 バーシャが鼻で嗤った。

「熱風の精霊の僕と、速さで競おうってのか? 犬如きが勝てる訳ないだろ。もっと貴様の得意な事を選んで構わないぜ」

「我は奇跡を起こすに必要な力は持ち合わせておらぬ故、もとよりこの身一つで出来ることで勝負するよりない。とは言え、淑女の前でよい大人がステゴロというのも配慮が無かろう」

 ヨルダの提案に、バーシャは少しの間考え、鷹揚に頷いた。

「なら、僕も犬の姿になってやろうか」

「日頃の姿で競ってこそ、互いに納得がいこう。ただし、勝負の規定と順路は我に決めさせて頂く。よろしいか?」

「まあいいだろう。で?」

「まず、我の背から頭四つ分より高い所を飛ぶのは控えて頂こうか。我の背より低く飛ぶのも同様だ。一直線に終点を目指すのも無しだ、あくまで我の決めた順路の上を飛んで頂く。エルクルカ殿は、終点で勝負の判定を頼む」

 エルクルカは何とも言えない顔で首を傾げる。

「別に良いけど、これってウチの事取り合ってるみたいじゃない? ヤバ、恥ずい。でもウチ、年下の弟系が好みなんだよね」

「我にもそのような心算は毛頭無いので、安心召されよ。では、エルクルカ殿はこちらに来てくれ」

 ヨルダはエルクルカを伴い、緩やかにうねる道を街の外へと歩き出した。


***


 街外れの門に止まっていたバーシャは、思いの外時間を掛けて戻ったヨルダに「ふん」を鼻を鳴らしはしたものの、それ以上文句を言う事も無く、大人しく順路の説明に耳を傾けた。

「単純に居住区手前まで道なりに行くだけか。僕にはそんな距離は瞬きの間だ、例え小細工をした処で結果は変わらないぜ」

 自信満々のバーシャを挑発する様に、茶犬は小さく笑った。

「我も光の神の眷属、速さにはそれなりの自負はある。見くびって頂いては困るな。さ、ご準備は良いか、では……」

 ヨルダが天を仰ぎ、吠えた。それを皮切りに、一匹と一羽が恐ろしい程の速さで飛び出した。

 飛び立って直ぐ、バーシャはヨルダの周到さに気付くことになった。

(くそ、直線じゃないから飛び辛いな)

 左右にくねる道に思うように速度を出せず、それを見越したヨルダの策に、バーシャは苛立った。速さで熱風の精霊である己に敵う相手はそうは居ない、と高を括っていた。にも拘らず、音も無く駆けるヨルダを振り切ることが出来ないどころか、己の方が劣勢ですらあるのだ。

 矢よりも速く走るヨルダに、バーシャは舌を巻いた。

(光の神の眷属って言ってたな。あいつ、チョウキ様の身内か。成程……言うだけはある)

 だが、もうすぐ分かれ道に差し掛かる。そうなれば居住区への道はほぼ直線、空を行く己に有利だ。バーシャは翼に力を込めた。

 分かれ道には、ヨルダが先に到達した。殆ど速度を落とすことなく右折し、それまで以上に速度を上げる神使に羽音が迫る。

 やがて、道の先にエルクルカが小さく見えてきた。尻尾を振る彼女と、猛然と行く一匹と一羽との距離は見る間に縮まり、エルクルカが待つ場まで残りあと僅かという所で、とうとう茶犬と鳳の影が重なった。

(罠でもあるかと思って用心してたが何もない、拍子抜けだ。よし、まだ余力はある、勝負は僕の勝ちだ。まあ、犬にしちゃ健闘した方だったな)

 勝利を確信したバーシャが翼に最後の力を込めた。

「お先……おわー!」

 眼下のヨルダに向け発したバーシャの言葉が、途中で悲鳴に変わった。何故か地表近くまで急下降した鳳は、次の瞬間上空へと舞い上がり、そのまま空中をぐるぐると回転し始めた。その間に、ヨルダがエルクルカの脇を風の様に通り過ぎ、徐々に足を緩めると、エルクルカの元に引き返し荒い息のまま宣言した。

「我の勝ちだな」

「凄ーい! 本当に勝っちゃったね」

 ヨルダは目を丸くするエルクルカに頷いて見せた。

「中々危うい処であった。エルクルカ殿のお陰だな……もうそろそろ、よいのではないか?」

 未だぐるぐると上下するバーシャは、「あーれー!」と悲鳴を上げ続けていた。


***


「フザケンナ。あんな勝負無しだ、無し」

 ぷりぷりとする鳳に、茶犬はわざとらしく溜息を吐いた。

「問題でもあっただろうか。我はまっとうな勝負をしたと思うが」

「なぁにが『まっとう』だ。エルちゃんに余計な入れ知恵をしただろうが」

「入れ知恵などしておらぬ。ただ、御父上に成長を見せることも大事だと進言したまでだ」

 ヨルダを睨むバーシャに向かって、エルクルカが鼻をクーン、と鳴らした。

「ヨルダんはウチの背中を押しただけだよ。ウチが、自分の判断でやったの。ちょっとやりすぎちゃったけど」


 ヨルダがエルクルカを伴い、勝負の順路を歩いていた時のこと。

 振り返ったエルクルカの目に、道の左右に茂った丈高い野草の間からバーシャの姿が見え隠れする。とことこと歩くエルクルカが顔を正面に戻し、不満を漏らした。

「ヨルダんとはもう友達なんだから、お父さんがの言う事なんて気にしなくていいのに」

 二匹は分かれ道に差し掛かった。左へ折れれば湖やなだらかな稜線を描く山々へ、右ならば居住区へと伸びる道を、ヨルダ達は右に折れた。丈高い野草に覆われ蛇行する小道から、平原の中を真っ直ぐ伸びる道へと風景が変わる。彼等は、何とはなしに頭上に広がる星空を見上げた。

「我もそう思う」

「でしょ? じゃあ……」

「だが、バーシャ殿の気持ちも解る。誰よりも一番近くで見守ってこられただろう大切な娘御が、成長し、己の手を離れ世界を広げてゆく姿は、嬉しく思うと同時に寂しくもあるのだろう。手を放すべきと分かっていても、心は中々納得ゆかぬものよ」

 己も嘗て覚えた感情だなと胸の裡で呟き、ヨルダは苦笑いした。そんなヨルダを余所に、エルクルカがイーッと歯を剥く。

「けどさ、ヨルダんが負けたら、ウチらもう友達じゃなくなるって約束でしょ? そんなの変だよ。友達って、そんな軽いもんなの?」

「負けるつもりは無い」

「お父さん、めっちゃ速いんだよ。伊達に熱風の精霊やってないんだから」

 そんなに上手くいくかなぁ、と呟くエルクルカに、ヨルダは全く別の事を問うた。

「エルクルカ殿の実力をバーシャ殿にお見せする機会は、これまでにあったのだろうか?」

「何、急に。あー、でも、そう言えばそんなのした事無いや」

「成程、では、近々お見せすると良い。例えば、我が貴殿から離れたらすぐ、とかな」

 ヨルダの言いたいことに気付き、エルクルカが目を丸くした。

「え、ズルしろってこと? 意外、ヨルダんて、お堅くてそういうの嫌がるカンジかと思ってた」

 本当に意外だったらしく、エルクルカの声に咎めるような響きは無い。ヨルダはにやりと笑った。

「ズルとは聞こえが悪い、知己を得る度にこれでは、エルクルカ殿も困ろうと思うてな。子供扱いを止めて欲しいならば、己の世界を築けるだけの実力を示すのが一番だ。その結果、エルクルカ殿は過干渉が減る、バーシャ殿は子の成長を実感出来る、我は雑言に対する意趣返しが出来る。誰にも損はない」

 エルクルカが悪戯っぽく笑い返した。

「イヒヒヒ、ヨルダんも案外悪よのぅ。でも、どうやって?」

「エルクルカ殿は熱の精霊とのことだが、熱ならば、どんな温度でも扱えるのだろうか?」

「まあね……ああ、そゆこと? でも、ヨルダんは平気なの?」

「そゆこと、だ。我の事は気にせず置いてくれ。さて、この辺りでよかろうか。我の遠吠えが合図だ、後はよしなに」

「任せてちょ」

 ヨルダが来た道を引き返し始めてから、エルクルカは、バーシャの飛行経路のやや上の大気の一点を急速に冷やし続けた。下へと流れ落ちる冷えた大気は空中で見えない幕となり、落ちた冷気は地表を這う様に四方に伸びてゆく。その冷気の幕に、何も知らない熱風の精霊は勢いよく飛び込んだのだ。

 バーシャは流れ落ちる冷気の勢いに飲み込まれ、抗う間もなく地表に吹き下ろされた。そのまま地面に激突するかと思われた鳳を受け止めた地表の冷気は、熱風が本来向かう筈の上空へと勢いを殺すことなくバーシャを跳ね上げ、今度は熱風に巻き上げられる事になった冷気が再び地に落ち、変則的な気流が生まれた。

 その結果、空中をぐるぐると回転することになった鳳は、決勝線を越えることすら出来なかったのだ。


 エルクルカとヨルダの間で交わされた会話を知り、バーシャは溜息を吐いた。

「危ない目に合わせてゴメンね、お父さん。でも、ウチはもう大人だって、分かって欲しかったんだ」

 幼いままだと思っていた娘の表情が、いつの間にか大人のそれになっていることにようやく気付いたバーシャは、動揺する胸中を隠し、エルクルカに優しく頷いて見せた。

「大丈夫だよ。エルちゃんもいつの間にかそんな技を使えるようになってたんだね、お父さん驚いたよ。もう立派な大人だ……それより貴様だ、僕が気流にのまれないとは考えなかったのか? 何で貴様はあの気流の中を真っ直ぐに走れた? やっぱり、神の祝福を受けてるんだろう?」

 やはりどこか悔し気なバーシャに、ヨルダは笑った。

「いや、我は単純にそういう体質なのだ。それに、貴殿の冠羽が風に揺れているのを見ていたからな、上手くいくと確信していた」

 肉体を失って久しいヨルダは、他の感覚に比べて触覚が弱い。単なる自然現象としての風であれば殆ど感じることはなく、受ける影響も少ない。神界のような魂に特化した場であれば多少感度は上がるが、それでも他の感覚に比べて弱いことに変わりは無い。だからこそ、こんな策を実行出来たのだ。

(あの規定は全部、僕に策がばれない為のものだったのか……ふん、まあ、勝負は勝負だ、負けを認めてやるよ)

 熱風の精霊に走りで勝負を挑む根性といい、思いの外柔軟な考え方をする処といい、バーシャのヨルダに対する評価は、出会いの当初から幾分か変化していた。

「ヨルダ君、君はあの、あれだ、まあ僕の娘の、友達……ってことみたいだから、これからも影に日向にエルちゃんに尽くし、時には身を挺して彼女を守ってくれても構わないよ」

「そんなの、ちっとも友達じゃないじゃん」

 エルクルカにイーッと歯を剥かれ、バーシャは羽を広げ天を仰いだ。

「分かった分かった、僕が悪かった。これまでの大人気ない態度を詫びるよ。ヨルダん、悪かった。これからもエルちゃんと仲良くしてやってくれ」

「ヨルダんの言った通りだったね、ウチも頑張って良かった!」

 晴れ晴れとした精霊親子に、困惑を隠しきれないヨルダが呟いた。

「ありがたい言葉だが、バーシャ殿まで『ヨルダん』とは……我とて、神界に来てから百年以上になるのに、その呼ばわれ方は……」

 ヨルダの言葉にバーシャの目が剣呑な光を帯びる。

「百年、だと?」

「なぁんだ、ヨルダん、ウチの半分位の歳なんじゃん」

 あっけらかんとしたエルクルカの言葉に、ヨルダは己の失言を悟った。

「エルちゃんは年下好み……貴様、やっぱり……」

「いや、誤解だ、そのような心算は……」

「そうだよ、年下なら何でもいいって訳じゃないんだからね。魂がおっさんは論外だって」

「いや、誰がおっさんか」

「君達、随分と息が合ってるみたいダネェ……そこのでけぇ犬、ちょっとおじさんとお話ししようか」

 聞き覚えのある遣り取りに、思わず天を仰ぐヨルダの瞳にいつもと同じ平和で美しい星空が映る。


(……夜明けは遠そうだな……)


 まだまだ塒に帰れそうもないことを悟り、神使の犬は溜息を吐いた。

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