ゆいこのトライアングルレッスンM【ゆいこ×ひろしの両片思い】〜すれ違う、お見舞いの帰り道〜
『ゆいこのトライアングルレッスンM』に投稿したものです!
毎日レッスン!
いつもと変わらない帰り道。
ゆいこと、たくみと、俺の3人。
ゆいこが真ん中で、たくみと俺が両隣。
それは、あの塾の帰りから変わらない。
ゆいこは、たくみとよく話す。
それは俺と話す時よりも自然で、俺の話なんかより楽しそうで、俺はそんなゆいこの横顔をチラリと見つめている。
ゆいこは、きっと、たくみのことが好きだ。
× × ×
いつもと変わらない帰り道。
たくみが、楽しい話をして、わたしを笑わせてくれる。
ひろしは、わたし達の話にはまるで興味がなさそうで、時折こちらをチラリと見ては、「ああ、そうだな」と、気のない相槌を打つ。
いつからだろう。
ひろしを意識するあまり、わたしは会話の仕方が分からなくなってしまった。
正直、ここにたくみがいてくれないと、気まずくて、どうしていいのか分からない。
× × ×
珍しく、たくみが風邪をひいた。
お見舞いに、ゆいこと向かう。
「それで、たくみがさぁ〜」
2人きりになると、ゆいこは決まってたくみの話を楽しそうにする。
俺がいない時、ゆいこは俺の話をしてくれるのだろうか?
それとも……
「ゆいこって、たくみのこと好きだよな」
本音が口から漏れてしまった。
「ええ!? ち、違うよ! そんなわけないじゃない!!」
ゆいこが明らかに動揺している。
図星だったのだろう。
ああ、言わなきゃよかった。
「ハクション!」
「たくみ、具合はどう?」
「お前ら、俺の噂でもしてたろ? なになに? 仲良くカップルでお見舞いなんか来ちゃってさぁ」
「はっ? カップル? どこがよ! まだ熱でもあるんじゃないの? じっとしてなさいよね!」
ゆいこが、強引にたくみの額に手を置いた。
看病すると距離が縮まるってのは、こういうことか。
俺は何を見せられてんだ。
「おい、バカ、風邪うつったらどうすんだよ!」
俺は、まるでこの2人の恋を邪魔してる奴みたいだ。
× × ×
お見舞いの帰り道、会話が続かず、ひろしと無言の時間が続く。
今、『寒くて私も風邪ひいちゃうから、手を繋ごう』って言ったら、ひろしはどんな顔をするのかな?
険しい顔で、断るのかな?
ああ、ひろしがわたしのこと好きだったらいいのに……。
× × ×
明日になったら、ゆいこの反対隣にはたくみが戻ってくるだろう。
こうしていられるのは、きっと今だけ。
さっきから、ゆいこの視線をすごく感じている。
寒そうにするあの手を、繋いでポケットに入れたら、俺の心もあたたまりそうだ。
ああ、ゆいこが俺のこと好きだったらいいのに……。
明日は、ゆいこ×たくみの両片思い!
『アラサーおさげの相合傘編』をお届けしますっ!!