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第4話 二つの手が育てるものと旋律は

 第4話 二つの手が育てるものと旋律は


 朝の学校にピアノの音が鳴り響く

「リツ、ピアノ調子はどうだ?」

「イク兄さん最近は学校も物騒になったから気を付けてね」

 音楽室の前で話すのは双子の兄弟であるショウとイク。

 リツは高校生ながらピアノでコンクールに入賞している天才ピアニストで、

 イクは落ち着いている風貌の学生で学校の園芸部に所属しているが、研究熱心で新品種の育成こう配や絶滅危惧種の保護で論文を出して有名になっているのです。

 

 兄弟の会話をこっそりのぞき見して

「クスクスクス。次の私の標的なのに暢気よね、そう思いませんノゾム君、カケル君」

 人形を抱えながら少女はつぶやく

 少女が持つ人形はそれぞれ足と目がリアルな人形で人形にノゾム君・カケル君と話しかけているのです。

「足だけではなく手も欲しいわね」


私はミナ高校生の女子です。

私は恋をしています。

 でも私はコウジ君に告白する勇気がない引っ込み思案な女の子です。

でも最近は瞳がきれいな男の子、フィールドを駆け抜けるのがカッコいい男の子とコミュニケーションが取れるようになりました。

 いつかコウジ君に告白できるようになりたいわ。


 放課後学校の中庭で

 鋏を持ち不要な枝を切り、水をやりレポートをつける少年を教室から見守り

「頭がいい男子もいいわねえ」

 それにしてもイク君私と同じようにお花が好きなんだ、趣味が合う男の子って共感できるかあ。 イク君と双子のソウ君も近くにいるといい音楽を弾いてくれるから好きなんです。


ある日イクは中庭で園芸部の活動のために花にはさみを入れていると、不意に長い黒髪の和人形のような少女に話しかけられたのでした。

 剪定で枝引きした鬼灯(ほおずき)の花をつまんで

「綺麗な花ね」

 整った顔立ちの少女に話しかけられ

「でも僕はこの鬼灯の花あんまり好きじゃないけどね、花言葉が偽りで昔は堕胎剤に使われていたから」

「赤いちょうちんがぶら下がったような姿が愛らしいのに」

「花言葉とか聞くと女の子は引くのに珍しいね君」

「欺瞞に満ちた私にピッタリだと思うのに」

 ミナが静かに鬼灯の花を人形の髪に挿すと背筋が冷たくなるほど赤い花が似合っていたのです。

「私人形が好きなの、お人形を飾るのに鬼灯の花をくださいな」

 静かな声でつぶやくように言い

 手入で切った花を持って行ったのでした。

 イクはしばらく唖然としていたが再び植物の手入を再開したのでした。


「クスクスクス。鬼灯の花、綺麗よね」

 ミナは家に帰り自分の部屋で鬼灯の花を花瓶に生け始めたのでした。

「偽り、欺瞞、ごまかしそれがこの花の花言葉なのに、あなたたちは私に誤魔化しなんてしないでね」

 そっと不気味な目をする人形と、)不気味な足を持つ人形に口づけをしたのでした。

 新しい人形にポケットから取り出した髪を人形の服の中に入れ、部屋の中の五芒星の魔方陣の中に静かに置くと。

「イク君、あなたは欺瞞に満ちたこの世界をどう思うかな」

 クスクス笑いながらつぶやいたのでした。


 イクとソウの家で

「イク兄さんどうしたんだ?干からびた鬼灯の花なんか花瓶にさして」

「干からびた?俺は普通の鬼灯を花瓶に指しているけど」

「干からびているぞそれ」

 そうに言われて花瓶を見ると赤茶色に干からびてボロボロの鬼灯がさしてあるのでした。

「おかしいな、挿すときは綺麗に咲いているのを挿したつもりだったんだけど」

「イクでも植物を取り間違えるんだ」


「イク兄さん、D組にミナって女の子がいるの知っているか?」

「ミナって子がどうしたんだ?」

「最近すごく綺麗になったって評判なんだ」

「どんな子なの?」

「長い黒髪で和人形のようなきれいな女の子なんだ」

 ふとイクは部活の時間に逢った少女のことを思い出したのだ。

 ソウの方も話ながらピアノの椅子に座り指を動かし始めたのだ。

 部屋の中に旋律が流れ


「リツ月光、好きなんだね」

「ああ、ベートーベンがこの曲を弾くとき可能な限り繊細にって指示しているくらいだからな」

 荘厳な曲が流れている部屋の中を

 ガシャーンとガラスが割れる音が響いたのです。


 流石にびっくりしてリツとソウも音がした方を振り向いたのでした。

 すると割れた窓から不気味な人形が入り込んできたのです。

 人の等身大で目の部分から血を流し人の眼球がはめ込まれ、足の部分は人の足が付いた不気味な人形が……。

あまりの不気味さにふたりは後ずさるのですが

「こんばんは。いい夜ですね」

 混乱している二人を横に黒いワンピースを着た少女が話しかけてきた。


「ミナさん! どうしてここに」

 ミナは部屋の中を這う人形を背にクスクス笑い

「あなたたちの手をもらいに来ました」

 ゾッとする笑顔でふたりに告げたのでした。

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