第1話 人形姫ミナ
第1話 人形姫ミナ
私はミナ高校生の女子です。
私は恋をしています。
相手はクラスメイトで明るい誰とでも打ち解けられる少年コウジ君です。
でも私はコウジ君に告白する勇気がない引っ込み思案な女の子です。
ああ、コウジ君は格好いい私に告白する勇気があれば、でもコウジくんはモテるからほかの人が好きなのかもしれない、告白が失敗して振られるのが怖い。
家に帰って隠し撮りしたコウジ君の写真を眺めながら趣味の裁縫で私はコウジ君人形をを作っていたのです。
コウジ君がデフォルメになって可愛い、でも本物には及ばないのが悲しいわ。
私はベッドに入りコウジ君人形に語りかけた。
「今日もコウジ君格好いいわね」
「ミナちゃんも可愛いよ」
「本当うれしい」
「ミナちゃん今度僕と一緒に動物園に行かない?」
「じゃあ来週の日曜日に駅の広場の前に7時半に待ち合わせね」
そっと人形に口づけをするミナ
コウジ君とつぶやきながら静かに寝息を立てるミナでした。
ミナは人形に語り掛けるのを2年間続けていたのです。
しかし人形はものである。
毎地にのように愛でていれば……。
ポロっとコウジ君人形の目が取れてしまったのです。
「コウジ君目大丈夫?」
「ダメみたい、暗くて見えないよ」
「心配しないで治してあげるから」
刺繍で直してはいたのですがボロボロになると限界が来るのも早いのです。
ただ人形を愛でているだけだったらよかったのですが、
告白する勇気がない、でも本人に振り向いてほしいその願望から
ミナは黒魔術の本を読み始めていて人形を怪しげな儀式日課っていたのでした。
時を同じくして学校で男子生徒たちの会話
「コウジ、お前顔色悪くないか?」
「何さ最近目が見えなくなってきたんだよ」
「それは眼科言った方がいいんじゃない?」
「行ったんだけど原因不明なんだよ」
「よくないものに憑かれているんじゃないか?お祓いでも行って来たら」
友人の提案もありコウジ君は神社にお祓いに行ったのでした。
神社にて
「あのー、お祓いをしてもらいたいのですが」
受付の巫女さんに待つように言われてしばらく待っていると、
神主さんらしい人があらわれ
「お祓いを依頼しているのは君かね?」
「はいそうです」
「君は呪いをかけられているみたいだね」
「えっ、呪いですか?」
驚いたコウジ君が神主さんに聞くと
「まあ誰がかけたかは知らないけど私がお祓いをすれば呪いは祓えるよ、すぐに本殿でお祓いをしましょう」
神主さんの案内で本殿でお祓いをしたもらうと視界がクリアになり体が軽くなったのでした。
コウジ君は効果があったのでお礼を言って神社を去ったのでした。
そしてそのころミナは
「痛い、痛い、痛い」
ミナの指先から血がにじんでいたのです。
そして、ひとつの人形がバラバラになったのでした。
人形を見つめ
「ああ、コウジ君私に刃向かうのね……。新しい人を探しましょうか」
部屋の中にはまだたくさんの人形があり静かな笑いをするミナの姿があったのでした。