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重力万倍少女  作者: 楽織
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重さ手に入れました

骨や筋肉が重力増加で軋んでいる。いやここはゲーム内本当に軋んでいるわけではないがそう感じる。足元には屈強な筋肉を携えたオークキングの頭。

ジタバタ逃げよう動いてはいるが、少しずつ地面にめり込むめり込んでいくその姿に

「はぁはぁゾクゾクする」

仲間が少し引いているような気配を感じつつここまでの経緯を思い出す。


体重。それは女性にとって永遠のテーマかもしれない。

特にバレエダンスや器械体操を行なっている身の私には体重や体型はシビアに関わってくる。

なので1kg増えるだけでも何かと小言を言われる日々。そんな生活が続き、徐々に重さへの憧れが強くなってしまった。

そんな悶々とした悩みを抱いている時、友達の咲からのお誘いでこの悩みから解放されることになった。


「ねぇ美羽、今度一緒にバーチャルゲームしない?」


「ゲーム?うーん無理かなぁ。」


今まで習い事に追われろくにゲームをした事はない。


「そういうと思ってたよ。美羽が心配しそうな事はわかってるよ。大丈夫。最近のゲームって凄いんだから!」


そう言われて半ば押し切られる形でゲームを始めることになってしまった。だけど、幼馴染としてずっと私の事を理解してくれている咲が薦めるなら何かしらあるのでだろうと思ったのは確かだ。


学校帰りに咲の家によりゲームを受け取る。絶対にプレイさせるつもりだったのだろう。私の分までソフトや専用機器が既に用意されていた。


ゲームはバーチャルリアリティゲーム

専用の機器を使う事で脳に直接作用し五感等を実際に感じ取れるようになっている。キャラ設定はメイキングでも、リアルの体をスキャンしてそのまま仕様することもできる。ゲーム内であらゆる動作や感覚が実際の感じとリンクするため、感覚のズレによる不具合を避けるため現実と同じ背丈や体重でプレイする人が多い。ちなみに私は150cm・50kg


私も咲もスキャンを選んだ。


設定が終了し、ゲーム内に降り立つ


「うわぁ、これが本当にゲームなの⁈」


ネットで最近もゲームは凄いと記事を読んだ事はあるが、現実との区別がつかないほどリアルな世界が広がっていた。


「えへへ、凄いでしょ。美羽はずっと習い事ばっかりでそれが大切なのはわかっているけど、こういうのでずっと一緒に遊びたかったんだ。普段のようにに動作をイメージするだけでキャラが動いてくれるからゲームしたことがない人でも遊びやすいと思うよ」


咲に言われた通り歩行やジャンプなど考えただけでその通りに動く。なるほど、慣れないコントローラーではなく普段通りにするだけでゲームができるなら、私にも確かにできそうだ。


「誘ってくれてありがとうね咲。確かにこれなら私にもできそう」


「えへへ」


2人で動作確認も兼ねて最初の街を歩き出す。武器屋や、道具屋、カフェ、色々なお店が並ぶなか一軒お化け屋敷のようなお店が目に入った。


「入ってみる?」


「うん」


中もお化け屋敷のような仕様になっていたが、どうやら道具屋のようだ。


色々なアイテムがある中、一つ気になる指輪を発見した。

アイテム名:子泣き爺からの試練

手に取ろうとした瞬間


「それは呪いのアイテムとなっております。ご注意を」


と後ろから話しかけられて、びっくりして振り返る。

そこには着物の女性。お店の人だろう。


「呪いのアイテム?」


「はい、死ぬまでずっと取れません。」


詳細を確認すると

一定時間経過する度、自分の体重が徐々に倍化していく。最大は10G。調整は不可能。

ゲームオーバーになると今後装備継続の有無が問われ、断ると二度と装備出来なくなる

ゲーム内により身体へのダメージ等はないが、実際に重さは感じるとのこと。そのためステータスには影響はない。しかし、歩行するだけでも大変だが、特に立ったり武器をあげる動作などが困難になり、後ほどネタアイテムと言われている事がわかった。


しかし、このままの体型で、夢の体重増加ができる事に惹かれ咲の制止も聞かず購入する。


装備するとズンッと体重が倍になる。50kgをずっとキープする事を求められてた私にとって3桁の体重は夢のまた夢の事だったが、擬似的にもここで夢が叶い100kgという重さを体験する。


「大丈夫⁈動ける?」


「これは…凄いね」


全ての動作に体験した事がない重さにより障害がつきまとう。腕をあげる動作や歩き出すだけで一苦労だ。

だけど、これはゲーム。肉体や骨には一切ダメージが無く活動できるならやりようはある。

先ずバレエのように背筋良くする。そうすると身体の偏りによる余計な負荷がなくなりこれだけでもぐっと活動しやすくなる。歩行などの際も姿勢を崩さず動けるようになっていることがここで役に立つ。腕をあげる際も、普段より重い物を持つ時など筋肉に頼らず下肢から腹部にかけて力の流れを伝えて持つようにしているのを応用し問題無くできた。


少し時間はかかったが重さへの適応が終わる。


「待たせてごめんね。慣れてきたよ」


そういうといつもと変わらぬように歩き出す。


「重さ倍になってるんだよね?」


変わらぬ感じに咲がびっくりして聞いてくる。


「うん。でも習い事で身についた技術でなんか大丈夫みたい」


「は〜何が役に立つかわからないもんだね」


咲に関心されつつ一緒に店を後にする。


店の中から

「またのお越しをお待ちしております」


と声が聞こえる。


今まで感じた事がないズッシリと大地を踏み付ける感触にドキドキしつつ私の冒険が始まった。


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