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ペットボトルに一本ずつ輪ゴムをかけていく神回

――前回までのあらすじ


 一丁目の酒井さんに正体がバレてしまったゲンカイダー。仕方なく反復横跳びでの勝負を申し出るが、ギリギリでライン手前を踏み続け無効試合となるのだった。

 とある悪の組織の、地下アジトの一室。

 そこでは幹部のパブロフ大佐が戦力増強の為に新怪人の面接を行っていた。

 

(うーん、さっきのスベスベマンジュウガニの怪人の毛塚君は中々の逸材だったなあ。だって見た目が鳥だったもん。空を飛ぶと見せ掛けていきなり真横にカニ歩きし出したらゲンカイダーもきっと驚くぞ)


 毎週日曜日、彼は正義のヒーロー「ゲンカイダー」と死闘を繰り広げている。しかし、戦力は底を尽き掛けていた。週一で怪人がやられていくのだ。悪の組織という自覚はあるが、いくらなんでもブラック企業過ぎる。最近は自分の仕事に疑問を感じていた。


(あと、最初に面接したマジシャン怪人の飯村君。密封されたピノの箱を開けずに茶色いペラッペラの板だけ抜き取ってしまう特殊能力は凄かったなあ。今日は当たりだなあ。ん? 俺は何でこんな仕事やってんだろ? って家族を養う為に決まっている。もうあの頃には戻れない)


――チリリン♪――


 来客を知らせるベルが鳴った。次の新怪人がやって来たようだ。パブロフ大佐の意思とは関係なくヨダレが溢れてくる。


「どうぞ」


「失礼します」


 やってきたのはポロシャツにスラックス、そして黒髪を七三に分けた男。背は高いがやたら細くひょろひょろとしていて強そうには見えない。トカゲ族だろうか、皮膚は鱗に(おお)われており、ズボンから覗くツインテールの尻尾で彼が萌えキャラだと分かる。だってツインテールだもん。


「お座りください。その、随分とラフな格好で」


 ツインテール用のスーツなどあるはずがないが、大佐は面接官として一応注意しておく。大佐だけど注意(中尉)……なんつって。


「す、すいません。この体なので合うスーツがなくて。着ぐるみを着てこようか迷ったんですが……」


 この「着ぐるみ着てるみたいな見た目なのに着ぐるみ着てこようか迷ったギャグ」は男の鉄板ネタだった。他にも「お好み焼き~!」という鉄板ネタがあるが、こちらは全くウケない。


「大丈夫ですよ、ほら、うちは服装とか気にしないので」


 そう言う大佐の格好も随分と裸婦な物だった。全裸なんて失礼にも程があるが、彼はパブロフの名前の通り、外国籍なのだ。日本のマナーには決して疎かった。


「では簡単に自己アピールをお願いします」


「はい。百田萌々花(ももたももか)、竹の子族の子孫です。ラジカセを持ち歩き、どんなに交通量の多い歩道でもたちまち歩行者天国に変えられます」


「スゴい! 歩道を歩行者天国に? 何の意味もない!」


 大佐は素直に驚いた。「歩道を歩行者天国に変える能力」なんてレア中のレア、いや、アレ中のアレだ。レジェンド怪人と言われた農家の鈴木さんが持っていた、「ただの葡萄に大層な名前を付けて値段を3倍にすることでブランド葡萄に変える能力」に匹敵するのではないか。何の意味も、そして何の正義もない。


「はい。あと、体内にブラックホールを宿しています」


「ほう、ブラックホールを」


 それは使える。近年、増えすぎたゴミが社会問題になっている。彼のブラックホールは現代の救世主となり得るかもしれない。


「ただ、口から接種した物を問答無用でブラックホールへと送り込んでしまうので、栄養は全部点滴で接種しています」


 なるほど、それで痩せているのか。素晴らしい能力だが、日常生活を送るのに困難では可哀想だ。


「わかりました、採用です」


「本当ですか?」


「はい。一緒に頑張りましょう!」


 マジシャン怪人の飯村君を呼んでブラックホールを取り出して貰った。

 ゴミ問題は解消され、ほんの少し暮らしやすくなった。





――次回予告!


 水を張ったグラスにコインを一枚ずつ入れていく闇のゲームに付き合わされてしまったゲンカイダー! もうダメ! 水が溢れちゃう!


 次回 早めのパブロフ リミットオフ!


 

「臨界戦士ゲンカイダー」は毎週日曜朝2時42分から絶賛放送中! 君も一緒にリミットオフ!

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