即オチ小説2
桜子は喫茶店でお茶を楽しんでいた。男性と、である。大学の同じサークルの男の子から映画に誘われたのだ。
生まれて初めてのデート。
精一杯のおしゃれをして、デパートの化粧品コーナーに行き店員さんに化粧の仕方も教えてもらった。待ち合わせ場所で洋服を誉められた時は、嬉しくて思わずガッツポーズが出そうになった。
桜子は彼の事が好きだった。だから気合いが入って当然。
勿論、腰掛けるのは祖母から貰った桜色のソファ。上京してからどこへ出掛けるにも一緒だった。何故ならソファも特別な。
「そろそろ上映時間……映画の前にトイレに行ってくるね」
映画の最中にもよおしては集中出来ない。桜子は立ち上がり、店の奥のトイレへと歩いた。
(やっぱり彼はかっこいい……それに、この喫茶店も素敵。レトロで大人の隠れ家って感じで、こんなディーポイントなお店知ってるなんて東京の男の子はお洒落だよね)
昔から桜子はディープなポイントの事をディーポイントと略してしまう癖があった。しかしこれからのWEBマネーの時代、そうもいかない。
(さ、映画の前にお化粧を直さなきゃ……ええっ?)
トイレのドアを開けた桜子は、目の前にそびえ立つ巨塔に絶叫した。
「前の客うんこ流してねええぇぇぇぇ!!!!!」
~fin~