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如意鞭VS羊頭琴

 円形闘技場の医務室でベット上で目が覚める選手が一人。

 

 「・・・・・・ん・・・・・・」

 ナンディンだ。


 目覚めた彼女を見て喜ぶ二人。

 「・・・・・・え? お父様!? お母様!?

 なぜ闘技場に・・・・・・!?」


 父「だいぶ前にお前と執事が会話している所を聞いたんだ。

 ナンディン。お前が今回の武闘大会に参加するとな・・・・・・」


 母「人見知りが激しく引っ込み思案な貴方が、大会にでると聞いて心配でいてもたってもいられず・・・・・・」


 頭を下げるナンディン。

 「ごめんなさい・・・・・・お父様お母様・・・・・・」


 父「なぜ、謝るのだね・・・・・・?」


 ナンディン「武者修行するため勝手に家を出て、その上恥をかくかもしれない、好奇の目に晒されるかもしれない大会に出て・・・・・・セカンド家の名に泥を塗るような・・・・・・」


 首を横に振る母「そんなことは、私達は、思ってませんよ?

 それどころか、貴方が勇気を出して一歩前に踏めれたことを、褒めてあげたいくらいよ・・・・・・!」


 「お父様・・・・・・お母様・・・・・・」

 目尻に熱い雫を溜めるナンディンなのであった。

 〇とある城の玉座の間にて。


 『エリファス陛下。ご用件は、何でございましょうか・・・・・・?』

 赤い絨毯上にて、片膝着いて頭を下げるハクビ。


 『タロット様の事についてだにゃ。

 ハクビ将軍は、占い用のカードの並び方を見ることによって、女神であるタロット様からのご意向を汲み取ることができることは、知ってるはずだにゃ』

 フカフカの玉座に座っている冠をかぶった二足歩行の猫が語る。


 『ハッ!』


 『先程畏れ多くもカードで占ったところ、タロット様から【ヤマネという小娘が、生意気にも武闘大会に参加する】とのお告げの並びが出たんだにゃ。

 ハクビよ・・・・・・どう見る?』


 『【タロット様にとって怨敵であるヤマネを、大多数から注目が集う大会にて、完膚なきまで叩き伏せて恥をかかせろ】・・・・・・と私めは、勝手ながら解釈しました』


 にんまりと目を細めるエリファス。

 『満点だにゃ。ということで、任を与える・・・・・・トガルポル国まで行って武闘大会に参加するのにゃ!』


 『仰せのままに・・・・・・このハクビ、不倶戴天の敵であるヤマネに敗北を味合わせ、至高なるタロット様と偉大なるエリファス陛下をご満足させて頂きます・・・・・・!!』



 

 ※時間軸を現在へ、舞台をパーキング町の円形闘技場に戻します。


 『観客の皆様! 長らくお待たせしました。バトルフィールドの整地が完了しました!

 フランク選手、ハクビ選手・・・・・・どうぞ位置に着いて下さい!!

 ・・・・・・・・・・・・双方、準備はできましたね? 

 第四回戦・・・・・・開始!!』


 ベルトに留めてある革製の鞭を取り出し、それで何度も虚空を叩いて興奮を表すフランク。

 乾いた音が何度も鳴る。

 「来た来た来ましたよフランクちゃんの蹂躙劇がっ!!

 今まで精一杯奮闘した別選手の皆さ~ん・・・・・・私の為に引き立て役をしてくれてご苦労ご苦労。

 そして、ハクビ選手・・・・・・ごめんね。今から貴方に残った選択肢は、降参か惨敗しかないの・・・・・・」

 これから闘う相手だけでなく、他の人達にも不快感を味合わせるような発言をするフランクに、ウラヌンタイスは、冷や汗を流しておどおどする。


 対して、不遜な彼女の言葉に意にも介さず長考しては、イライラするハクビ。

 (まさかあの小娘が予選で敗退するとはな・・・・・・これでは、タロット様のご意向に背いてしまうではないか・・・・・・まあいい、せめてこの国の戦士の情報を集めようか。それだけで外国に来た甲斐がある。

 丁度目の前には、Sランクの冒険者。使う能力を調べて陛下に報告するだけで、のちのち仕掛ける戦争で有利になるだろう・・・・・・)


 沈黙している奴に対し、苛立ちを表す彼女。

 「むぅう~Sランクである私の前でうわの空とは、危機感が無いですな~」


 観客側も全然戦いを始めない二人に、野次を飛ばし始める。

 「そうだそうだ早く闘え!!」


 「こっちは、金払ってんだぞ!!」


 「生意気なフランクをぎゃふんと言わせてやんな!!」


 「おい私のこと悪く言った奴は、大会後ボコすから覚悟してよ!!」


 それは済まんな・・・・・・ と口にしながら矢筒に手を伸ばすハクビ。

 今の奴が握っている弓の先端には、両刃の刃・・・・・・槍穂がついている。

 すぐさま奴は、後方に跳んで距離を稼ぎ、隙だらけの標的めがけて文字通り矢継ぎ早に矢を飛ばす。


 シラカバ山戦の時よりもはるかに練度の高い射手の流れ。

 故郷を襲った憎き敵であるはずなのに、鮮やかな動作についつい生唾を呑むヤマネ。


 まあそんな見事な矢の雨も全て、フランクが雑に振り払った鞭によって、容易く叩き落とされる。


 「まったく鞭使いには、いい思い出が無いというのに・・・・・・」


 「それは、災難だったね。射出攻撃が上手く通らないなら、試しに刃を取り付けた弓を槍代わりにして突進してきたら・・・・・・?」


 嫌そうな顔して頭を掻くハクビ。

 「魅力的な提案だが、どのような戦法を取るか分からぬ相手に突撃を繰り出すのは、ちと悪手ではないのかね?」


 「違いないわね。じゃあお望み通り、手の内を明かそうじゃないの・・・・・・・。

 『天敵ナチュラルエネミー召喚サモン』」

 術名を唱えた瞬間に、フランクの傍に何者かがいきなり顕現した。


 (そうかあ奴も召喚術・・・・・・を・・・・・・え。

 ああ、いや幻覚魔術だ。全く質の悪い。私めの心を読んで投影したのか? 多才だな。

 だから、目の前に本物がいるわけがない。仲間のスパイからの情報では、奴は現在、王都ラットボンで『アウル』の部下の訓練をしているはずだ。だから、いるわけがない。

 そうだきっとあれは、偽者だ。だから何の脅威も無いのだ。

 だから何も恐r)


 「あれ・・・・・・? ここどこ? たしか自分は、部下達と訓練したはずなのに・・・・・・」

  少女の特徴。髪型は、色は銀で、襟足をツインテールにし、他の部分の毛は全て細い三つ編みに編んでいる。

 肌は褐色で、頬には二字型の白いペイントがあった。体格はヤマネより少し低い。

 瞳は金眼で、幼げが残る顔立ち。

 羽飾り付きのカラフルなバンダナをかぶり、配色がごちゃごちゃしている鹿の毛皮のポンチョを着ていた。

 耳には、ドリームキャッチャーのピアスを着けている。腕輪や首輪や琥珀の飾りなどの装飾品が、全身に装着している。

 そして、少女のポンチョの胸元には、ふくろうのマークの紋章が刺繍されていた。

 彼女の得物は、木製のブーメラン。


 召喚されたコヨーテの戸惑った声を耳にしたハクビは、大鷲に追われてるウサギみたいに狼狽し、錯乱し、遂には腰を抜かしてしまったのだ。


 「う、うぁあああああぁわぁあああああああああああああああああああっ!!」

 彼女から首を斬り落とされた光景が、フラッシュバックしてしまったんだ。



 ヤマネ「え? コヨーテさん!? 何でいきなり大会に・・・・・・?

 ん。チャールズどうした? 震えているぞ・・・・・・トイレか?」

 羽飾りを被った銀髪の少女の顔を見て怯えているのは、ハクビだけでは無い。

 なぜかチャールズの方も顔を極度に青ざめていた。



 周囲を見渡すコヨーテは、召喚士の顔を見て苦虫を嚙み潰したような顔を隠さず表した。

 「ケンタウロス状態でないハクビ君。ぐるりとフィールドを囲う民衆。司会で有名なウラヌンタイス君。今日は、楽しい武闘大会当日。そして・・・・・・あ~やっぱりだ・・・・・・フランク君だ。

 察したよ察した・・・・・・全部察したよ。

 はあ。民間人が、騎士を・・・・・・それも副騎士長を魔物代わりに召喚するって、前代未聞だよ」


 「文句があるのなら、あのトラウマを刺激されているっぽい彼に言ってよ。

 私の得意な魔術は、相手の相性や状況に合わせて発動するもの。自分で召喚するモノを選べないの・・・・・・。

 故意に副騎士団長様を呼んだ訳ではないわ。それは、本当だよ?」


 はいはい と心底面倒くさそうに呟いたコヨーテは、ポンチョの裏側に隠していた得物を取り出した。

 それは、中身の無い亀の甲羅に棒を紐で括りつけた杖だ。


 ただ黙ってやられるつもりも無いハクビ。慌てふためきながらも自分の手元にアポート魔術でとある楽器を遠隔地から取り寄せた。

 それは、弦の本数が二本の擦弦さつげん楽器。たくの先端に動物の形を模してあるのが、一番の特徴だろう。

 材質は、本体は、白樺の木。弦の部分は、馬の尾毛。


 そう、馬頭琴モリンホールだ・・・・・・馬の文字があるが、奴の扱うその楽器の棹には、馬の代わりに羊の形に彫られている。


 「まさか~草原のチェロを~このトガルポル国で~お目にかかれるとは~♪

 彼に~感謝を~述べなくては~いけませんね~♪」

 観客席にて、ハクビの馬頭琴を一目見たルイスは、感激していた。


 「へぇ~見事な胡弓こきゅうだね。それ魔道具だよね?」


 「武闘大会で、何の変哲もない楽器を取り寄せるか?

 リベンジマッチといこうか・・・・・・まさか今回の任務で貴様に復讐できるとは思わなんだ。

 タロット様と陛下には、感謝してもし尽せない!!」

 さっそく鏃付き弓の糸で弦をいて演奏を始めるハクビ。

 ノイズは、対象含むが柔らかで奥行きがある音色が、闘技場内によく響く。


 ヤマネ「音楽には、あたし疎いけど・・・・・・敵ながら悪くねーじゃねーか」


 ルイス「やはりバイオリンとも違う魅力がありますね~♪」


 「・・・・・・召喚術用の魔道具なんだね。この動物を見るのは、久しぶりなの」

 早速魔道具の効果が発揮された。

 羊の大群が、ハクビの前方虚空から瞬時に登場。

 その羊は、歯は臼歯は無く狼みたいに尖っており、一般的なのより毛量が多くもっさりしてある。そして何より一番の特徴としては、黒の粉末まみれであるこいつの毛には、所々鈍く輝いている黒色の鉄片が絡みつくよう存在してた。


 言わずと知れた鉄火グレネードシップである。

 楽器の音色と羊達のメェーメェーなる鳴き声が、重なる。


 ヤマネ「やっぱりあたしの村を襲った張本人じゃねぇえかっ!?」


 奴が演奏を続ける限り、次々その羊が湧き出してくる。もはや無尽蔵とも思える程に。

 あっという間にフィールドの広範囲が魔物の羊達で占められてしまった。

 もし、そいつらの異能である自爆を発動されたら、ライフラインが張った結界が破壊され、そのまま円形闘技場全域が余裕で吹き飛ぶだろう。


 「羊共よ!! あの小娘共を取り囲むように陣を取れ! まだ襲うでないぞ?」

 (ひとまず様子見だな・・・・・・) 



 鉄火羊の動きを一目見たヤマネが、頭を抱える。

 「走る速度速ぇえっ!? シラカバ山で出会った時とは、多分だが強さが全然違う・・・・・・!

 流石にコヨーテさんでも危ないんじゃないのか?」

 彼女の推定通り、今のそいつらの一体一体がランクBに届きうる戦闘能力を有していた。

 そう、単体で凶暴なドラゴンの群れと戦えるほどの火力・耐久力・速度を獲得したんだ。


 「『いつも』の状態の自分なら、この羊達には、勝てないかもしれなかったの・・・・・・」 

 こちらを狙いフォーメーションを組んでいる羊共を見て呟くコヨーテ。


 「うっしっし。まさか副騎士団長様ともあろう御方が、弱音を吐くなんて・・・・・・」


 まさか! と答えたコヨーテは、自分と召喚主を中心とするよう地面から柱を隆起させた。

 東西南北方向に、それぞれ一本ずつに。

 それらは、鳥や魚などの彫像を積み重ねたようなカラフルな木造の柱。

 トーテムポールだ。


 建立されたそれらを前にしたハクビは、焦りを見せる。

 (山中で披露したブーメラン攻撃ではない!? 一体何が起きるか予測ができぬ!

 そういう場合は・・・・・・・・・・・・)


 「鉄火グレネードシップよ、様子見は終わりだ・・・・・・。

 一斉にかかれっ!!」

 奴の一声により、動きの切れがいっそう上がり猛攻態勢にうつる召喚獣。

  

 急ぐ様子も無く、欠伸しながら後ろ頭を掻きながら頼み込むフランク。

 「ふぁああ~あ。そろそろ何かしてくれない? コヨーテ」


 「言われずともだよ!」

 (もしかしたらヤマネ君が見てくれているかもしれないね! だったらはりきらないと!!)


 羊の群れが、さあフランク達に跳びかかったタイミングで、コヨーテは、術を発動させる。

 危険を感じ取ったウラヌンタイスの方も、魔術で簡易的な土の小屋を造り、ライフラインと共にその中に避難を開始した。

 

 「袋鼠族秘伝魔術『ワキンヤン・タンカ』」

 コヨーテが術名を唱えた瞬間、自分とフランクを狙っていた羊の大群が上空目掛けてえげつない勢いで吹き飛ばされた。上昇気流だ。


 「な、何だと!?」

 驚愕するハクビ。

 見上げた観客・他選手らが唖然とする。

 「さっきまで快晴・・・・・・だったよな?」

 なぜなら、いつの間にか天気が変わっていたから。大嵐へと。

 分厚い雲から紫電が所々迸り、豪雨が降り注ぐ。もちろん暴風が力強く吹き荒れていた。

 先程繰り出したコヨーテの魔術の正体は、天候操作。

 範囲は、パーキング町全域・・・・・・ではなく。

 

  ※ ※ ※

 

 ハインリッヒ「雨・・・・・・? 今日この辺りは、晴れのはずでは無いのですか?

 せっかく今日は、廃墟の神殿に行こうと思いましたのに・・・・・・」


 タペストリー「マルセイユさん! 雲ゆきが怪しくなってきましたので、中へ・・・・・・」


 ※ ※ ※ 


 タロッタービルァ町・アルフヘイム含むトガルポル国北西辺り。

 そんな超広範囲の地域の天候が、災害としか言いようのない強力な大嵐へと支配されてしまったんだ。


 千どころか数万も越える羊共が、パーキング町の上空にて抵抗虚しく宙に舞う光景は、もはやどこかコミカルの印象さえ抱いてしまう。


 積乱雲を仰ぎ見ているハクビは、あまりにも現実離れした状況を前に、馬頭琴の演奏をつい止めてしまったのだ。

 

 不敵な笑みを浮かべたフランクが、先程発動した術を意気揚々とばらす。

 それを耳にしたハクビは、とうとう茫然自失してしまった。



 「私の得意な召喚術はね・・・・・・今闘っている相手にとっての天敵を、極限までパワーアップした状態で召喚して操るものなのさ!!」


 通常時のコヨーテなら、今のハクビに負けるかもしれないが・・・・・・しかし召喚主であるフランクからバフを掛けられた状態なら、この限りでは、無い。

 

 戦闘意欲が完全に削がれている奴めがけて、コヨーテは無慈悲にも暴風を浴びせる。


 「うぁわぁあああああああああああぁあああああああああああああっ!?」 

 上方に向かって竜巻で巻き上げられた奴は、空の彼方目掛けて消えてしまった。


 フランクが ご苦労・・・・・・良い仕事ぷりだったよ と口にしたタイミングで天候操作の術を解くコヨーテ。


 「鉄火グレネードシープ達は、海の沖の方に投げ飛ばしたんだよ。町や森にでも放り投げてしまえば、人的被害がでたり、生態系が崩れるかもしれないからね・・・・・・」


 「そこで船乗ってたり泳いでいる人には、迷惑じゃないの?

 話は、変わるけど元いた場所に戻るつもりなら空間転移で帰してあげるよ。それとも残って武闘大会見学でもする?」


 首を振るコヨーテ。

 「転移しなくて大丈夫なんだよ。でも武闘大会で見学もしないの。野暮用ができたからね・・・・・・。

 それより、審判の人は、試合の勝敗の判定を宣言しなくても良いの・・・・・・?」

 彼女のその声を耳にしたウラヌンタイスは、慌てて土の小屋から這い出て叫ぶ。


 『勝負あり! ハクビ選手場外により失格!! よって第四回戦勝者・・・・・・・フランクぅううぅううううううううううううっ!!』




 ※少し時間が経った後、人気のない一枚岩谷にて・・・・・・。


 「あ~見つけたんだよ・・・・・・自称魔王軍のハクビ君」

 赤い大地でのびているハクビ。彼の左手には、羊を象った馬頭琴を力強く握っている。それは、壊れているようではなさそうだ。

 

 そんな彼に歩み寄る一つの影が。

 コヨーテである。


 「この国に侵入して、あまつさえいろんな町村に甚大な被害を出した犯罪者を、見逃す程自分は、甘くないんだね・・・・・・。

 さて、副騎士団長の権限で逮捕させてもらおうか。哀れだけど拷問してでも知っていることを洗いざらい吐かせて・・・・・・」


 「止めてくれないかにゃ・・・・・・?

 その人は、アタシにとっての重要な部下なのだにゃ・・・・・・」


 とある高音の声を耳にした途端、冷や汗が全身に流れ、恐怖のあまり全身が硬直してしまった。

 ついさっきまで、町を越える程の範囲の天候を操った彼女がだ。

 

 もちろんその声の主は、エリファスだ。

 「退いてくれるのなら、見逃してやるにゃ」


 自分よりも格上の敵が現れた事で、緊張度が極度に高まり、うまく口を動かせないコヨーテ。

 しかし、彼女は、自分の身もかえりみずエリファスの方を向き・・・・・・。

 「魅力的な提案だけど退かないよ。自分は、特殊騎士『アウル』の副騎士団長・・・・・・この国の民達に危害を加えるような連中から逃亡する選択肢は、自分には無いんだっ!!」


 その言葉に、小馬鹿にするよう肩をすくめるエリファス。

 「なんとう騎士道精神。うちのとこの部下にも見習ってほしいにゃ・・・・・・まあ、生かす理由も無いしな。まさか命日にSランク二人に巻き込まれることはアタシでも数奇だと思うにゃ・・・・・・」


 「Sランクならここにもいるぜ・・・・・・?」

 髪型が黒のアフロであるボンバーバンボーも集まって来た。

 「あんたの言葉をそっくり返すぜ。退いてくれるのなら、見逃してやる」


 彼の方を流し見したエリファスは、すぐに返答する。

 「そうさせてもらおうかにゃ・・・・・・何の策も無しに『昼行燈』と戦うのは、あまり賢い選択だとは言わないにゃ。では、お疲れ様~」

 倒れているハクビの方まで寄った彼女は、その小柄な体躯で筋肉質的な奴を軽々と背負って、港町に向かって去っていった。


 「大丈夫か~副騎士団長?

 ん? 何か言いたそうだな・・・・・・」


 「ボンバーバンボーが格好いい!? あのダサくて余計な事しかしない勘違い野郎がっ!?」


 「助けてやったのに何だその態度はぁあああぁああああああああああああッ!?」


 




 ※1・・・フランクの『天敵ナチュラルエネミー召喚サモン』で召喚された相手は、自動的に強化されますが、それは永続ではなく一時的なものです。

 ※2・・・現在ハクビが『鉄火グレネードシープ』を召喚できる限界数は、3万頭で、たとえその羊が死んだとしても、タロットの加護によって蘇生されます。

※3・・・ハクビの得物である槍の刃を付けた弓の種類は、はず槍と呼ばれています。

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