選手入場
パーキング町武闘大会時間割
午前の部 予選 形式:バトルロイヤル
午後の部 本選 形式:トーナメント
『レディースアンドジェントルメン!! 始まりました、武道大会昼の部・・・・・・皆さんお待ちかねの本選です!! 正直予選の段階で、客足が少なくてこの私不安でしたけど、現在満席ということで安心しました! おおっとっ、自己紹介がまだでしたね? 私、今回この大会の司会及び審判兼実況を担当いたします ウラヌンタイス と申します!」
円形闘技場のグラウンドの中心にて、声量を増幅させる効果を持つ(いわゆるマイクと同じ)木製の杖に声を吹き込むのは、スーツ一張羅を身に着けた三十代後半の男性だ。
彼の隣に立っているのは、金属の杖を携えた純白のローブを身に着けている十代後半の女性。
『私の横にいる貴婦人の方は、タイガ教の神官である ライフライン さんです! 今回この大会のアシスト役としてくれるスタッフです!! 彼女の発動する『手加減付加』の魔術効果によって、選手が繰り出す攻撃全てに殺傷能力が無くなります。ダメージは、もちろんきっちり生じますけどね。ですから、おもいっきり力を発揮して下さっても大丈夫です。
舞台となるグラウンド外周には、結界が張られていますから、観客席まで飛び道具や魔術が届くことは、決してございません!!
裏方には、医者である アスクレピウス クリーンバンデッジさんがいますから、勝負が決着した際には、双方体力と魔力を回復させて頂きますから、消耗を気にせず闘って下さい。体調不良に陥った観客の皆様方も闘技場治療室にいらっしゃる彼に気兼ねなくお申し込みください!!』
カール気味の緑の短髪が特徴的な青年が、観客ににこやかに手を振りながら、グラウンドから退場する。
『私の拙い演説、ご清聴ありがとうございました!!
観客の皆様方、そして本選まで勝ち残った豪傑なる選手の皆様、永らくお待たせ致しました!!
今から、本選選手紹介とトーナメント開会式を始めます! では、どうぞご入場を!!』
控室から、八名の影が、グラウンドまで現れる。
「なんとか本選までこぎつけたよ。せっかくだし、行けるとこまで行こうかな?」
最初に登場したのは、魔導書を脇に抱えた若者だ。低身長中肉中背・金髪刈り上げ・紺色ローブが特徴的。
『Aブロックを勝ち残ったのは、護符を販売する副業を持つ冒険者 辻ツッコミ カンニングマン マグヌス さんです!』
「さ~て、どこまで俺を楽しませてくれるのかね~♪?」
彼に続くのは、ルイス達の知り合いである男だ。
『Bブロックからは、トガルポル国随一の剣豪 舐めプ剣士 ウォールナッツ アラリア さん登場!!』
(タツミ・・・・・・この国では、偽名を騙っているのか)
ウォールナッツの背を凝視する山伏の恰好をした女性だ。
『Cブロックからは、極東出身者の外国人である眉目秀麗な女性 銀色の向かい風 サルタヒメ リュウセイ さん!!』
「・・・・・・ゴニョゴニョ////////」
四人目の方は、サリーを身に着けた黒髪ワンレンの女性。今、顔を真っ赤にして俯いている。
『Dブロックからは、またもや外国人です。ミステリアスな雰囲気を醸し出しているダンサー 生きる芸術 ナンディン セカンド さん!』
「まぁ~皆様、とてもお強そうですね~」
五人目は、フレイル型モーニングを得物にしている高身長巨乳のお姉さんだ。
『Eブロックからは、元北天天文台の傭兵として雇われた生粋の戦士 ミニマムメテオ プラネテウス テリーさん!!』
「コホン! あーあーワタクシ、SSWのミーミル アインでございます。
ステータスウィンドウの魔術にご興味のあるお客様は、是非大会終了後、このワタクシにお伺い頂けたらと!!」
六人目の選手である痩せ型の七三分けが特徴的な男は、自身を囲む観客達に大声で自己紹介する。
『何司会者である私を差し置いて自己紹介してんだ!? 武闘大会を商売の宣伝に利用してんじゃねーよ!! ・・・・・・・・・・・・コホンッ失礼しました。不躾な物言いにこの場を借りて謝罪させて頂きます』
「にっしっしっ!! この大会を楽しめるのは、今だけだよ~? ふははははっ!! 今から始まるのは、ワンサイドゲーム!! 誰も彼も私に勝つなんて不可能なのさ!! せいぜい抗ってみな!?」
七人目は、傲岸不遜な物言いが目立つドレッドの女性だ。
『Gブロックからは、なっなっ何と!! 稀なSランクの戦士が登場だああっ!! 今回の他の選手の胃が心配です!! 黒星知らず フランク カードコールさん!!
ですが、観客の皆様と選手の皆様、Sランクがいるからといって、他選手の優勝を諦めないで下さい!! 世の中どんなどんでん返しや、大番狂わせがあるか分かったものでは、ございません!!』
『さあ、Hブロックからは・・・・・・』
ただの選手紹介だけで、白熱する会場に、止むこと無く湧き上がる歓声。
しかしその観客席の中に、長く無言を貫き、意気消沈し、虚ろな遠い目で本選の選手達を見下ろすのが一人。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あのプラネテウスさんって、お姉さん。すごいおっぱい!! いいな~ボクの主もあんくらい巨乳だったら、ボクも裏切らずに従順になっていたのに~・・・・・・」
『それは、同感だね。ボクもどうせなら彼女に憑依したかった。なのにどうして今憑いている相手は、噛ませとしか言いようがないチンピラにやられた貧乳なのだろうか。泣けてくるよ・・・・・・』
「・・・・・・ヤマネ~♪今晩何かおいしいものおごるから~元気出して♪?」
現在チャールズの観客席に着いているのは、大会出場に参加してたはずのヤマネであった。
今彼女は、自分の膝に、チャールズを座らせている。小柄で軽い彼を自分の膝にのせても、ヤマネにとって苦ではない。まあ膨大なストレスが別理由でかかっているけれども。
何か、チャールズと彼女の精神世界に居座るアンドリューが、Eブロック選手の胸部を眺めて興奮しては、ヤマネを貶していた。
なぜヤマネが、選手の晴れ舞台であるグラウンドではなく、観客席にいるのかというと・・・・・・そう、敗けたのだ。あのチンピラの男に。
いっそもう清々しいと思える程に、けちょんけちょんにされたのだ。
おまけにチンピラの方も、カンニングマンに負けていた。
じつは、彼はCランク程の実力を持つ戦士。たかがDランクの冒険者如きであるヤマネが、真正面から格上である彼に勝てるはずが、無かったのだ。
(・・・・・・図に乗ってたんだあたし。レッドスパロウビーの群れを蹴散らしたりしたから、自分は、強いと錯覚してたんだ。自惚れてたんだ・・・・・・あたしは、読んでたファンタジーノベルのチート主人公とは、同じじゃない・・・・・・)
自分が下に見て舐めていた相手に敗北して、気を落とすヤマネ。
まさに心ここにあらず。
しかし、次に発された聞き覚えのある声と司会者ウラヌンタイスの紹介によって、彼女は正気に戻ることになる。
「タロット様。どうかご加護を・・・・・・うん? 憎たらしいあの小娘もこの大会に参加してたはずだが・・・・・・?」
『Hブロックからは、タネガランド出身の猛者。 戦場の羊飼い ハクビ モウコ!!』
自分の目を疑ったヤマネ・・・・・・だって、髪と顎に生えてある無精ひげは黒で、眉毛だけ白色。恰幅が良い。アジアンテイストの鎧と兜を装着して、左手には先端に槍穂がついてる和弓、右手親指には指輪、腰には三日月刀、背中には矢筒を装備してあるのが特徴的な、カスドース村を襲おうとした下手人が、この大会に何食わぬ顔で出場してるから。
だが、妙な事に、種族がケンタウロスである奴の下半身は、今馬ではなく人のそれで構成されていた。
「ん? どうしたのご主人。息が荒いよ。首筋に鼻息当たって集中できないじゃないか」
膝の上で文句を言うチャールズの声は、今彼女には、届かない。
「人間の姿に化けれるようになったんか!? ケンタウロスのおっさん!!」
□トーナメント表
〇一回戦 Aカンニングマン
Bウォールナッツ
〇二回戦 Cサルタヒメ
Dナンディン
〇三回戦 Eプラネテウス
Fミーミル
〇四回線 Gフランク
Hハクビ




