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山鼠(やまねずみ)と袋鼠(ふくろねずみ)と鼯鼠(ムササビ)

 「ああ、迷惑料だね。わざわざギルドまで顔出すなんて義理堅いなぁあ~」

 冒険者ギルドの門前に世間話を繰り出すヤマネとウィッチブラック。

 

 「お褒めに預かり光栄です。従者ですので当然の事。ところでお体の調子は如何程でございましょうか?

 前に睡眠の魔術を受けたと伺っていますが」

 力コブを見せつけて健康をアピールするヤマネ。

 「大丈夫大丈夫見ての通り! 爆睡したくらいでみんな大げさだな~。・・・・・・ところであたし三日も寝てたんだけど、もしかしてその間ギルドに毎日通ってきたのか? それだったら本当に申し訳ねえよ」


 「ご配慮下さる必要はございません。他に御用事が無ければ、今すぐにでもご案内を」


 「そうだった! サツマのおっさんの事についてシャルルに報告するのを忘れてt・・・・・・」


 「楽しくおしゃべりしているとこ悪いけど、出入口に突っ立たられたら、ラティスが通れないんですよ」


 「あ、はいっす。すみません今どきますって、ラティス!?」


 ヤマネらの背後から忌々しそうに注意するラティス。今の彼女の肩には、ピターヤ戦まで使ってたのと似ている巨大のメタルハンマーを担いでいる。おニューの得物だ。


 「全く元気に起きてきたんなら、先輩であるラティスに一直線に報告するのが礼儀なはずなんだよ!!」


 「心配かけてごめんな・・・・・・ところでユミル山でサツマのおっさんが行方不明のままのこと、シャルルに伝えたのか・・・・・・?」

 その爆弾発言に、タワラは額に肩てを添えて深いため息をつく。


 「まだ見つかっておらんのか!? さすがに心配になって来たぞ」


 「あ、すいません。救助失敗したんす」


 「攻めるつもりはないさ、ヤマネ。豪雪地帯の救助依頼は玄人の冒険者ですら厳しいもの。

 こうしてはおれん。腐れ縁のサツマを見捨てることもできん。私もすぐベルディア町に向かうぞ!

 あ! 言うの忘れてた。ヤマネのギルドカードは、シャルルに預けてあるからな。忘れないように。

 それでは・・・・・・!!」

 慌てて北東へと向かう彼女であった。


 そんなタワラを見送りながらラティスが呟く。

 「ユミル山と温泉水の件は、ちゃんとラティスがギルドに報告を済ませているから感謝するんですね。

 それじゃあラティスは、これで」


 ギルド内に向かうラティスに軽い挨拶を済ませた二人は、ノーストフェリー宅に向かう。


 もうそこの門番も知り合い。そのまま見慣れた応接間まで通されるヤマネ。


 上座に座っているここの当主・・・・・・エムヒズムと挨拶するヤマネ。

 「おひさだねヤマネたん。睡眠の魔術を受けて三日間も寝たらしいね。

 体の調子はどうかな?」


 「いやはやご心配おかけしましたっす本当。いやこの通りピンピンですよ」


 「それは、良かった。それと早速本題だけど迷惑をかけた詫びをさせてくれ。

 不躾で失礼な事を承知で言うが、確か君は前に自分は重度の金属アレルギーを罹患しているとおっしゃったね。それもたとえ布・革越しだろうと発症するほど過敏に」

 彼の問いに、はいっす。と返答するヤマネ。


 「その悩みを解決するには、良い策がある・・・・・・」

 (エムヒズムさんの気づかいはうれしいんすけど。あたしにかかっている祟りは、地上の魔道具や魔術でどうにかなるものでは・・・・・・)


 指を鳴らすエムヒズム。

 「金属を持てないなら持たせればいい。入室し給え」


 応接間の扉が開く。そこからウィッチブラックと彼女に連れられた少年が来た。

 彼の特徴は、中肉中背で髪色は赤みがかった栗色。

 麻製のシャツとジーンズ製のスカート(臀部に穴が開けられている)を身に着けた子どもだ。年齢は、ヤマネより若干若い。

 一応彼も奴隷なのだが他のノーストフェリーのメンバー同様虐待された様子も無く清潔感を有している。

 そして何より目を見張るものは、彼の耳と尻尾と足だろう。


 「え・・・・・・カンガルー?」


 唖然とするヤマネの問いにエムヒズムは、「カンガルー? おおチャールズ氏の獣人タイプを知っているのかい? 大型袋鼠の別名か」と何か感心するよう答える。


 チャールズと呼ばれた少年の耳は、ウサギみたいに長く、尻尾は太く長く、足は発達していてたくましい。※カンガルーの足を有しているので常に裸足。


 ウィッチブラックが、彼に挨拶を促す。


 「は、初めまして。ボク、チャールズ オブシウス って、言います。よろしくお願いしますっ!」

 たどたどしく自己紹介する可愛らしい様子の子どもにヤマネは、早くもメロメロになった。


 「まあ、素直そうで可愛らしい子どもじゃないっすか。初めましてあたしの名前は、ヤマネでカスドース村出身の冒険者だよ」

 にっこり微笑んだヤマネは、次に戸惑った表情でエムヒズムに向く。

 「ところで今回の報酬の件とこの子とどんな関係があるっすか?」


 「この子を『譲ろう』・・・・・・彼は、別に金属アレルギーじゃないし貨幣を運ばせるのに役立てるはずだよ」


 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」


 「あら聞き取れなかったのかい? チャールズ氏を君の奴隷として譲渡を」


 「いや聞き取れたんすけど、とんでもない爆弾発言を耳にしたから頭が真っ白になったっすよ!

 大丈夫っすか!? そんなただの冒険者に簡単に人材を渡すなんて・・・・・・」


 錯乱するヤマネに、冷静になるようたしなめるよう落ち着いた口調で話しかけるウィッチブラック。

 「お言葉に水を差しますが、奴隷を扱っている冒険者は、特段珍しいケースではございませんよ?

 倫理観として奴隷を所持するのに忌避感を有する事は、自然な事です・・・・・・しかしこの国は、奴隷制度が残っているので気に病む必要は無いかと。

 会話中にメイドが出過ぎた真似を。ご容赦ください」


 呆れるエムヒズム。しかしそれは取り乱している客ではなく自分のメイドにだ。

 「自分が意見述べるだけでかしこまりすぎだよブラックたん。ぼくちんの館では、もっと気楽にすれば良いのに・・・・・・」

 メイドの諭しで少し落ち着いたヤマネだが、それでも困惑は隠せないでいる。


 「俺は他の人よりも魔物や悪者から狙われやすいから、この子が巻き添えになっちまうかも・・・・・・」


 「その点は大丈夫だ。チャールズ氏は実は魔術師で、危険時に身を潜める魔術が一番得意。戦闘時になったら勝手に避難するから彼の身を案じることは無い。というか一人称変わってないか? ヤマネたん」


 「エムヒズムさんって、獣人の方々を保護してるっすよね? もしあたしが実は乱暴者で、チャールズ君を虐待したり過労させたりするかもしれないんすよ!? それを許せるんすか!!」


 「その点も把握済みです」

 羊皮紙をエプロンのポケットから取り出したウィッチブラック。

 「ヤマネ様が所属する冒険者ギルドの方々から、お客様の印象・情報について勝手ながら伺い回りました。

 調査によると、『動物にも優しい』『使命感が強い』『敵にすら仲良くしようとする』『情けない俺に拍手してくれた稀有な人』『自分のお金を横領した人には、おもいっきり殴り飛ばした』との回答が。

 つまり信用に足る人物ってことです」

 (何時の間にそんな勝手なこと・・・・・・ってかみんな俺のことそんな風に考えてくれてるんすか)

  

 実は、座っているエムヒズムとヤマネの間に置いてある角卓には鎖付き首輪と首輪の鍵と書類が置いてあった。

 初見で彼女は嫌な予感をしていたのだが、見事当てはまる。


 「卓上にチャールズの首輪と奴隷契約書をご用意いたしました」

 ウィッチブラックが説明を始める。

 「その契約書に自分の名前をサインすれば、晴れて彼の所有権は、お客様に移ります。

 そして首輪には、それを装着された者が、その所有者からの命令を強制的に従事させる効果が付随されています。要は、それさえ取り付けた状態なら、チャールズはヤマネ様に逆らうことも逃げることもできないということですね・・・・・・」

 一瞬、険しい顔をするウィッチブラック。

 「良いですか? 人がたくさんいる場所や王城近くでは、絶対その首輪を外さないでくださいね?

 法律違反になりますから。それと余程信頼関係を築いてない限りも首輪を外さないことを推奨致します」


 説明を受けたヤマネは、流されるよう頭が真っ白な状態で例の書類に自分の名前を素直に記入。チャールズの方は、ウィッチブラックから首輪をはめられた。


 エムヒズムは、金貨が詰まった麻袋をチャールズに渡す。

 「ヤマネたん、これも迷惑料の内だ。良かったら受け取ってくれ」


 そしてあれやこれやでヤマネが正気を取り戻したタイミングは、ノーストフェリー宅の門前まで戻った。

 今の彼女の手には、首輪の鍵と契約書が無意識に握られていた。


 「・・・・・・・・・・・・」


 「・・・・・・・・・・・・」


 しばらく沈黙が続いた。立ち尽くす二人。ちなみにヤマネらの今いる場所は、人の往来が激しい大通り。

 唐突に。



 『まあ、あの娘。幾ばくも無い幼気な男を奴隷にしているわよ?』


 『なんという非人道的な。いくらこの国が獣人を差別しているからと言って越えてはいけない線を過ぎているぞ・・・・・・!!』


 『ぜったいあいつショタコンの変態だよ。気持ち悪い・・・・・・』


 『ヤマネ・・・・・・失望したぞ。ダンジョン依頼クエストでの無垢な貴様は、もういないというのか・・・・・・!』


 『Dランクも、あの豚と同じなんだね?』


 そういった幻聴がヤマネの脳裏に囁くよう滑りこんできたのだ。

 もう、今の彼女は、あらゆる責任を放り投げて逃げ出したい気分にかけられていた。

 しかし・・・・・・隣にいる年下の顔を見下ろすヤマネ。

 チャールズは、怯えたような不安がるよう震えている。

 

 ため息をつき覚悟を胸の奥に灯し、主としての責任を背負うヤマネ。


 「あの、いきなりのことだけどよろしくね?

 何か気になる事があったら遠慮なく言ってね? お腹空いた? とりあえず落ち着くためにどっか料理店に行こうか!」

 チャールズの目線に合わせるよう自分が屈んで優しく語るヤマネ。

 頷く彼。少し落ち着いたようだ。


 しばらく歩いた彼女らは、普段ヤマネが行かないようなおしゃれなレストランへと到着する。

 丸太小屋型の店だ。

 (せっかく金貨をいっぱい貰ったんだ。ちょっと贅沢してもバチは、当たらねえよな?

 それに今は、金貨しか持ってねえ。いつも行っているリーズナブルな飯屋だと金貨一枚だけでも支払い時に店側がおつりを出すのに苦労して迷惑かけるだろうしな)

 

 店内に入った二人。空いていたので待つことも無く席に着く。テーブルにはテーブルクロスが敷かれている。客が少ないのでそう時間が経たないうちにウェイターが人数分のメニュー表を持ってきた。

 史実の中世ヨーロッパよりもこの国においては、紙の供給・流通が盛んなのでメニュー表を備えている店は珍しくも無い。


 「何か食べたい物ある? 遠慮せずがんがん頼んでいいから」

 (まさか文字読めないとかねぇよな? いやエムヒズム伯爵のとこにいたんなら最低限の教育はこの子にやってそうなんだが)

 

 読んでいたメニュー表を閉じたチャールズ。

 「ブレッドと人参スープでいい・・・・・・」


 「一番安いメニューじゃねえか。遠慮すんなって言ったろ。せっかく報酬もたくさん手に入ったんだ。

 ウェイターさん。ブレットと人参スープ、そしてミルク二つとハマグリのハーブ蒸し焼きとサーモンのムニエルとより取り緑サラダと穀物たっぷりパンと鶏丸焼きをお願い」


 かしこまりました と答えるウェイターをよそにおどおどする彼。

 「そんなに頼んで・・・・・・」


 「いちいちビクビクすんなって。ところで何かアレルギーとかねえか? 牛乳とか頼んだんだが」

 アレルギーは、何も無いと返答するチャールズ。


 「羨ましい限りだ。こっちは、めっちゃひでえ金属アレルギー持ち。おまけに最近花粉症気味っぽいんだよな」


 特に何のトラブルもなく少し時間が経った後に料理がこちらの卓いっぱいに運ばれてきた。

 遠慮しているのかゆっくり食べ物を口にするチャールズに対し、ヤマネも早いペースで食べているわけではない。


 (やべぇ・・・・・・そういえばタワラさん家で、おかゆバクバク食ってたんだ。それなのに新しく入った仲間の手前だから気前よく頼んじまってしまった・・・・・・お残しはせん)

 「他の皿にも良かったら気軽に手を出してくれ」(頼むお願いあたしだけじゃきついって・・・・・・)

 しかしヤマネの頼みも虚しくチャールズは、自分が選んだ二皿しか手を付けなかった。

 契約書を持っている(今は、迷彩柄のバックに入れている)ヤマネが命じれば、逆らうことなく彼も大量の料理を片付けれたはずなのに・・・・・・。


 大量の皿が空になった。お腹がパンパンになっているヤマネとチャールズがカウンター前に立つ。


 「うぅ・・・・・・チャールズ君。支払い頼むよ。あたし金属アレルギーで貨幣持てねえから」

 頷く彼は、カウンター奥の店員に支払いを済ませる。


 店を出た二人。ヤマネはタワラが前しゃべった言葉を思い出す。

 「そうだ。たしかタワラさんが言うには、あたしのギルドカードは、シャルルが預かってるんだった。

 チャールズ君。冒険者ギルドに行くよ。ついてきて!」

 

 地球基準で約二十分後。彼女らは、ギルドに帰った。

 ギルド内に入るなり、チャールズの首輪と冷や汗だらだらで俯いているヤマネを何度も交互に見て間の抜けたように大口を開けている彼女の知人全員。

 特にラティスの方は、顔を青ざめて震えている。まるで信頼のおける自分の仲間が唐突に敵に寝返りしてしまったことが判明したみたいに・・・・・・。

 

 (やばい絶対やばい。周り、絶対俺のこと幼子を奴隷にしている糞野郎だと思っているに違いねえよ。

 特にラティスは、奴隷に対しての忌避感情が高いから絶対あたしのこと嫌いになる・・・・・・伯爵め。とんでもないことをしてくれたな)


 いそいそと歩いた彼女らは、奥にシャルルがいるカウンター前まで着く。

 流石に苦笑するシャルル。


 「ア、アハハッ。三日前に受けたルイスさんの睡眠魔術から回復したみたいですねヤマネさん。災難でしたね。

 体の調子は、何ともありませんか?」

 (絶対ドン引きしてるよ)

 

 「あ、ああ大丈夫だ。シャルル。タワラさんからあたしのギルドカード預かったと聞いたんだが」


 「ええ、今から保管庫から取り出してご用意しますから、少々お待ちくださいね」

 席から離れたシャルルは、背後に置かれた棚の元へと向かう。


 「チャールズ君。用事が終わるまで食事スペースの椅子で座って待ってく・・・・・・」


 「かわいいケモ耳ショタですね~。この私と遊びませんか?」

 連れの方を向いたヤマネが唖然とする。不審者が男の子に話しかけたからだ。


 髪型は赤のオールバックでヤマネより小柄。そしてチュニック型のワンピース・円錐型の帽子・丸眼鏡・白の靴下・革靴を装着していた三十代の女性。

 

 ムササビ ツリーハウス

 この冒険者ギルドを設立したれっきとした『ツリーホール』のギルド長だ。


 ギルド長!? と驚くヤマネに、ムササビは微笑む。

 「いやはや真面目そうなヤマネさんがまさかこんな可愛らしい獣人さんを買うとはなかなか大胆ですね? そうか奴隷か・・・・・・その手があった。この坊やの名前は、何ですか?」


 「チャールズです」と弱々しく答える彼。


 「チャールズ君ですか! いい名前ですね~。この私と大人のお遊びをしm」

 ムササビが犯罪行為をしそうなタイミングでストゥムが制止する。

 「ギルドマスター殿。これ以上不埒なことを申したら騎士殿に通報しますからな」


 舌打ちをする彼女をよそに、シャルルがギルドカードを載せたトレイを持ってきたのだ。

 「お待たせしましたヤマネさん。・・・・・・あれ? どうしましょう。たしかヤマネさんって、金属アレルギー持ちでしたよね? マスターとマッチロックさんがおっしゃるには、非金属のカードは、まだ完成まで時間がかかるとおっしゃっていますし・・・・・・どうしたら・・・・・・」


 「ああ、安心してくれシャルル。チャールズ君、悪いけどあたしのカードを代わりに持ってくれないか・・・・・・?」

 ヤマネの頼み通りに彼は、自分のオーバーオールの腹部辺りのポケットにカードを収納した。


 その様子を見たギルド内の人々は、自分の欲求を満たすためだけに奴隷を買ったのではなく、アレルギーにかからないため仕方なく従者を雇ったのだと認識したのだ。

 

 こちらに寄って来たラティスが呆れたような表情で話しかける。

 「その子は、あの豚から押し付けられたものですか・・・・・・?」

 ええ、まあ。と返答するヤマネ。


 「ところでヤマネさんこれからどうします? Dランク向けの依頼クエスト書をご案内できますが・・・・・・」

 シャルルの提案に、ヤマネは首を振る。

 「ちかぢかパーキング町で武闘大会が開かれる。それに備えて修行したいから依頼クエストは、しばらく受けないよ。カードを預かってくれてありがとう。それじゃ。

 行くよ、チャールズ君」

 そして二人は、ギルドから外出した。とりあえず彼女らは、宿屋にチェックインして一休みする。


 



 ※その頃、ノーストフェリー家にて。


 はあ~。と深いため息をつくエムヒズム。


 「おい、どうしたんだ豚?」

 狼少女のドサドが尋ねる。


 「イーストドレスを着てるヤマネたんの姿があまりにも美しくて・・・・・・せっかくなら『レンズクリスタル』で撮っとけばよかった」


 彼の尻を容赦なく蹴り上げるドサド。

 「相変わらずキモイなお前。・・・・・・・・・・・・」

 少し黙った彼女は、赤面した様子で提案する。

 「あたいで良かったらコスプレくらいしてやるよ。住処と食べ物提供されてんだ。借りをほったらかしにするのは、性分じゃねえ・・・・・・」


 「え!? いいの?」


 「ほら、あたいの気が変わらない内にさっさとやるぞ。豚野郎」


 「ドサド! ご主人様に対して何ですかその言葉遣いは!!」

 叱るウィッチブラック。


 「ところでブラック・・・・・・なんでKY女にチャールズを押し付けたんだ? プレゼント向きじゃねーだろ。あいつは・・・・・・」


 「お客様に、事欠いてKYとはなんですか・・・・・・! なぜ数ある奴隷の中でヤマネさんの謝礼用に彼を抜擢した理由ですって・・・・・・?」

 フフッと笑う彼女。その笑みは、ドサドよりもサディスティックに満ちていた。


 「ドワーフの冒険者様が仰っていました。ヤマネ様は前に『自分のお金を横領した人には、おもいっきり殴り飛ばした』と。その発言を耳にして私は彼を抜擢したのです」



 

 

 

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