ラティス法第七条 ラティスの前で怖い話は、してはいけない
〇アダマント・・・・・・この小説において、鋼鉄よりもはるかに硬度が高い特殊な金属として扱います。もちろんファンタジー物体です。
「ラティス。ここでは、呪文をちゃんと唱えねえと術が発動できない。大丈夫か・・・・・・?」
(呪文詠唱なんて魔術を習った初日しかしたことないよ。身体強化は常に発動しているから問題ないんだけど)
「だ、大丈夫です?」
ストゥムから譲り受けた牙の剣を右手に構えたヤマネは、ラティスに尋ねる。
「・・・・・・来るぞ。やばいのがっ!!」
<あるいは人の火 あるいは狐の火 あるいは鬼の火 あるいは竜の火
数は大多数 方位は赤霧星 燃える礫を味わえ>
滑らかな口調で呪文を唱えたピターヤの頭上に、高熱の火山弾が次々に生成されては、標的めがけて容赦なく降り注ぐ。
ラティスの方は、こちらに向かってくる弾をなんとかメタルハンマーを乱れるよう振り回し撃ち落とす。
ヤマネの方も剣で叩き落とそうと試みるも、一つの礫を受け止めた時に、あまりの強い衝撃に右腕の骨に軽いヒビが生じてしまった。
(な、んて威力だ・・・・・・!? まともに防ごうとするのは無理だ!!)
次から彼女は、斜め後ろに後退りしながら回避に専念する。
それらの攻撃は、地面に着弾した際には、一瞬で辺りの雪を蒸発させて岩盤に深く食い込んだ。
一撃でも受けてしまえば、たとえ自分の体を魔力でコーティングしたとしても深手は、避けられないだろう。
(やべぇっ! さっき発動しておいた身体強化が解除されているっ!? 早く唱えねぇと・・・・・・)
『この血は激流 この筋は強靭 この肌は鉄壁 この臓は優秀 この感は鋭敏 程度は強 全身に魔力を流し 我は膂力と機動力と防御力と索敵能力を得る』
「付加魔術『身体強化』。よし!」
ジリ貧状態のヤマネを流し見したラティスは、庇うため彼女の前側に立ち、音速よりも速く敵めがけて雪原の上を駆け抜ける。
もちろんこちらに矢継ぎ早に迫ってくる礫の嵐を一つ残らず叩き落として。
(様子見は、ここで終いですわよ)
<我は強欲な竜である 賢竜は宝物を愛でる 火竜は紅玉を慈しむ
財を奪い 宝に疵をつける賊よ 代償をこの身に受けよ>
(何を言っているのか分からいよっ!! 詠唱からは、どんな術を扱うのか分からない・・・・・・)
ピターヤにラティスの間合いが入ったタイミングで彼女の呪文は唱え終えた。
敵の術が発動するより前に決着を着けるためラティスは、メタルハンマーを豪快に薙ぐ。
しかしその一撃が、ピターヤに届くことは無かった・・・・・・。
彼女とラティスの間に透き通るような赤い結晶が、瞬時に生成されて隆起してその鈍器を受け止めたからだ。
ちなみに礫の攻撃の方は別の魔術を発動してるから止んでいる・・・・・・という訳では無く、それどころか射出速度も手数も熱すらも徐々にヒートアップしている。
打撃を防いだピターヤは、横に跳んで距離を稼ぐ。
「硬い宝石ルビーだね・・・・・・確かに盾にするなら優秀な素材です。
でもね・・・・・・」
そのままメタルハンマーの柄に力を加えるラティス。ルビーがハンマーとの接触箇所から亀裂が走り・・・・・・そして短時間で粉々に砕け散った。
「マッチロックが造ったアダマント製のハンマーの前では、無力なんだよ!」
分厚い防壁を突破したラティスは、返す刀ならぬ返す鎚でピターヤを再び襲い掛かる。
<弁償!!>
そうピターヤが叫んだ瞬間、ラティスは違和感を受けることになる。
突如自分の得物が少し軽くなった錯覚がしたのだ。
いいや・・・・・・それは、錯覚なんてものではなく。
「・・・・・・なんでラティスのハンマーがごっそり削られているの!?
アダマント製なんだから生半可な攻撃じゃ掠り疵すらつかないはずなのに・・・・・・」
ラティスの得物の頭部の四分の一程が最初からなかったかのようにいつの間にか消失したのだ。
あまりの状況に、彼女の移動速度が緩んでしまう。
代わりにピターヤの手には、先程なかった八枚の金貨が。
「へえ未来のお金ってこんな煌びやかなの? 大変気に入りましたわ」
彼女の摘まんでいる貨幣が虚空へと呑み込まれた。どうやらストゥムが所持している壺みたいに異空間に収納されたらしい。
連射されている火山弾を反復横跳びでなんとか避けているヤマネが叫ぶ。
「さっきそいつ『代償』とか『弁償』とか叫んでたぞ!
おそらく奴が生み出した結晶をぶっ壊したら、その分壊した奴の所有物を金品に変換させられて奪われてしまう・・・・・・かも!!」
<ふふふ? 魔術を発動しようにも長ったらしい呪文を唱えなきゃいけないし、かといって白兵戦を挑もうにも肝心の得物やアイテムを奪われてしまうわ。さあ、どうやって・・・・・・>
『雷の如く 我が魔力よ 術者の得物の内部まで 伝達せよ 万遍無く 硬度を 性能を 底上げせよ』
「付加魔術『武器強化』」
ヤマネよりも唱える速度や活舌は劣るものの、短時間で詠唱を完了したラティス。
ルビーの障壁が生み出される前に、彼女はピターヤの体に重く硬い横払いをお見舞いしたのだ。
<・・・・・・がっ!! 何この出鱈目な威力・・・・・・!?>
重く素早い衝撃をもろに受けたピターヤは、受け身も詠唱をすることも忘れて殴り飛ばされる。
火炎に炙られているフェンリル山の中腹まで彼女は墜落してしまったのだ。
激突箇所には、深く広い亀裂が生じている。
常軌を逸した一撃を受けたにもかかわらず彼女に深い傷はつけられていない。
<・・・・・・ぐっ! やってくれましたわね>
(ここは、『詠唱陣』の範囲外。長く外に出た状態なら陣は自然解除されてしまいますけど短時間だけならなんとか維持されますわ。
ここからなら下準備なく高火力の攻撃が一、二回くらい・・・・・・)
そう考え事をしているピターヤの前に、何かが飛来しているのが見えた。
<避けなければ・・・・・・!>
その正体は、岩の塊。それも三階建ての棟程の大きさを持っている。
Bランク以上の戦士を前に、時間を置くことは、自殺行為だ。
音速を超える速度でこちらに向かう脅威を、ピターヤは自分の背に翼竜の翼を生やして飛翔して回避した。
その岩の塊と亀裂の入った坂が激突した瞬間に、軽めの地響きが起こる。
<高威力の猛攻は、あちらの専売特許じゃなくってよ・・・・・・>
ピターヤが無詠唱で術を発動する。
自分の頭上に王城よりもはるかに巨大な燃え盛る岩石を生成したのだ。
<封印の依代である祠を山ごと潰すのは、困りますが躊躇う暇もありま・・・・・・>
そう言いかけた彼女の第六感で気配を察知した。どうやら戦場になっている山の麓には、人間達が暮らす小さな町があるようだ。
もし隕石みたいなそれを音速越えで射出しようものなら、クロムウェルが起こしたような地震が発生し、その町が瓦礫の山と化し、大惨事になるのは、火を見るよりも明らかだった。
<・・・・・・・・・・・・>
ピターヤは、先程生成した巨大火山弾をフェンリル山に置き、代わりに自身の周囲に溶岩を生成したのだ。
ちなみに今の彼女は、息切れしている。
ヤマネは敵がいるかもしれないフェンリル山の方を向いている。しかしそこには、ここからかなり遠方なため、ピターヤの姿が見えないでいた。
ちなみに火山弾の雨は、今は止んでいる。
(隕石攻撃をやめた・・・・・・? 赤に発光するドロドロしたのに変えたな。マグマだろあれ・・・・・・もしかしたらあいつ・・・・・・)
「ラティスっ!! 来るぞ!!」
「分かってるんだよっ!!
『土の象徴であるノームよ 我は命ずる 壁を張り あらゆるものを防げ 方位は・・・・・・』」
「ラティス・・・・・・どうした? もしかして方角指定の詠唱をど忘れしたってのか!?
『赤霧星』だ『赤霧星』っ!!」
「『赤霧星の元! 厚みは極 高さは高 数は一 精霊の頑強を 我の前に示せ!』『土属性 地盤壁』!!」
燃え盛る礫の次は、溶岩の豪雨。まともに浴びればたとえ身体強化済みだろうと黒焦げの火だるまになるだろう。
ヤマネと灼熱の魔術との距離は、目と鼻の先。
「あ・・・・・・熱いっ!!」
それを男性成人より高く分厚い土壁が彼女の眼前に隆起したことによって阻止されたのだ。
「あ~間に合った・・・・・・」
ため息をこぼして一粒の額の汗を拭うヤマネ。
「何戦闘中に一息ついてんだよっ!!」
そんな彼女に叫ぶラティス。瞬間。
鋼鉄よりも強固なはずである魔力の土壁の中心一点がドロドロに溶けたと思えば、そこから鋭利なルビーで包んである手がヤマネを襲った。
もちろんピターヤ。
障壁奥からの突然の奇襲・・・・・・しかしヤマネは分かっていたかのように身を屈めて回避をし、自分の首元に刺してあったつまようじを、外気に晒されてある敵の腕の一点を刺した。
<痛・・・・・・針如きであたくしを止められるなんて舐められたものですわね>
<針一つでも甘く見ない方がいいぜ? あたしは、それだけで死にかけたことがあるからな・・・・・・>
(まさか毒針!?)
土壁の上半分が崩れる。焦り顔のピターヤが露になったのだ。
(しかしあたくしは、曲がりなりにも医者何ですわよ? 毒如き魔術で・・・・・・?)
そう警戒する彼女だが、特に体におかしな様子は見られない。
(遅効性・・・・・・? それともはったり? 症状が分からない限りむやみに解毒はしない方がいいわね)
<あるいは炭 あるいは焼石 あるいは灰 あるいは蒸気
範囲は広大 方位は南極星 灼熱の波を味わえ>
『水の象徴であるウィンディーネ 我は命ずる あらゆるものを押し流せ 方位は赤霧の元
威力は絶大 精霊の猛威を 我の前に示せ!!』
<火炎>
『水流』
ピターヤは火、ヤマネは水と、お互いの掌から元素魔術が射出され、それぞれの超常が衝突する。
「・・・・・・ちっ」
しかし拮抗することは無かった。自然に考えれば火よりも水の方が優位に感じるだろう。ヤマネの魔術はピターヤのそれよりもはるかに魔術の出力が足りなかった。
水蒸気が辺りに満ちる。
傍から見てもわかるようにヤマネが追い詰められてしまい、そう時間が経たない内に押し敗けてしまった。
迸る火炎が、敵が立っている場所を呑み込み焼き尽くす。
<・・・・・・・・・・・・>
視界が白いモヤで満たされているピターヤは、自分の尻尾を背後に勢いよく払った。
「・・・・・・がっ!?」
彼女の尻尾にヤマネの腹が激突してしまったのだ。
牙の剣が、雪原に力なく落ちる。
(な・・・・・・こいつ純粋なステゴロでもかなり強ぇえっ・・・・・・身体強化してなければ確実に死んでた!!)
<水の攻撃は水蒸気を生み出すためのもの。わたくしの視界を奪って背後から斬りかかろうとしたかもしれませんが、残念でしたわね。
わたくしは、生物の気配を察知する特殊な感覚機能を有しているの。魔術とは別の能力ね・・・・・・ん?>
説明している途中でピターヤは、自身の体に違和感が突如覚えたのだ。
<あ・・・・・・つい? 熱い!? 火竜であるはずのあたくしが、こんな低火力の炎ごときに熱がるなんて・・・・・・!!>
振り返り、吐血しているヤマネのにやけ顔を目にした彼女は、焦る。
<貴方・・・・・・あたくしに何を・・・・・・>
<何・・・・・・魔術とは別の能力使うのは、あんただけじゃねえってだけよ。
熱を感知する神経を過敏にさせる経穴を突いた。今のあんたは、ちょっとした火の粉でも我慢できないと思うぜ?>
<ケイケツ? 熱系の魔術を封じたつもりねっ!! じゃあ肉弾戦で貴方を殺せば・・・・・・>
「隙だらけなんだよ?」
武器を強化し重量を一時的に加える魔術の詠唱を終えたラティスは、ピターヤの脳天めがけて容赦なくメタルハンマーを振り下ろした。
潰されるピターヤの立っている場所が陥没する。
「・・・・・・・・・・・しぶといです」
忌々しそうに眉をひそめるラティス。
先程の一撃を受ける前にピターヤは、ルビーを纏った右手をとっさに自分の頭上に掲げて防御態勢を取ったのだ。
それが強い衝撃によって崩れる。
同時にラティスの得物の柄が、特殊なルビーの効果で消失し、ピターヤの懐が潤った。
「よりによってハンマーの柄が・・・・・・」
掛け声とともにピターヤは、怯んでいるヤマネめがけて自分の頭に圧し掛かっている金属塊を投げつける。
それをぎりぎりで彼女は避ける。
とりあえずの危機は回避した・・・・・・かに思えた。
「・・・・・・え」
ヤマネの足元が崩れる。雪の蓋に覆われた縦穴に足を掛けたからだ。
「ヒドゥンクレバス!?」
焦るようラティスは、土魔術で前みたいにヤマネを助けようとするも、術が発動しなかった。
ピターヤの『呪文陣』の影響のせい。呪文を唱えなければいけない。
そのままヤマネは、光の届かないクレバスの底めがけて闇に呑まれるよう消えていった。
「ヤ・・・・・・ヤマネ・・・・・・」
絶望した表情でクレバスに寄るラティス。
<・・・・・・よりによって、今回の戦う相手は、仲間想いの方・・・・・・か>
敵を一人撃破したはずのピターヤの表情は、どこか悲しそう。
「か・・・・・・仇は、取ってやるですっ!!」
号泣しながらメタルハンマーだった金属塊を拾って抱えるラティス。
取り乱しているそんな彼女に、ピターヤは黙って火炎の波を放射したのだ。
全身火だるまになるラティス。
「な・・・・・・呪文を詠唱しないと術が発動しないはずなんだよ・・・・・・??」
<熱っ! どうやらわからないようね。上を見なさい。って、言葉は通じなかったっけ>
上空に人差し指を差すピターヤ。
仰いだラティスは、呆気にとられた。
先程まで存在してあった赤く輝いている巨大な魔方陣が消えてあったのだ。
<そう、たった今時間切れで消えましたの。そして貴方の命もここま・・・・・・>
メタルハンマーだった金属塊をラティスは、ピターヤ目掛けて振り上げるよう投げる。
しかしピターヤは屈んで避ける。実はコモドの流れ弾を受けそうになった時、彼女は目視で避けていたのだ。その位彼女は、竜人族は動体視力が優れていた。
投げ飛ばされた金属塊は、ユミル山の山脈に建てられていたモニュメント・・・・・・ユミルの墓石の基盤に激突。
そしてそれは、根本からぽっきり折れてしまったのだ。
<先程の受けた打撃も治癒魔術で治りましたわ。
攻撃と防御と回復を具えたあたくしに、敗け筋はないですわよ・・・・・・ん?>
竜人族の耳は、動体視力同様人間より優れている。
(何・・・・・・背後から雪崩のような音・・・・・・が)
轟音の元へと振り返ったピターヤは、青ざめた。
雪崩だ。それも塔程の大きさを誇る墓石ごとこちらに流れている。
<に・・・・・・逃げなきゃ・・・・・・>
慌てて飛び立とうとするピターヤだが失敗する。
大量の粘土が彼女の周囲に湧き上がり、標的目掛けて纏わりついたことにより、彼女の飛行が失敗したのだ。
<く・・・・・・まずは、彼女を先に倒さないとってあれ? いない!?>
登頂にピターヤが目を向けた瞬間に、ラティスは砂魔術で自分を燃やす炎を消して急いでちゃっかりここから離脱していた。
悶えるようピターヤは、暴れるも脱することが間に合わず遂には、傾れこんできた墓石に全身をぶつけてしまった。そのまま大量の雪とともに燃え盛る谷めがけて土砂崩れの如く流れていく。
(な・・・・・・滅茶苦茶重い・・・・・・建物に潰される程度で竜人のあたくしが出られないなんて・・・・・・)
ラティスの扱う魔術の中に、直接間接問わず触れたり殴ったモノの重さを変えるものがある。
メタルハンマーに上記の魔術を彼女が付与したことによってそれに殴られた墓石も重さが加えられたのだ。
全身に圧し掛かるモニュメントに鼻口を塞ぐ雪により、ピターヤは、流される途中で失神してしまった。
その頃、ユミル山脈の分厚い雪の底。
『起きて! 起きて!』
「う~ん・・・・・・」
積み上げられた雪のベット上にヤマネが倒れている。
どうやら生きているようで、落下による外傷も特に見受けられない。
『起きて! ぺちゃパイ君・・・・・・』
「ぺちゃパイぺちゃパイうるせぇえんだよっ!! コモド隊長!!」
瞬時に目覚めて勢いよく起き上がり怒鳴り散らすヤマネ。
「あれ・・・・・・俺は・・・・・・」
周囲を見渡す彼女。周りには、氷の壁しか見れない。眺めるだけで寒そうだ。
頭上を見上げる。視線先には、光が微かにこちらに漏れているのを捉えれた。
「そうか・・・・・・あたしは、クレバスの底に落ちたのか・・・・・・あれ? どうやって助かったんだ? 流石にちょっと積まれただけの雪じゃクッションとして足りないだろうし・・・・・・」
『それは、ボクのおかげさ・・・・・・!』
ヤマネの眼前まで、灰色のモヤみたいな煙みたいなものが降りてきた。
「何者だ? 悪霊か・・・・・・?」
ふと彼女は、タロッタービルァの帰り道や前の話の時の事を思い出す。
自分の左肩に時々変な圧を受けていたことを。
『違うよ。君の味方だ・・・・・・!
ボクの名は、アンドリュー』
そのもやは、自然に形作られる。
「・・・・・・なんだその姿。マスコットか? にしては可愛げのない」
『失礼な・・・・・・それにこの姿は、タロットに無理やり変えられたものだ!』
ヤマネの前には、巨体で四足歩行の獣が浮いていた。
女神の名を聞いて取り乱すヤマネ。
「な・・・・・・お前タロットの事知っているのか!?」
『知っているも何も太古の昔、あの糞アバズレ女神直属の天使をやっていたんだ。
まあ奴の横暴さをたしなめようと進言したら、逆上されて堕天させられて鏡の中に封印されたけど・・・・・・』
「昔っからひどかったんだアイツ・・・・・・。
それでなんであたしの傍に憑いているんだ?」
『それは、君から魅力的な霊気が漂っているから、ついつい取り憑いちゃった。てへっ!』
「やっぱり悪霊じゃねえかっ!!」
『まあ落ち着いて落ち着いて。君、タロットを憎んでいるんだろう・・・・・・・?
火竜の竜人に追い詰められているんだろう・・・・・・?』
はっとするヤマネ。脳裏にラティスの姿が浮かぶ。
「そうだ仲間がまだ上にいるんだった。てめえの話に付き合っている暇はねえ」
『まあ待ちなさいな。今行っても役に立てないと思うよ?』
「く・・・・・・確かにそうだが、あたしより年下な子が危険な目に遭ってんのに、ほっとけねえよっ!!」
『ねえねえ再び聞くけどタロットを憎んでいるよね?』
もちろん! と力強く即答するヤマネ。
『ボクもそうだよぺちゃパイ君』
「さっきから喧嘩売ってんだろてめえ。つまり・・・・・・何が言いたい?」
『何が・・・・・・? 決まっているじゃないか!』
前足を無理やり上げて器用に肩をすくめるジェスチャーをする。四足歩行の動物は、そんなことは本来出来ないはずだ。
『タロットを憎む者同士で手を組むことに決まっているじゃないか・・・・・・!』
④常に対象者から、凶悪なゴースト系モンスターが心地よいと感じさせる霊気を発する。というヤマネの祟りが原因でアンドリューが彼女に寄って来たのです。




