まちあんない
説明が多めの回となっております。時間に余裕のある時にお読みください。
自分の力不足で分かりにくい説明になってたらごめんなさい。
いずれ書き直すかもしれないし、しないかもしれない。
次にお前は どっちやねん!と言う。
「その前にオマエ、コレ被ってろ」
そう言って、私の服についてたフードを被せてくる。
「オマエの黒髪は目立つからな。余計な面倒はごめんだ」
「ワタシはきれいな髪だと思うわよぉ?prprしたいくらい」
ハハハ…。
街は王都というだけあってかなりの賑わいをみせていた。様々な屋台のようなものが立ち並び、あちこちで客を呼び込む声が競い合うように現れては消えを繰り返し、街を活気づけていたからだ。それは戦争中とはとても思えない光景だった。
クキョさんはそれらに見向きもせず、目的地へと向かう。私はというと、まるで田舎者のようにキョロキョロと辺りを見回しながら、彼女の後をついて歩いていた。…ショトさんはそんな私を横目でチラチラ見ながらハァハァしていた。
気づかないふり、気づかないふり。ここはこれが正解…!
街の人たちは、半そでや膝丈ほどの短パン、スカートといった恰好がほとんどで、私たちと同じような服装をしている人は見かけなかった。
ということはおそらく、この服はお城に勤めている人の制服というところだろうか。
厚着をしている人も見かけないことからこの辺りは温暖な気候なのだろう。暑くもなく心地よさを感じる。
「まずは子供のころから巡っていくか」
前を歩くクキョさんがそう提案し、ショトさんはそうね、と返す。
子供のころから?どういうことだろう。
言葉の意味を考えている間にその目的地へと着いた。
「ここだ。ヨウマイン」
【幼魔院】
2,3歳くらいから通い始める施設。ここで魔力の使い方を覚え、そこから理を学ぶという。
要は、獣が自然に生きていくように、この世での生き方を自身の魔力を通して自然に理解するのだ。
マガク(おそらく魔学)という職の人間が教えているらしい。
ホントだ、たくさんの子供たちがいる。みんなカラフルな頭してるなぁ。
けど黒髪は一人もいなかった。
うーん…、勉強してるようには見えないなぁ。さっきの話でもそんな感じはなかったし…勉強はしなくていいのかな?
羨ましいと思わないあたり、私は別に勉強が嫌いとかそういうことはなさそう。
子供の一人がクキョさんに気付き、近寄ってくる。
「おねーちゃん!」
他の子供たちもそれに気づき、クキョさんはあっという間に子供たちに囲まれる。
子供に人気があるという、彼女の意外な一面が知れた。
だが、魔学の人たちはいい顔をしていなかった。その理由をその時の私は知る由もなかった。
「ここを出るとみんなどうするんです?」
子供たちから解放された二人に尋ねる。最もショトさんは自分から絡みに行ったわけだが…。
そんなことよりも!んー、学校とかないのだろうか。普通に生きていけるのなら勉強しなくていいのかな?
「それを説明するには、まだ他に説明することがあるわぁ」
説明部分は長くなるからどうでもいい人は飛ばしてね! ニア《スキップ》
【魔力量の遺伝と職】
魔力量は親からそのまま受け継ぐ。男児は父親から、女児は母親からほぼ同じ量の魔力を持って生まれてくる。そして生まれ持った魔力量は生涯増加することがない。(努力など後天的には増やせない。)
この地では魔力量によって職が決まる。戦闘の勝敗に魔力量が大きく作用する兵士などは女性がなることがほとんど。魔力量は男性よりも女性の方が圧倒的に多いからだ。そのため魔力で劣る男性はその筋力をいかした職に就くのが普通となっている。そしてこの世界では子は親とほぼ同程度の魔力量を持って生まれてくるという理由で親の職をそのままつぐのは当たり前のこと、一般常識なのである。
ただ、ごくまれにだが、親よりも少なかったり、逆に多く持って生まれてくる場合もある。
「そういうわけでぇ、ここを出た後はそれぞれの親の元で職見習いとして働くのよお」
この話を聞いて何故か私の心がざわついた。
「それって生まれる前から道が出来ている、ということですよね」
「面白い表現をするのねぇ。そうね、そういう言い方もできるわね」
「なんか嫌じゃないですか?勝手に決められてるのって」
私の発言に二人はきょとんとしていた。
「…?何かおかしなことかしら?」
私の言っていることが全く理解できないらしい。二人が顔を見合わせていた。
「だって、そうじゃないですか!そこに自分の意志は全くないんですよ!?自分の道は自分で決めたい。じゃないと親の…」
言いかけてやめた。つい語気を荒げてしまった。自分で自分を止められなかった。
呆気に取られるショトさん。
しかしクキョさんは違った。それまで黙って聞いていたクキョさんがいきなり私につかみかかってきたのだ。
「じゃあ、なにか?この世界の人間はみんな意思なく生きてるっていうのか?」
今度は私が呆気に取られる。肩を強くつかまれ、息苦しくなってくる。
怖い…。まだ出会ったばかりだけど、こんな顔のクキョさんを見るのは、戦闘以外では初めてだ。
「継ぎたくても継げねぇ奴もいるんだよ!どんなに努力してもな!」
「はぁい、ここまでよお?」
割って入ったショトさんに気付き、クキョさんはハッと我に返る。
ショトさんは周りを気にしていた。人がたくさんいる街中で、兵士であるクキョさんが騒ぎを起こしてはまずいと思ったのかもしれない。なだめるかのようにクキョさんをじっと見つめ、静かに首を横に振る。
「わるい、すまなかったな」
手を放し謝ってきたクキョさんの表情はもう元に戻っていた。慌てて私も謝る。
「ごめんなさい!でも何故か止められなくて…」
「はいはぁい、せっかく楽しく街案内してるんだから、ここまでにしましょお?」
謝り合戦になりそうなのをショトさんが止める。彼女がいてくれてよかったと、初めて思う。
「それじゃ次、いきましょ?」
そう言って次を促し、目的地へ向け歩き始める。私は少し離れて二人の後をついていった。
「…ありがとな」
「…ま、幼馴染だからね」
二人の呟きは街の喧騒で消され、私には聞こえなかった。
「というわけで、次はここだ」
いつもの調子で言うクキョさん。さっきのことはまるでなかったかのようだ。
【魔工所】
魔力を普通よりも多く帯びた鉱石『魔鉱』を加工、販売する施設。
魔鉱はこの世界の様々なものに利用されており、武器はもちろん家庭で使う調理器具やこどものおもちゃなど幅広く使われている。
魔鉱の加工にはケンマ(おそらく賢魔)という職が関わっている。加工する前の魔鉱は魔力を帯びただけのただの鉱石に過ぎないので重要な職である。
【賢魔と魔鉱】
魔鉱の魔力を自身の魔力で調整し、それぞれの役割を与える能力を持つ者たちで構成された職。使用者が目的に合った使用法ができるようにするのである。
例えば、魔力を送ると熱が発生するように調整すれば、それは火をおこしたり調理に使ったりと出来る。
ただし、1度調整された鉱石は他の効果を与えるための再調整は出来ない。上書きしようとすれば鉱石はぼろぼろと崩れ砂になる。なので転用は出来ない。
賢魔の中には自ら鉱石を加工する職人もいる。
【魔力と武器】
魔鉱に流し込める魔力はその大きさに比例する。魔力量が多い者ほどより大きくより長い武器をあやつることができるのだ。
ただし相性、適正というものがある。
例えば、槍と相性が悪い者は槍は使えない。剣適正ではあるが一般人よりは槍が使える。
分かりやすく言うと、相性が悪い=その武器は全く使えない。適性がない=使えることは使えるが、一般人よりは多少ましな程度でしかない。両方備わっている者がその武器を一番うまく扱えるのである。
何で飛ばしたし。
つまり、筋力よりも魔力が多い方が強いってことだよね。魔力が多ければ重さなんて関係ないってことで―――クキョさんはあんなに大きい剣を軽々と振り回してたから魔力がすごいと…。
でも筋力も男の人と同等かそれ以上だよね…?うん……??
「おい!なにやってんだ?中入るぞ!」
「へぇ、ホントいろいろなものが売ってるんですね」
お店部分を見て回る。なんか雑貨屋みたいな感じだ。
「この小っちゃいのは何ですか?いっぱい種類がありますけど」
大きさはこのくらい →|コ(←人差し指と親指)だろうか。ホントにたくさんの種類がある。
※敢えての表現方法です。一寸ほどです。
「それはマグだな」
マグ…?また聞いたことない言葉が。
「専門はおチビちゃんだからぁ、今度聞いてみればいいわぁ」
おチビちゃん…。クマちゃ、さんか。仲良くなるきっかけになるかな。
――――ここも…。
周りの人たちを見る。みんな汗を流し一生懸命働いている。それを見ても私の心は…。
みんな親の後を継いで働いているんだよね…。
そのあとも街をいろいろ見てまわった。
「なんかいい匂いしますね!」
「おう!食ってみるか?」
「…これ、何のお肉ですか?」
「ケモノだよ」
「ケモノって何の?」
「ケモノはケモノだろ?」
「……………」
「これは何ですか?」
「森で採れた木の実をすりつぶして練ったものを焼いたのよぉ。これはね――――」
「…もち?―――あ、おいしい。いいですね、これ」
「フフ、ほっぺについてるわよぉ?ペロッ」
「うひぃ?!」
「おいし」
「……………」
なんか食べてばっかりでした。