かのじょのいちにち
レイセの朝は遅い。
みんなが一生懸命汗を流して働き、そろそろ休憩しようかといった時間に目覚める。
しかも彼女は、
「ふあああ――――ん…、今日はいつもよりも早起きだな!」
と、いった感じで、みんなが休憩を終えた時間に体を起こす。あちこち跳ねているぼさぼさの髪の毛が、その睡眠時間の長さを物語っている。
ひどい時は、眠気眼で辺りをきょろきょろ見回し、体が自然に後ろに倒れる。その最中に彼女は夢に入る。
そんな彼女の最高睡眠時間記録はというと、
『君たちは今までどのくらい寝たのか覚えているのかい?』
――――だそうです。
決して休日というわけではない。決して休日というわけではない。
これが平時の彼女の朝の目覚めだ。
それから、ゆっくりと食事をし、ゆっくり支度をし城へ行く。
遅いときは日が落ちかけているので、この日は早い方である。
遅い時の事例としては食事をしながら寝落ちしかける。歯磨きしながら寝落ちしかける。着替えをしながら。(以下略)
そして、一体何しに来たのやら、他の人間が気づいたときにはすでに帰宅している。
その後、みんなが仕事を終えるころには、彼女は夢の中。
これがレイセの一日であった。
ちなみにその日は演習が予定されていたが、城に到着した時にはすでに終わっていた。
レイセは珍しくしょぼくれた雰囲気を出していた。どうやら二人の部下にこっぴどく怒られたようだ。
特に効いた一言が、
『寝るのは、ワタシの、特権!設定、取らないで!』
その部下の怒りはなかなか収まらない。
『あと、これ、何回目?ワタシ、たいちょうと、演習、したこと、ない!』
レイセは何も言い返せず、もう一人の部下はくくと声を殺して笑い、腹を押させていた。
彼女は新兵のころからそうだった。
毎日毎日遅くに来て上司に叱られても、まったく改善することはなく、そしてついには!
上司が諦めた。
周りもとやかく言うのを止めた。何を言っても、彼女は何を考えているのか分からない顔をしているからだ。
誰も彼も気づく者はいなかった。
彼女も諦め、いつも通りの日々を過ごしていた。
しかし、彼女がそれを許される理由があった。魔槍として王国最強の魔力を持っていたからだ。(女王除く)
今は戦争が起こってないから彼女の力は必要ないが、いつ何があるかは分からない。
だから、みんな諦めているのだ。彼女の勝手を。
ただ、誤解しないでほしい。彼女は悪意を持ってやっているわけではないのだ。
彼女にとってはこれが『普通』
だから余計にたちが悪いと言われてはいるが…。
そんな彼女にも部下ができた。




