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魔理  作者: 新戸kan
がいでん

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56/301

おり

ここから先は勢いに任せて書いたので、

?となることがあるかもしれません。(言い訳)

あと、分かりやすくするためという理由で章分けしました。

 ワタシはずっと一人だった…。



 ワタシの親は二人とも優秀なケンマだった。今市場に出回っているものや、ワタシが使っているマグの中にも両親が研究、発明したものが多くある。その中でも転送のマグは歴史上類を見ないといわれるほどの快挙だった。


 両親はいつも研究施設に籠っていた。子供ながらにさみしくはあったが、それ以上に二人を尊敬していた。いや、今でも尊敬している。だから、ワタシもケンマになるんだとずっと思っていた。


 だけど、現実は非常だ。


 ヨウマインでワタシにはマグとしての才能があることが分かったのだ。それも歴史上類のないほどの。


 ――――ヨウマインを出た後、お城の偉い人がワタシのマグとしての生を示す。両親も喜びそれを受け入れた。そしてワタシも両親が喜ぶならと受け入れた。

 ホントは二人と同じケンマになりたかった。だけど、それを言えば二人はどう思うだろうか。

 どっちを選んでも喜んでくれる、今ならそれが分かる。

 けど、ワタシは子供だったのだ。


 その日からワタシは自分の心を檻の中に閉じ込めた。そうするのが正しいことだと信じて疑わなかった…。

 


 本来なら親に習うのが世の常。けど、ワタシは両親とは違う生を歩む。

 マグになると決めたワタシは、両親と離れお城の施設で暮らすことになった。そこでマグとしての修練が始まった。

 同じマグの使い手から基本をはじめ、戦闘の補助など様々なことを学ぶ。そして、ワタシは数日でその人を超えた。



 ワタシは即、部隊へと編入された。当時まだ子供ではあったが、マグは直接戦闘をすることがないので、問題はなかった。それにワタシが生まれてから戦争は起こっていない。(その前は知らないが)それも理由の一つなのだろう。


 戦争は起きなくとも起こり得る有事には備えなくてはならない。演習は日々行われた。

 その日々が今のワタシを完成させた。基本や座学だけでは学べないことを実戦形式の演習から自らの力で学ぶ。

 そう――森の中や何もない平地など様々な場所で実戦を想定して行うのだ。マグとしてこれ以上の学び場はない。


 マグは相手の陣形やそこから考えられる戦術などを瞬時に解析、判断し味方を補助するのがその役割だ。何も考えず突撃するだけの人たちとは違う。


 その日もそうだった。


 突撃している味方の後ろががら空きだった。そこを狙い相手が槍を向け突進してくる。ワタシはそれを魔力の壁で防ぐ。そして、その隙に他の味方が撃退した。攻撃された側はそのやり取りにすら気づかず目の前の相手にご執心だ。


 演習ではそれ用の武具を使う。

 防具は肌の露出を極力なくしたもので、欠点はやや動きにくくなるくらいだ。その真価は専用武器でという条件付きだが、防具の上からならば傷一つ負わないという優れモノだ。原理は良く分からないが、互いに反発しあうように作られていて、それで衝撃を和らげるのだとか。

 だからと言って攻撃を食らって良いわけがない。たまに隙間に当たって怪我をする人間もいるというのに。


 まったく、やれやれだ。本当の戦いなら今ので死んでいたかもしれないのに。


 演習ではいつもワタシ側の陣営が勝つ。なぜならワタシは天才だから。周りが無能でもワタシがうまく援護すればいいだけの話。周りもそれを当たり前と思っている。だからワタシに羨望や憧れといった目を向けることはない。


 いや、彼女らはそれらとは全く反対の目を向ける。彼女らにとってワタシは異端な存在なのだ。

 この地では親の後を継ぐのが普通。つまり、ワタシは普通ではないのだ。たとえそれが歴史上類のない才能を持っていたとしても…。


 ワタシは異常なのだ。



 ある時急な配置転換が行われた。おそらく異常者のワタシを追い出したい人間がいたのだろう。

 だが、ワタシにはそんなこと関係ない。ワタシはワタシの仕事をするだけだ。

 そこが問題児の集まりだったとしても、だ。


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