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魔理  作者: 新戸kan
あなたとのひびと

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24/302

わけ

「ふぇえええええええええええん」


 どうしてくれるんですかぁ、これ最後の一着だったんですよお!

 私が持ってきていた中身のぎっしりと詰まった袋は、今や空気の抜けた風船のようだった。今着ている服も、もはや服とは言えない状態である。

 私がぐずっていると、クキョさんが自分の荷物から何かを取り出した。

「ホラよ。オマエのだ」

 手渡されたものを見てみると、それは私が着ていたジャージだった。

 クキョさんが持ってたんですね。でも、何故?というのはどうでもよかった。

 私は羞恥心からか急いで着替えた。それはもう光の速さで!


 なんだろう…、この実家のような安心感は。


 安心もつかの間、クキョさんは新たなマモノを見つけていた。またスライムだ。

「よし、次だ!ナタカ!」

 貴女が鬼か!この鬼畜!ロクデナシ!

「大丈夫だ、アタシを信じろ!」

 私の言うことを無視して、さっさとやれと言ってくる。

 クマさんも一緒になって親指を突き立ててる。


 もう、こうなりゃヤケです!やってやる、やってやるぞ!

 勢いに任せ刀を振るが、やはり弾かれてしまう。分かっていたことだが、それでニ撃目を躊躇ってしまった。そしてそこに隙が生まれる。

 私はまた服が溶かされると思っていた。目を閉じ、裸族になる覚悟をした。しかし、スライムはそんな私を無視してどこかへ行ってしまった。


「やったな!初勝利だ!」

 クキョさんは嬉しそうに背中をバンバン叩いてくるが、私はぜんっぜん嬉しくなかった。というか、無視されてどこか行っただけなので勝ったことにならないのでは…。


「その服なら、問題、ないね」

 クマさんは確かめるようにジャージを触ってきた。

 この瞬間から私の外出着が決まってしまった。

 私はこれから、ジャージ女として生きてゆきます…。




 その日の夜。

 クマさんは早々に寝てしまった。

 私も心の傷を治すため、早く寝よう…。


 ―――寝ようとしたのだがクキョさんが私の髪を触ってきて、気になって眠れない。


「オマエ、髪長くして戦いにくくないか?」

 言われればそうだ。でも、これまで気にしたことはなかった。

「アタシが切ってやろうか?アタシみたいに短くしてやるよ」

 クキョさんが?とも思ったが、髪は自分でやってるそうなので、素直にお願いすることにした。

 クマさんの髪も切ったことあるって言ってたし、大丈夫だよね…?


「オマエの髪きれいだな」

 髪をほめられたのが嬉しくて、ちょっと照れる。でもこの感覚、前にもどこかで…?

 何かが一瞬頭をよぎったが、残ることなく消えていった。

 気持ちいい…。私も撫でられるの好きなのかな?クマさんの気持ちが分かる…。

 寝るところだったせいか、ウトウトと眠気が襲ってきていた。だけどクキョさんが私の髪を掴み、刃物を当て切ろうとした瞬間。

「ぃやっ?!」


 私は無意識に拒絶していた。

 クキョさんは呆気に取られている。私も何故拒絶したのか分からなかった。

 慌てて謝ろうとするが…。

「いや、オマエにはオマエの考えがあるんだろ?」

 アタシが悪かったと、長いままの私の髪を撫でてきた。

「まだまだ先は長いから、アタシらもさっさと寝ようぜ?」


 私は、なかなか寝付けなかった…。



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