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魔理  作者: 新戸kan
にぶ

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128/307

ごりむちゅう

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。(二日遅い)

抱負ですか?

ゆっくりと成長できればいいなと思います。主人公が

 鼻息を荒くしながら浴場へ向かう。

 これはやる気に満ちているからです、悪しからず。

 少しでも空いた時間があれば有効活用したい、着替えを忘れる程その思いは強かった。


「ドリーさん!よろしくお願いします!」

 

 勢いよく開け放たれた戸と私を見てきょとんとしていたドリーさんだったがすぐに顔が緩み手を止めた。


「待ってたよ。アンタも忙しそうだからね。でもまぁ来るとは思ってたよ」

「また女王様ですか?」

「ん?まぁそんなとこさね」


 女王様のじの字だけで過剰反応を起こしてしまう自分がいるわけで、ならばと先手を取ってみた。

 案の定その通りだったのだが、これだけで伝わってしまったのが何かこう…何かこう……分かるでしょう?と有耶無耶していると。


「それじゃ早速始めようかね。そうだね、アンタが今着ている服で」

「はい!……………え?」


 瞬時に切り替える。すると、汗臭さを染め上げる爽やかな香りで鼻腔が満たされる。

 そこらの兵士さんより余程逞しい腕をしたドリーさんから着替えの載った洗濯板を差し出されていた。

 一度二度と交互に顔を向ければじっと見ている彼女とその度に目が合う。まずは腕を見る、ということでしょうか。

 私には出来なかったことを伝えたはずなのにと内心疑問が湧くが、見てみないことには始まらないということもある。

 とりあえず今の私に出来ることをの精神で板を受け取った。


 気合十分に袖を通した。脱衣所から戻った私はそれではと獲物を確認する。

 洗うのは脱ぎたてお城の制服。向こうの衣類の様に取り扱い表示があるわけではない。

 けれど側にある木編みの籠には既にドリーさんの手によって新品同様となった白服が掛けてある。他に物がない以上、目の前の桶を使ったのは間違いない。


「よぉし!やりますよぉ!」




「違う。もう一回」

「……………え?」


 その後も同じやり取りが繰り返され、ぽたぽたと指先から垂れる水滴が小さな湖を作り出していた。





「違うな。もう一回だ」

「……………え?」


 場所を変えても同じことを繰り返すとは思わなかった。



 半刻もいたわけではなかったように思う。しかしそれ以上の疲労、初めて竹刀を握った素人に小手打ちされたような、精神的な破損。

 廊下を歩いていても、ドリーさんの『違う』が山彦のように繰り返され、終わりのないクママさんの説教を受けているような、途方もない、これなら素振りを永遠に続けていた方がまだ良いと思えるほどだった。

 しかし私にはめいど喫茶の献立を作るという希望があった。気持ちを切り替えてバンさんの教えを乞うつもりでいたのだ。覚束ない足元に鞭打って。

 それがこれだ。

 ドリーさんはいらいらを募らせ雷鳴の如く空気を震わせていたが、バンさんは表情を変えず淡々と「違う」を繰り返すばかりだった。



「明日も来いよ!」


 再会の口約束はドリーさんにも言われたが、私は言葉で返すことが出来なかった。


 


(ああ、そうだ。帰ってきた時に言われてたんだった。アプテさんに、空いた時でいいので来てくださいと)


 癒しを求めてまた孤児院へとはいかない。私はあの子達の支えとなるんだ。煩悶する私を見せることはできない。

 できないのだが、幾本にも繋がれた鎖を引きずる様に足が異常に重い。始める前の呼吸はどこへやら、繰り返すほどに地面に沈んでいくよう。

 とぼとぼと歩くは明かりの無い暗い道、その先には道着を着た父様とあにさまの姿があった。


 家族の指導は二人とは違うものでした。他の習い事の先生もどちらかと言えば家族の指導に近いものでした。

 ドリーさんとバンさんはただ違うと言うだけ。私自身を否定されているようで、頭の中が「違う」一色で染められるほどだった。





 そして私は体まで揺らしていました。


「…クマさん、私はどうして荷台に乗せられているのですか?」


 翌朝起きて直ぐキモチを咥えさせられ、着替えを急かされ、手を引かれてコ・ネコ屋へ。

 今現在は白黒毛並みを颯爽と揺らすタマちゃんの荷台の中。傍らにはクマさんと。


「彼女まで何故ここに?」


 黒を基調とし白のふりふりをあしらっためいど姿の彼女の三人で。

 彼女はクマさん寄りのやや離れた位置で、中が見えそうなのもお構いなしに足を曝け出して寛いでいたが、私の発言が早速気に食わないらしく。


「あ?アタシがいちゃいけないってのか?」

「ち、違いますそんなんじゃ……………違う」


 自分の言葉にも囚われ彼女そっちのけで思考に耽る。調子が狂うとばかりに彼女はけっとそっぽを向いた。


「ワタシに、任せる。丁度、良かった。試したいこと、あった」


 クマさんはクマさんで訳の分からないことを言っている。

 私はただアプテさんの為にもなって一石二鳥と、「違う」から思考を置き換えようとしただけだというのに。

 たったこれっぽっち考えただけで黒く塗り潰される感じがする。

 それとは反対に躁躁たる尻尾、タマちゃんが引いているということは目的地はあの廃坑。帰りは途中寝ていて覚えていなかったが、以前の行きと比べると更に酷くなっている。それでも酔わないのはクマさんの魔具のおかげか。

 でも今回は酔っていた方が良かったのかもしれない。頭が正常だと際限なく羅列していく二文字で破裂してしまいそう。まだまだ鬱蒼としている景色が迫ってくると感じる程だった。

 何が「違う」んだろうか?二人はどうしてそれしか言わないのか。答えは出ない。



 ちらりと窺えばまだ機嫌の悪そうなめいど少女。未だに名前を知らない。

 でも彼女を見ていた方が考えなくて済む、何となくだけどそう考えた。木を隠すならということ、レイセさんの言葉が気に掛かっていたのもあるのかもしれない。この場合は森を隠すなら木というのが正しいのだろうが。


 彼女は魔物との戦いで私を支えた。

 疲れの取れない目で改めて彼女を見る。

 クキョさんみたいにむきむきではない。そこらの人と大して変わらない体格ですらある。その彼女が10間はある高さから、んー貫ある私の重量を受け止めた。相当の衝撃だったはずなのに、力を逃がしたようにも見えず吸収したようにも。正に受け止めた。


「魔鉱だから魔力が、ではなく、元々の体の……」

「おう、人を見て何ぶつぶつ言ってる?ケンカか?やろうってのか?」


 いけない、つい口に出ていた。力無い目が逆に睨みつけているようにも見えたのかもしれない、喧嘩っ早い彼女が啖呵を切っている。


「ち、ちがっ…………そろそろお名前を教えてもらおうかと思いまして」


 咄嗟に切り返せた。この学習能力が何時でもあればクマさんにも怒られずに済むのですが…。


「やなこった!誰がオマエに…」

「アティス」

「んあ!?」


 喜劇だと目口が飛び出ているような、クマさんの呟きに過剰反応を見せた。初めて見るその表情に私も呆気に取られる。


「だ、代理!どうして言うんです!?そこは、こう……あるでしょう!?」


 語彙力ごひちからときゃら設定を置き去り、揺れる荷台上でクマさんに詰め寄るあてぃすさん(仮)

 しかしクマさんは努めて冷静に返す。


「今日は、代理、じゃない。任務、でもない。ナタカの、お手伝い」

「それならどうしてアタシを?!」

「他、いなかった」


 在宅であればリィダさん達五人を連れてきたのだろうが、レイセさんから別任務を告げられていた。

 どうしてあてぃすさんだけ外されたのかは聞いていない。


「アタシ降ります!…走ればこっからでも夜までには――」

「逃げるんですか?……クキョさんがそんなことしますか?」


 縁に手を掛けた彼女に向け口が先に出た。それも危険だと諫めるものではなく。

 喧嘩腰…私もそういうところある?……あるかもしれない。

 魔鉱の魔物との戦いが瞬時に頭を掠めた。


「ああッ!?」


 皺を寄せて激昂する様は本当にケモノの様で。


「今回は、あなたが、適任。いてくれないと、困る」

「わ、分かりましたよ。今回だけですよ」


 直ぐに宥めに入るクマさんは調教師のようだった。

 あてぃすさんも態度が前と違うような、本当にそんな関係なのか、彼女はクマさんに妙に甘い気がする。そんなところまでクキョさんの真似というわけでは無さそうなんだけど。どちらかと言うと逆でしたか。


「ん?誰が?なにが?ん?」

「ごめんなさい」


 すぐ忘れて調子に乗る私も私か。というか、直接的ではなかったでしょう?心読みが深読みに進化してませんか?


 そんなこんなで私達はあの戦いの地へと戻ってきたのです。

修正のお知らせ✩

投稿日現在 100部「しゅぎょうはじめてました」にて

一行目 一週間経ちましたとありますが、日数を数えてみたところ全然足りませんでした。

わたくし全く成長していませんでしたぁー!

そこんとこだけその内修正しますん。

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