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魔理  作者: 新戸kan
にぶ

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こうか

 掘り起こされた採掘場跡にて、持ち込んだキモチを片手に戦々恐々とする功労者四名。

 少し早い楽しい夕食となるはずでしたが、そもそもの原因が彼女らにあるのだから、私やリィダさんではどうしようもない。

 彼女らのクキョさんへの敬慕度は髪型やら使用武器やらを見ればわかるが、そんなところまで真似なくても良いと思う、昼間の下手な容疑否認はぐらかし

 それでも未だに分かりやすく背を向ける実行犯(四名)に執行人は敢えて問う。


「お昼で、無くなるから、おかしいと、思った。…誰?ワタシの、分、食べたの?」


 クマさんが袋を逆さまにするもパラパラと残骸が落ちるのみ。

 それは中に何かが入っていた証拠品、で今の黙秘、判決が確定してしまっているが故の裁判官無し。


 初旅で浮かれてたのか、ぼりぼり食べてましたね。


 傍聴席で他人事、とはいえこれをおかずにキモチが進むほど性悪ではない。

 しかし口を挟めない、その起因が目を離させない。


 クママさんの遺伝すごい、鬼や赤鬼がおる。これでは正面向けませんよ。


 しかし今は不自然な後ろ向き、これなら言い逃れも、と言いたいところだが、背中からでも伝わるせいで誰一人弁解しようとしない。

 が、弁護人はいたようです。


「だ、代理!これは、私の責でもあります。ここはどうかこれで…」


 賄賂キモチじゃ駄目なんですよリィダさん。気持ちは分かりますが…。

 それにリィダさんはあくまでも纏め役、それも自分から言い出したものと聞きましたから正式なものでもなくて…。

 何が彼女を……まただ、昼間と同じ感じ。


 押すなよ、絶対に押すなよと言われればどうなるか気になるように、だけど押してしまえば危険なのも分かっているわけで。

 私は思考を切り替えた。



 クキョさんはお手本は見せなかったのでしょうか?

 クマさんには弱点があるというのに…。


 手を伸ばしかけるが私は止める。


『彼女らを連れていくことは了承しよう。しかしだ、条件がある。彼女を――』


 今のクマさんは隊長代理だ。

 そんな彼女のあられもない姿を見せるのは教育上よろしくないのではないだろうか?

 そう考えると、クキョさんの配慮が感じられた。


 しかし何もしないというのは可哀想だ。

 だから見兼ねて、というわけではなく、経験値が白羽の矢を呼び寄せて私の胸に刺さったというか、兎に角ここは弁護……いえ、今こそ…。


「自己紹介の時!」

「…なに、ナタカ?後に、して。あと、いい加減、おでこ、きれいに、する」

「…え?……え?え?……ああ!?なんで今まで教えてくれなかったんですか?!」

「ナタカの、世の、おしゃれ?それと、あれに、言われなかった?それで、拭いて、汚れると、大変」

「やっぱり起きてたんですね……って、御洒落で土は塗りません!…いや、国によっては御化粧代わりに…?」

「オケショウ…何?……あなた、たちは、笑っている、余裕、あるの?」


 声に出してしまいましたが、未だに名前の分からない、肩を震わせる他四名を知るべきは今です。

 馴染み願望はありますが、馴染み過ぎは私的に良くないです。

 呼ぶとき困ります。とても困ります。


 そこで問題はどう切り出すか。


 元々会話能力の低い私ですので、ああでもないこうでもないと思考を繰り返すこと体感にして極僅か、しかし燃えた枝が示すは半刻、目の前には打ちひしがれた四人がいたのです。


「はえ?!」

「く……うっ、すまない……すまない……」

「うん、外で、食べる、キモチも、なかなかな……はむ」


 気づけば赤の時間が終わろうとしていた。






 くらいくらいやみのなか、わたしひとりだけがそこにいた。

 どれだけあるいてもつづくまっくろいみち。


 けれどわたしはまっすぐにすすむ。

 たとえつまづいても、たとえぶつかっても、とまることはない。

 あせることはない。

 ゆっくりでいい、たちあがって、のぼればいい、ただそれだけだ。


 わたしはひとり、だけどわたしにはみえている。

 ひとすじのひかり…それだけがあればいい。


 わたしはあるく。

 ひかりのおおきさはかわらない。

 けどきえてなくなることはないし、みえなくなることもない。

 だからわたしはあるくだけ。

 みうしなわないように、そのひかりをてにするときまで。



「いけないわぁ。つい読み耽ってしまったわ。…あの子のお気に入りのお話」


 ぱたんと書を閉じ、昔を懐かしむ。

 食事を、そして明かりを灯すのを忘れるほどに読書に夢中になっていた。

 …いや採光が時間を錯覚させていたのかもしれない。


 他の人間が見たら陰気だと思う院内がそれを漂わせない。


 普段の灯影とは違うことに気付いた彼女は徐に窓辺に立つ。


「…そっかぁ。今日はあの日かぁ。だからこの書が読みたくなったのねぇ」


 懐古、回顧、恋慕、渇望……その瞳には様々な感情が入り混じっていた。


「…(あのこ)も見てるかしら?…早く帰ってこないかなぁ」






 何故か背筋がゾクッとしたが、それは一瞬にして消える。


「わぁ!」


 焚火を消し始めた時は驚いた。止められなかった私への罰と思ったくらいだ。

 それとは別に少しでも多く納めんと大きく目を見開き、言葉に出来ず感極まった嘆息を漏らす口。

 しかし我慢の限界と無理やりにでも音が乗る。


 ある者は体を逸らし、ある者は限界まで逸らした首に釣られて口が開きっぱなし。

 私はというと後者に加えて立ち上がり、それらに負けじと目を輝かせる。


 言葉はいらない。

 みんなも必要ないと…いや、失っていたのだ。

 だから後に彼女らは言う。いつ見ても良いものだと。

 ただ今は、これが確実に見られるのは今日だけと決まっている光景を、この満天の星空を目に焼き付けるのみだった。


 だけど私は違ったんです。

 初めて見るものでしたからひっじょーに興奮してしまいました。

 それはもう高校生とは思えないほどに。


「クマさんクマさん!どうしてこんなに星が輝いているんです?綺麗ですね綺麗ですね星の花みたいですね!望遠鏡とかあれば良いですね!あ、写真…そういうのもあればいつでも…いえ、何か越しなど……この眼で見なければ無粋というもの……」

「落ち着く、ナタカ。あと、言ってること、分からない。だから、落ち着く」


 誰もが黙って見るという『星魔光』観賞を邪魔されたリィダさん達も呆れ、精神回復を妨害された怒りすら感じる苦笑を漏らしていた。




「…セイマコウ。…星マコウ…星魔光……なるほど」


 今も星たちは昼間ほどの熱量はないが、光量は負けじと私達を明々と照らす。

 この現象は次の女王様誕生祭…つまり一年に数回見ることができるそうだ。


 クマさんの説明を受け漸く平静を取り戻し、思い出せば熱くなる、子供っぽさを覆い隠すように知的に見せようとする。

 しかし彼女らの視線の意味が変わることは無い……駄目ですね、クキョさんならもっとこう…視線は鋭くありながら、唖然冷然間欠泉と、大安売りとばかり前面に押し出してきますよ?

 と、調子に乗った経験はここでも生かす、体で駄目なら言葉で濁す。


「星の輝きは魔力の輝き…ということですか?」

「私が聞いた話ではそうですね。マトウと同じ原理ではないでしょうか?」

「ワタシは、違う。マトウは、ここの、ことを、聞いたって、おトーさん、言ってた」

「私も違いますねー。封印された女王様の魔力だって聞きましたー」


 調べる人がいない…というよりも手段がないためか、他にも違う意見が飛び出す。

 所謂諸説ありってことですか?ただ単にみんなの想像?月に兎みたいな?


 星に興味がある人なら一夜中見ていられるだろう夜空は、見慣れた人なら飽きるまで、議論おしゃべりに夢中の初見の彼女には、しかし記憶に鮮烈に残る。



「そうでした、自己紹介です!名を頂きました、ナタカです。よろしくお願いします!」 

 

 そしてこれから起こることも――――

前話から台詞を増し増しにしてみました。

くどかったらその時はその時(書き直し)

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