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魔理  作者: 新戸kan
にぶ

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112/303

そうてん

「静かになりましたね…ですが、急ぎましょう!」


 私達の鑑賞会を止めた金属音。

 それは鶴嘴で穿つ、日常生活で聞かない音ではなく、私には聞き覚えのあるものだった。

 質は違えど剣士として、その音から戸惑いを感じ、私自身も微かな音響に違和感を覚えクマさんの背を押して進んでいた。

 魔物が想定外に強いものだった、その可能性が無いわけではない。


 けど心配は無用、戻ってくる気配もないことから無事に終わったようだ。


「ナタカ、心配性。マモノ、程度、負けたら、除隊。それに、あの子たちは、ちゃんと、調べる」

「き、厳しいですね…。彼女たちは稽古用を使っていたと思うのですが…?あと、クマさんに似たんですよきっと」


 彼女の言葉を信じるからこそ全滅という最悪は考えないわけですが、武具はどちらも稽古用で標準のもの。

 クキョさんのように実戦且つ専用のものではないというのに。


「普通の、人は、木の棒でも、戦う。近頃の、マモノは、無理、だけど。…言い返す、とこは、おばさんに、似た?」

「……それは拾ったものでも?今のは焼餅ですか?」

「ん。殴りかかる、人まで、いる。…ヤキモチ、何?キモチ?」


 子供がごっこ遊びで使うような木の棒で魔物を倒す一般人…。

 それに辱められた私…。

 せめて魔力を見ることが出来ればこの刀で切れるのでしょうか?

 あの時の不思議な感覚、もう一度思い出せたら…。



 周囲の明かりが弱くなっていく。

 地質が変わってしまったのだろうと思っていたが先を見ると困惑する。

 クマさんの歩みにもそれが表れていて、間違って入り口方向へ向かってしまったのかと揃って後ろを振り返ってしまうほどに前方が明るく、いや目映く照らし出されていた。




 目を細めて天を見上げ、誰に言うたか疑問をそのまま口にする。


「え…!?私達、どうして外にいるんですか?!」


 坑道を抜けるとそこは教科書で見た古代の闘技場のようであった。

 ただ観客席は無く、代わりに周囲を崖に囲まれたほぼ円状の広場、序に言うなら足場が悪くて闘技には向かない。とてもここで採掘を行っていたとは思えない。

 戦いを終えたリィダさん達も頻りに辺りを警戒していた。


「どういう、こと?」

「…私達にも何が何やら……マモノが数体いたので処理しましたが…」


 あらゆる方向に顔を向けながら近寄ったクマさんに、左手に握った剣をそのままに、見たままを報告するリィダさん。

 返り血を浴びたのか、輝く白地に緑が映える。


「どんな、やつ?」

「王都周辺でも普通に見られるヤツですね。不自然に木が生えてましたので」

「…どう、思う?」

「私の考えですが下に掘り進めたところに天井が崩れ今のようになったのではないかと…」


 本体はすでに消え、滴る残滓も私の目からは消えていく。

 しかし記憶には残っていた。


 蔓で私の服を脱がしたやつですね…。

 刀で切れさえすれば……思い出し怒りで刀が震えた。


「私達は採掘に取り掛かろうと思うのですが…?」

「…採れそう?」

「まずはあの足場から、採れなければ壁を。表面上を削るくらいであれば崩れてはこないでしょうから」

「分かった。お願い。くれぐれも、気を、付けて、ね」


 地面部分は岩が飛び出し、至る所で視線を拒むように燦然と輝き目元に皺を作らせる、人の手が入った鉱山であればおかしなことだ。

 何年放置されていたかは定かではないが、その間に崩落があったと見て間違いないだろう。


 それよりも私も鶴嘴を……黒いですね、持ち手までも。

 シジカさんが貸してくれた鶴嘴、兵士であればこれで言ってたけど、私が使えないじゃないですか。

 私はここへ何しに来たのでしょうか…?


「…ナタカ、荷物、運ぶ。丁度、いい。今日は、ここで、泊まる」


 予定では外で野営だった。

 リィダさん達も鶴嘴以外は持ってきていない。

 そこへクマさんの神采配。


「はい!お任せください!」


 一人全速力で坑道へと戻る。が、手前ですぐさま引き返してくる私を見てみんな苦笑するのだった。




「隊長代理、これを」


 道着袋のようにも見える袋を背にクマさんと一緒に戻ってくると、リィダさんが何かを差し出す。


「マコウ?」

「掘り尽くされたのか塊は無かったのですがこのように欠片は大量に取れましたのでマグの材料にと」

「有能」


 クマさんは袋の中をがさごそと漁って袋を……どこかの民芸品みたいですね。

 魔具を収納しているものと同じ型ですね、それを取り出して回収を始めた。

 放り出された私の下着は放置ですかそうですか。


 坑道を往復してきただけだがすでに掘り起こされた鉱石がいくつかある。

 魔鉱とは違い宝石のように色彩に富んでいるがどれも同じものだろうか。

 同じ木から違う色の実が取れる、と同じこと?


「一度コ・ネコを帰しましょう。余分が出ても何か使えるかもしれません」


 クマさん親指認定を受けたリィダさんが運び出しを指示していた。


「私もやります!」


 返事も待たずに一抱えもある鉱石を持ち上げる。


 五貫以上あるでしょうか、ですが魔鉱でなければ私だって出来るんです……よ………。


 目が点。

 私が両腕で抱えた同程度のものを左右それぞれの肩に担ぎ上げる部下さん。

 体格も私とあまり変わらないのに…。

 

 そういえば今日来てない彼女も桶を担ぎ上げていたような…?

 あれも木だったし魔鉱の性質を考えると、魔力云々で済ませられるような話ではない気がしてきた…。

 

「…暮れる前に終えたいのでお手伝いをお願いしても?」


 呆然と注視してしまっていた私に声がかかる。

 見れば坑道前に鉱石の山が出現している。

 鉱石を運ぶには擦れ違うことが出来ないほど狭いというわけではないのだが、私にも仕事をくれるということでしょうか。

 ありがたく思うのと同時に気を回しすぎではとも考える。


「どうしました?私に何か?」

「いえ……ただ、同じものを見たような……経験したような…」


 要領を得ない発言にリィダさんはただ待つ。


「……ごめんなさい、何でもないです。頑張って運びますね」


 水面に小さな泡が浮かんできては消えていくような。

 何かいるのかと妙に気になる感じがしたが、今は私にもできることをやるべきだと、鉱石運びに専念することにした。

 



「お願いね、タマちゃん。…気を付けてねー!」


 ガタガタ荷台を揺らしながら離れていくタマちゃん。

 私達が翌朝起きるまでには戻ってくる手筈で、立てた短い尻尾が見えなくなるまであっという間だった。

 戦時もこうして、物資の運搬であったり兵士さんの輸送であったりと手助けしていたそうだ。


「…コ・ネコは人は襲わないんですよね?人同士の戦いに巻き込まれそうになったらどうするんです?」

「逃げる。自分の、命を、大切にするよう、教えられてる」

「……主の命を守ることより人を傷つけないことを選んだんですね」

「ん、そういうこと、になる。ワタシたちも、戻る」



 今度は野営の準備を始めているリィダさん達を手伝うため、戻る道すがらクマさんに他にも尋ねる。


「山ほど積み上げましたが、この荒れ道だと落ちません?蛇行もひどいですし」

「ダコウ?ナタカに、持たせた、マグを、下に、置いてる」

「ああ、行きの時の?皇帝の…ロディの魔力から思い付いたんですよね?蛇行はこんな感じです。にょろにょろーって」


 鉱石運び中にも話を聞いた。

 クマさんは監督役ということで私の傍にずっといたのです。

 さぼりというやつですよね?


「改良、したもの。使えるとは、思わなかった。お得。ナタカにも、効果、あった。あと、ワタシも、仕事、してる」

「……私からするとあれも魔法のように思えるのですが。…それと、悪口ではないですよ?」

「……まだ、火とか、出せない。あと、コーリ?だから、マホウ、じゃない」


 あの時は私が訳分からないことを言っていると思って適当に流したのだろうが、温暖な王都では氷が無い。

 冷蔵の魔具ではそこまで冷やせないのだ。

 火や風はまだしも氷は完全に想像上のものでしかない。


「…クマさんなら出来ますよ。魔法少女の恰好も創れたんですから」

「……ん。この、旅も、おカーさんの、言った、ように、識るための、ものに、する」

「…それでは、氷について説明頑張っちゃいますよ!」


 高校生(科学)的なことを言っても分からないと思うので、小学生(理科)的に教えることにしました。

初戦闘まで数時間かかるRPGがあるらしいですね。(ド〇クエ7未プレイ感)


それに参加できない主人公もいるらしい。 

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