あのとき
途中、クマさんと別れてから帰路に就く。まだ他の任務があるらしい。
別れる際、今度一緒にお泊りしようと約束した。今日ですごく仲良くなったと思う。
「昨日約束したし、今日はアタシの番だな」
昨日と同じように私の部屋でおしゃべり。ちょっと楽しみにしてた。
「何が聞きたい?」
いろいろ聞きたいことはあったが、聞かれたくないこともあるだろうと思い、慎重に慎重を重ね、出した質問の内容は。
「なんで私を気に入ったんですか?」
出会って間もなくに言われ、一体何をして気に入られたんだろう。戦いをした後だというのに。まさか本当に胸アツ展開だというのか。
でもよく考えたら、これも人によっては答えにくい質問だったと思う。けど、彼女は真剣な顔をして話し始めた。
「オマエと戦ったろ?そん時の話さ」
遠い昔の出来事のように思い出しながら語る。そして…、
「最後のあの瞬間、アタシは手加減を忘れて本気で打った。けど、オマエはあの細い武器で受けた。今までそんなことできた奴はいねぇ。タイチョーですら、アタシの本気の一撃は避けようとするからな」
徐々に興奮しながら話す。あの戦いが本当に楽しかった、といわんばかりに。
「何より、受けたのがあの細い武器で、だからな!アタシと同等ならともかく、あんなので受けられたのは正直悔しかったよ。…どうやったんだ?」
「…あれは無我夢中というか、体が勝手に反応したというか、たぶん後ろに飛んで衝撃を逃がしたんだと思います」
私の答えに彼女はたいそう驚き、そしてその顔が弾ける。
「ハハハ、たったそれだけかよ!いやでも、そんな簡単にできることじゃねぇ。すげぇな、オマエ!ますます気に入ったよ!」
私の背中をバンバン叩き、豪快に笑う。
痛い…、かなり痛い。マジで。
「ひょっとしたらオマエ、アタシと同じマケンかもな」
涙目になっている私にまた謎のワードが飛び込んできた。
「マケン…?」
「ああ、そうか。マケンってのはな…」
説明役がいないので、後日あの二人にお聞きしました。それくらいクキョさんの説明はひどかった…。
【マケン(魔剣)】
一般の兵士よりも魔力量が多く、より強大な剣を扱う者の総称。相性、適性の両方を備え、剣だけに完全特化している。
他にもマソウ(魔槍)など各武器に特化した者がいる。一種の称号のようなもので、これを名乗ることは名誉なことでもある。
説明はひどかったが、クキョさんがすごい人だってのはなんとなく分かった。素直に感嘆した。
「ま、アタシはトクベツだからな」
クキョさんは自慢げな顔をしていたが、一瞬だけ表情から明るさが消えた。
「…そんなんじゃねぇよ」
その呟きは私には届かなかった。
「オマエのも剣だよな?」
彼女は話題を変えるようにそう切り出してきた。さっきのは気になったが、触れてほしくなさそうなので私も話題に乗った。
「あれは刀といって…、(ウィ〇コピペ中)というものなんです!」
私は早口でまくし立てるように話した。気づくと何故か圧倒されている彼女がいた。
「お、おう。良く分からんがすげぇな…。」
彼女を見て冷静になる。何故にこんなに刀に詳しいんだろう…。しかも早口で。あの刀を拾った時も長さとかすぐに分かったし――――まさか刀〇乱〇オタク?
そういえば忘れていたが、あの刀は今どこにあるんだろう?あと、ジャージと靴も…。
それを聞こうとしたが、先に次の話題を出され、その日は結局聞けなかった。




