勝利の運命
「(ゴブレット)」
少し、沈黙があった。
『……オーダーをどうぞ』
「(……ただの気晴らしだ。ゴブレット、再演算しろ。3552が生きて帰れる可能性を)」
青い女神は事も無げに答える。
『まず間違いなく、クルーク・マッギャバン以下3552小隊はアウダーへの脱出を果たします』
「(自信満々だな。俺達のこの様を見てもそれは変わらないのか?)」
オクサヌーン最終防衛ラインの一角、クルーク臨時戦隊やその他再編成を待つ部隊の集結地点にイオはいた。
酷い有様だった。半数以上は負傷者で、装備を喪失している者も多い。
最早手の施しようも無く、後送もされずにただ死を待つばかりの重傷者も無数にいる。後ろへ送ろうにもその“後ろ”が無いのだから。
機甲戦力は大打撃と言うのも生温い程の被害を受け、これまた病院のベッドで寝ている方がお似合いなズタボロの工兵部隊がそれに応急処置を施している。
敗残兵の集団が、肉の盾になって船を守ろうとしているのか。
健気で、哀れで、背中が寒くなるような光景だ。
『3552にはエージェント・イオが居て、エージェント・イオにはブルー・ゴブレットが居ます』
「(現実問題、兵士達は傷付いている。満足に戦える者の方が少ない)」
『ブルー・ゴブレットは以前、現状よりも更に凄惨な状態を予測していました』
「(……前も聞いたかな、その内容を)」
『詳細には。……元のタイムスケジュールではカラフ大陸は三週間前に失陥している筈でした。
方面軍は防衛態勢の構築が間に合わず、各個包囲を受け全滅。
地下資源等のリソースをスムーズに手に入れたウィードランは戦力を膨張させ、オクサヌーンを一方的に打ちのめしていた筈です。
軍、民間問わず犠牲者は数千万単位で増えていたでしょう』
「(俺を慰めようとでもしているのか?)」
『ブルー・ゴブレットは嘘を吐きません。
契機はスコーディー・プルでの敵コマンドユニット暗殺作戦です。
そしてそれに続くシンクレア・アサルトとの協同作戦の数々。
エージェント・イオなくしてそれらの作戦は成立しなかったでしょう』
ゴブレットは何やら考えたようで、切り口を変えた。
『既に戦局は覆った後なのです。勝利条件をどこに置くか、と言う問題です。
消耗戦に勝利するのはより効率的に戦力を温存した者です。人類は、且つて私が演算したよりも何倍ものリソースをアウダーへと脱出させました。
貴方の戦いは決して無駄では無かった。
クルーク・マッギャバンの生存だけでなく、もっと大きなうねりを作り上げてしまった』
運命を変えたか。俺の力で?
馬鹿げてる。打ち付ける波にもがくだけの一兵士が。
でも面白い。本来最小の戦闘単位にすらならない筈の1と言う数字が、カラフを救う究極の1だとは。
鉄砲ごっこで世界を救うと……。いや、それについては本気だった。
「……鉄砲ごっこ、か」
トモスから飛び降り、瓦礫に手を突きながら歩いている一人の男に肩を貸す。
男は脂汗に塗れた顔を上げ、胡乱気にイオを見た。太腿を撃たれたらしい。危険な出血量だ。
油、煤が汗で汚らしく広がっている。本人の表情も相まって凄絶な様子だった。
「はっ……はっ……、だ、ダイヤモンドフレーム」
「肩を貸してやる。……ハーティー、手伝ってくれ!」
既にハーティーは後ろに続いていた。彼は反対側から負傷兵を支える
そのまま少しの距離を歩き、放棄された物資箱の上に座らせた。
「もう、ここで良い」
「強がるな。衛生兵の所まで運ぶぞ」
「緊急処置ジェルはある。自分でやれる。貴方達は忙しい筈だろう?」
男は頑なだった。やはり汗まみれの蟀谷にピタリと伸ばした指先を付け、綺麗な敬礼をした。
「頼む、行ってくれ。足手纏いになりたくない。
俺に出来ない事が、貴方達には出来る筈だ」
「……本音は?」
「ハハ、今直ぐ家に帰ってママのブルーベリーケーキが食べたいよ」
男はずるりと鼻をすする。
「畜生、死にたくねぇ、死にたく……。クソ、格好付けるべきじゃ無かったな。
なんでこうなっちまったのか」
「ハーティー、こいつの容体は?」
「緊急時処置の講習を受けた事はあるが……俺は医者じゃない」
「処置は自分で出来ると言ったろ、もう俺に構うな。足手纏いになりたくないってのはマジなんだ。
……ほら、行け! ……行けよ!」
二人は男の介抱を諦め、徐行を続けるトモスの後を追った。
『あの兵士は貴方を信じています。彼だけでなく、誰もが』
「(……そうだな)」
『…………貴方は戦いを恐れず、窮地に昂り、そして常に強くなり続ける。
時に説明のつかない、言語化不能な“何か”の力で以てして、道を切り拓いていく。
我々“世界を救う為の計算式”である筈の、人工精霊の姉妹達が持たない能力です。或いはこれこそ人類種固有の物なのかも知れません。
ブルー・ゴブレットの製作者はよく運命と言う言葉を用いていました』
イオは溜息を吐いて見せた。
「(お前も、お前の製作者も、ロマンチストだったな、そういえば)」
『はい。貴方は勝利する運命だと、ブルー・ゴブレットも信じています』
「(お得意の演算は?)」
『“感覚的”と言う言葉の意味をブルー・ゴブレットは学習し、そしてそれに対する演算が現状無意味である事を知りました。
情動と言う我々が学習すべき最大要項は非常に複雑です。未だに完全な数値化に至っていません。
ブルー・ゴブレットの演算の齎す結果とは結局の所、確率と言う数値以上の物ではありません。
信じると言う行為は、演算やその結果、確率の事ではないのです』
「(何を言いたいのか今一理解できん)」
『“私が貴方を信じる心”は、もはや計算結果ではないと伝えたつもりです。
分が悪いと知りつつ、貴方に賭ける。勝率1%と計算しつつ、貴方に賭ける。
そう言った論理的でない判断こそ、今のブルー・ゴブレットにとって“信じる”と言う行為です』
イオは鼻を鳴らした。ブルー・ゴブレットは何を思ったのか。
『今、ブルー・ゴブレットは、エージェント・イオを口説き、誘惑すると同時に、そのメンタルケアを図っています』
「(メンタルケアだと?)」
『先程浄水管理施設で、貴方の情報体は全く不明な領域にアクセスしていました。
それがどれ程の影響を齎しているか分かりません。“歯痒く”思います』
そうか。いい気味だ、とイオは思った。
この取り澄ました人工精霊とやらが困惑している様子はイオを愉快な気持ちにさせる。
憎んでいる訳じゃ無い。全てを委ねる気になれないだけだ。
「(昔を思い出したのさ)」
『世界を救う、別の作戦行動を?』
「(……そうだな。……この話はここまでにしようか)」
情熱的に口説かれるのも悪くは無いが、今やそんな具体的でない事を感傷的に語り合う暇もあるまい。
だが、まぁ、良い気分だ。
「(口説き文句としては難解その物だったな)」
『今後、更なるアップデートを続けます』
「(勤勉な奴だ。……で、実のところどうだ? 俺達の勝率は)」
『我々の当初の勝利条件を思えば』
ゴブレットは口だけで無機質に笑い、抑揚のない声で答えた。
『99%です、エージェント・イオ』
――
船への道は準備されていた。3552は悠々と乗船を許される筈だった。
だが現地編組で指揮下に収まった者達に対して、クルークは責任を持つべきだと感じたらしい。
港に揺れる4隻の大型輸送船。正真正銘最後の船団だ。
3552はそれを見詰めながら少しばかりの待機を余儀なくされた。
「装備は乗せるな、邪魔だ。踏み止まる者達の為に供与しろ。
情報を取り纏め、全体に展開した後、クルーク臨時戦隊を解散する。
戦線崩壊前のプランに従い、脱出する者は脱出を。残る者は……自分の意思に従え。
諸君らの奮戦により各戦線の友軍は息を吹き返した筈だ。……ご苦労だった」
組織的な抵抗能力を有する最後の防衛ラインの指揮官は臨時戦隊をそのまま戦力化したがったが、クルークはそれを拒否した。
踏み止まる者達に対し後ろめたい気持ちが無い訳では無い。当然だ。
だが彼女は3552の指揮官であり、彼らへの責任が使命の根底にある。
子供達を生かして返す事。それだけではない。クルークはアウダーに渡った後の3552の面倒も見なければならない。イオ、カーライル達と共通する最終目的だ。
「パックス、地下でお前が見た事は口外するな」
イオは3552から上手くパックスだけを引き離して強い口調で言う。
「お前は賢い男だ。俺が何故こんな事を言うか分かるな?」
「は、はい」
「良い子だ。これを持ってろ。失くすなよ」
小さく笑って薄汚れたワッペンを投げ渡す。
暫く前にシンクレアのチャージャーから渡された物だ。自分でもよく後生大事に取って置いた物だと感心してしまった。
ワッペンの裏側のベルクロ部分に、一部白い生地が縫い付けられている。
そこには軍用でない、個人用と思われる端末コードが記してあった。
「アウダーに渡ったらそいつと連絡を取れ。“イオからの取り立てだ”と伝えろ。
そいつには幾つもの作戦で大きな貸しがある。無碍にはされない筈だ」
「あ、あっと、え?」
「安全の為だ、パックス」
「……そう言う事じゃ無くて」
パックスは太い眉をへにゃりとハの字にさせる。
「軍曹は、どうされるんですか。
俺達と一緒に居てくれるんじゃ……」
「パックス。後少しなんだ。俺に、成し遂げさせてくれ」
「何をですか……? 訳が分からないですよ……!」
どん、と強めにパックスの胸元に拳を添える。彼は目を逸らさない。
「パクストン・コルニーニ、貴官に作戦への協力を要請する」
「えっ?! ……は! 軍曹、ご指示を! 何だってやります!」
「よし、では、…………生き延びろ。アウダーに脱出して、お前ら全員、もっと長生きしろ。
お前達は只管苦しんで、訳も分からないまま死ぬために生まれてきた訳じゃない」
じわり、とパックスの瞳に涙が滲んだ。嗚咽を飲み込み、震える奥歯を強く噛み締めている。
苦しみを押し隠す、男の顔をしていた。
「昔は俺にも仲間が居た。俺を本物の兄弟だと言ってくれた仲間達だ」
「軍曹、記憶が……?」
「惨めで悲しい連中だったが、それでもお前達のように、眩しかったよ、俺にとっては。
“あの時”はダメだった。だが、今ならやれる気がするんだ。
俺には……もう、お前達しかいないんだ。俺に、もう一度機会を与えてくれ。
…………さぁ、パクストン・コルニーニ。
――胸を張って、生きろ」
パックスは涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながら答えた。
「……答えはYESです、軍曹」
「行け、いつかまた会おう。だから、振り返るなよ」
パックスに無理矢理後ろを向かせ、その背を押し出す。健気な彼はイオの言葉に忠実で、決して振り返らなかった。
「伍長」
少し離れた所で、カーライル達が立っていた。
何かを察したのか邪魔せず話を盗み聞きする事も無く。
カーライルは複雑な表情をしていた。
「少尉や子供達の事を頼む」
「言われるまでも無い事です、軍曹。
ですが、俺との約束は? もう妻には軍曹を招くと伝えてあるんだ」
「済まないが、暫く待っていてくれないか。何年か掛かるだろうが約束は必ず果たす。
これは全員に言って回っているが、俺は死ぬ気は無い」
沈黙するカーライル。
ヘックスが割り込み、手を差し出して来た。イオは握手の求めに応える。
「軍曹、以前アンタと話した時に思ったんだが」
「なんだヘックス」
「アンタはエロ本の趣味が良い。いつかもう一度語り合おうぜ」
ノイマンが大袈裟に溜息を吐いて見せる。
「今話す事か? もう少し、こう……無いのか?」
「なんだよノイマン。じゃぁ何なら良いってんだ」
ノイマンはヘックスを押し退けてピンと背筋を伸ばす。
「イオ軍曹、光栄でした。貴方と共に戦った事を、決して忘れません」
「おい止せ、死ぬ気は無いと言った筈だぞ」
工兵三羽烏は堪え切れなくなって笑いだした。
――
唐突な爆発音。慣れた物だ。轟音、振動、飛び散る埃と飛礫。飽きる程に。
しかし今のそれの大きさはこれまでとの比ではなかった。
『司令部からの通信途絶。周囲200メートルを巻き込む爆発が確認された。
ユアリス准将の脱出は確認されていない。繰り返す。ユアリス准将は戦死。
各軍、戦闘を続行しろ。最後の、最後まで』
『タイタス特別攻撃チームから“ヴァローヴェーリン”へ。
オクサヌーン中枢戦域は失陥。殿軍となった防衛部隊は全滅。全て、予定通りに。
敵は進出した地域に以前の戦いで使用されたウィードランタワーの設置を開始した。
タイタスチームはこれの破壊作戦に入る。
さよならだ、全てのクソッタレの兄弟達』
兵士達が黙祷、敬礼する。誰の物かも分からない通信にイオは複雑な感情を抱く。
ユアリスは知っていたのか。地盤沈下作戦の裏側を。ゲレロを信じるなら240分後にウィルスの広域浸食が始まる。阻止する余裕はない。
あの男は将官でありながら、政治をやれるほど器用でなく、また卑怯でも無かった。だからカラフ大陸撤退総指揮などと言う貧乏くじを引かされた。
ウィルスの事をおくびにも出さず立ち回れる男には見えない。
まぁそれも、既に確かめる方法は無かった。誰かの掌で転がされながら踊り続けるしかないのだ。
それに嫌悪感を覚えた。今こうして死に向かう、頭の狂った兄弟達が健気に尽くす裏側で、何者かが嘲笑っている。
「(……思考が乱れた。作戦を続けよう)」
「少尉、用事で少し外す。3552を頼んだぞ」
「いーやダメだ」
イオは最後の戦いの為の準備を始めようとしたが、クルークは即座に却下した。
「もう私は貴官から目を離さないぞ。これ以上の勝手は許さない」
「少尉、約束があるんだ。大事な」
「我々や、私の命令よりもか?」
「頼む。戦死者との契約だ」
ユアリスの事など好きではないが、約束は果たす。それはイオ自身の目的にも合致している。
じっと見つめ合う内に、とうとうクルークは根負けした。
「……早く戻ってきてくれ。お願いだから」
「まぁ努力する」
イオはハーティーを伴い港の物資集積所に向かいながら通信を繋ぐ。
『……イオ』
「ミシェル。クルーク少尉を頼む」
『貴方は?』
「最後の一仕事だ。……俺の事を上手く誤魔化しておいて欲しい。
船の医務室でカプセルベッドに縛り付けられてるとでも言っておいてくれ。面会謝絶だと。
少尉はあの気性だ。出航を遅らせかねない」
長い沈黙があった。ミシェルは唇を噛み締めていた。
『クーリィは貴方の事を許さないでしょうね』
「次に会う時までに言い訳を考えておくさ」
『次があれば……良いけど……本当に……』
「誰も彼も死ぬ気のようだが、俺はそうじゃない。
お前達の離脱を見届けたら……まぁ、何とかするさ。任せておけよ」
ミシェルは意識して大きな声を出した。
『あー困ったなぁ、本当に困っちゃった。……最高。
目が肥えちゃって、これからの人生普通の男じゃ満足出来なさそう』
「用件は以上だ」
『待って。皆、もっとずっと沢山貴方に伝えたい事がある。
時間がいくらあっても足りないくらいには、沢山』
イオは立ち止まる。周囲の喧騒が少し遠くなる。
『でも貴方はいつもそんなの無視して、クールを気取って、時間が無いの一言で済ませちゃう。
今回もそうなりそうだから、私も一言で済ませるわ。せめて私だけでも伝えたい』
ありがとう、私達のヒーロー。
イオは口端を釣り上げて不器用に笑った後、通信を切断した。
傷付いた兵士達の間を擦り抜けながらイオはハーティーを振り返る。
彼は拉げたヘルメットの開放スイッチを頻りに操作している。どうやら大破して機能しないようだ。
仕方なく、後頭部のロープロファイルハンドルを引き絞って物理的に強制開放を行う。
死を前にした彼の眼は穏やかだが、力強い。
「……ラストチャンスだぞ。今ならまだ船に乗れるかも知れん」
「俺以外に貴方とセルを組める兵士がいるのか?」
なんだ? 十倍の給料を貰わなきゃ割に合わないとか言っていた癖に。
「居ない訳じゃ無いが、かなり限られる。シンクレアの連中ならギリギリついて来られるかな。
……だがハーティー、お前程じゃない」
「光栄だ、軍曹」
ハーティーは投げ遣りに言って歩き続ける。軽口を叩くのも辛くなってきたようだ。
「何か作戦計画は聞いてるか。残った連中は皆タフガイだ。黙ってやられるような腑抜けじゃない」
「既に作戦への参加要請が幾つも届いてる。
貴方と3552との別れを邪魔しないように黙っていた。
……その気遣いは余り意味が無かったみたいだが」
それはすまないな。とぼ、とぼ、と足を引き摺りながら歩く内、物資集積所に辿り着く。
そこにはブーマーが居て、補給物資のアーマーに何かしら施している。暢気な調子で鼻歌を歌っていた。
「よぅ、イオ、ハーティー。お前達の為にアーマーを用意してやったぜ」
集積所は略奪でも受けた様な有様になっている。使える物はなんでも前線に投入された後らしい。
その中でブーマーが何処からか調達したのがシンクレアに配備されるカスタムアーマーだ。
以前リーパーがイオの為に準備してくれたが、既にズタボロになっている。
ブーマーは新しく用意したそれにペイントを施していたのだ。
「助かるが……お前に爆破以外の芸術の才能は無いみたいだな」
「何か言ったかこの野郎」
「すまない、感謝してる」
「なぁに、餞別だ。チャージャーから部隊への復帰命令が来た。
お前の所のお姫様が使ったあのサブポートを破壊するらしい」
オクサヌーンを潰しても、サブポートが残ったままでは片手落ちだ。あれ程の湾港機能を持つ拠点は余りない。
チャージャーはやはり抜け目ない男だ。
「……そうか。じゃぁな、ブーマー」
「あぁ。…………そうだな、イオ。
じゃぁな」
ブーマーはホルダーから御自慢のエナジーグレネードを引き抜き、イオに差し出してくる。
それを受け取ればそのまま握り拳を作り、打ち付けて来た。
敬礼だとか、感傷的な言葉だとか、特に何も無かった。
ブーマーはただ目を細めて笑い、満足げに頷くばかりだ。
じゃぁな。
それだけだった。
ハーティーが物資箱に腰掛けながら言う。
「騒がしい奴だったが、騒がしいだけでも無かったな」
「アイツは俺の友人に少しだけ似てる。
誤解されやすい奴なのさ」
さぁ行くぞ。船を守る。