表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
病院からの電話  作者: 素人屋
2/5

一緒に車に乗っていたのは

どうやら病院らしい、あの後記憶はないが電話で助けを呼べたのか、誰かが通報してくれたのか分からないが、命は助かったよだ。


僕は、辺りを見回そうと首を動かそうとするがその瞬間、全身に痛みが走る。


「っ痛!!」


どうやら、重症らしい骨も折れているのか足は包帯で吊るされていた。


すると、看護婦さんらしい人が病室に入ってきた。


「あら、気がついたのね良かったわ」


「ここは…」


「ここは、木下病院よ貴方、事故にあって大怪我したの」


その言葉を聞いて夢じゃないと確信した。あの夜急にハンドルが効かなくなって、気がついたらガードレールと壁に激突していた。


「もう2日以上意識が戻らなかったから心配したわ、もうすぐ先生も来られるから、もう安心よ」


2日も…、僕は…、あれ?僕は一体何をしてたんだっけ、意識がはっきりしないせいか、思い出せない。車で事故にあったのは覚えてるけど、その日()()は何処かに行った気がする。

()()?……、そうだ涼太は!?あの時一緒に乗っていた。


「あの、涼太…!!っ!!」


「駄目よ無理しちゃ、全身打撲に骨も痛めてるんだから」


「でも、あの…」


その時、病室のドアが開き初老の人が入ってきた。


「どうだい、気分は、もう大丈夫、心配いらないよ」


どうやら医者らしい、僕の体をチェックすると、笑顔で話しかけてくる。


「あの、一緒に乗っていた友達は、どうなりましたか?」


「友達?」


「はい、同い年の、金髪で助手席に乗ってたんですけど、事故にあっちゃって、僕自分のことしか分からなくて、気付いたらベットの上で」


「まぁまぁ、落ち着きなさいもう大丈夫だから。今は治療に専念するんだ」


そう言いながら優しい話し方で僕をなだめてくれる。しかし、その後の言葉で僕は一気に恐怖心を覚えた。


「車に乗っていたのは()()()だけだったそうだよ、その友達というのは誰のことか分からないがね」


医者は、しばらく僕の体をチェックすると病室を出ていった。


車に乗っていたのは僕だけだったって?そんな訳ない、確かにあの時一緒に車に乗り込んで急いで出たんだ!!間違いなく涼太は助手席に乗っていた。


何が何だか分からず、友達の安否を確認したいそう思うのだったが、体は言う事をきかず、ただ痛みだけが伝わってくる。


ダメだ、涼太の事は心配だけど、今は治療に専念した方が良さそうだ。僕はゆっくりと目を閉じると深い眠りについた。


どれくらい寝ただろうか、気がつくと夜になっていた。窓から外を見ると満月の明かりだけが病室を照らしていた。その月に見とれていると不意に振動が伝わった。


ブーーー、ブーーー


目で辺りを確認してみると、どうやらベットの横にある机の上の携帯がなっているようだった。


ブーーー、ブーーー


取りたいのはやまやまだったが、今の僕は身動きが取れない状況だ。それはしばらくすると止まった。




それから1週間が過ぎて僕の容態も次第に回復し始めていた。看護婦さんからも。


「この調子ならもうすぐ退院できるわね」


そう言われた。


そこで、ふとテーブルにあった自分の携帯に気がつく。手に取ってみると画面にはヒビが入っており、所々かけている。電源を入れようとしてみるが、壊れているのかもしくは電池が切れたのか反応がない。そもそもここは病院なので携帯は使えないのだが。

そう思い、携帯を置くと再び横になる。


涼太どうしただろう、医者は運び込まれたのは僕だけだって言ってたけど。


あの時、廃病院から急いで車まで逃げ帰って、それで涼太に突如後ろから声かけられて…、あれ、待てよ?


ボクはもう一度思い返してみる。


廃病院を出て()()()()()()車まで戻った。そこまでは間違いない、そこで振り返ったら誰もいなくて涼太に電話を掛けた。なのになんで涼太は僕の後ろから声を掛けれたんだ?僕を追い越して車で待ってたとか…、いやそんなはずは無い、あの時は無我夢中だったけど、僕の前に人はいなかった。ならなんで涼太は後ろから声を掛けてきたんだ…。


僕はその瞬間恐怖に襲われる。そして、先生の言葉を思い出す。


()()()()()()()()()()()()()()()()()


嘘だ、なら僕は一体誰と車に乗っていたんだ!!涼太の安否を確認しなければ。


そう思いなんとか動くようになった体を起こし、松葉杖をつきながら固定電話のある場所へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ