2話 狐の理由(わけ)そして自衛官と乳(チチ)爆誕
今日はここまでのアップです。必死に書き溜めしてます。
のーとぱそこん
見た目は完全にそれなんだよなぁ。
デスクトップなんて見た目まんまWin○owsだし。
しかし、なにこの”まいこんぴゅーたー”って平仮名。
「この”のーとぱそこん”の概要を説明するでっしゅ」
いい加減この幼児声と”でっしゅ”って語尾なんとかならんのか?
「sではいくでっしゅ ”きのうせつめい~”」
ドラえ○んかよ・・・
間抜けな幼女の声が響いたとおもったら
「本神具、携帯型神域接続型言宣の綴生成端末の機能概要」
いきなり無機質な女性の声が解説を開始する。
「本神具、以下ノーパソは高次神域神威相互伝達網、以下”思兼ネットワーク”に接続可能です。
思兼ネットワークに関しては、思兼ネットワークの操作説明をご参照ください。
次に”言宣綴り”以下プログラミングですが、これを用い言宣を用いた神威を組み合わせる事によって、万物万象に対し、操作、管理、監視、その他あらゆる介入可能となります。
プログラミングされた”言宣体”以下アプリを万物にインストールすることにより、神具の機能を実装させることが可能です。ただし生命体に実装する場合は実装可能な神威が限定されます。
アプリのインストールを実施する場合はスティック・ロム・ドライブを使用してください。
対象物にかざしインストールの旨を言宣ることで実行されます。なを言宣に定型句は存在しません。
実装されたアプリを無効化する場合、削除する旨を言宣ることで機能削除が直ちに実行されます。
付帯機能として削除の日時を指定することも可能です。また一時的無効化も可能です。
次に万物万象の生成、以下アウトプットについてですが、アプリにより"物"もしくは"象"を創造し展開する場合、外部デバイスとして”神威発露体”現し世で言うところの”ご神体”が必要になります。
これは、メイン・ユーザーの所持する物品もしくは肉体の一部に限定されます。所持物に関しては所持期間によって展開可能な神威規模が増減します。また侍る者を柱として実行することも可能です。
また肉体の一部、髪の毛や爪、血液、指、腕、脚など、肉体の損壊程度に比例し展開可能な神威規模が増減します。侍る者を柱とした場合、展開規模は無制限になります。ただし柱となった者の生命活動は停止します。
次に本ノーパソはメイン・ユーザーの肉体の完全焼失及び生命活動の消失が確認された場合、本ノーパソに関係するアプリを含め、即時滅却されます。
また、上記条件以外でのメインユーザー及び第三者による機能停止または廃棄は不可能です。
以上が、本ノーパソの機能概要です。」
奇跡チックなことを言宣?だっけ?ででそれを組み合わせ、つまりプログラミングして、あれこれすることが可能と。
生成だけど肉体の一部の爪や髪の毛は許そう。
・・・・・何? 指って? 腕? 脚?
しかも人柱機能とか洒落になってない。
しかも常時起動とか・・・・
じょ・う・だ・ん・じゃ・な・い
「機能説明を終了するでっしゅ」
説明内容の重さと打ち消すような声が響く。緊張感ねぇ・・・・
とりあえず、デスクトップを見てみる。
”言宣綴り”かぁ・・・・この紙と鉛筆のようなアイコンがそれだな。アイコン名が書いてある。まんまだな。
「ん?」
なにこの海賊旗を彷彿とさせる髑髏アイコン。
そのアイコンにカーソルを当て聞いてみる。
「このアイコンの機能は?」
「自爆機能でっしゅ。」
「はぁ?」
「半径300kmを道連れに盛大に完全なる滅却を可能とする機能でっしゅ! ロマンでっしゅ! 様式美でっ・・」
「要らん!!!」
さっさとゴミ箱へぽい!
《アイコンを削除してもアプリは削除されませんがよろしいですか?》 YES NO
この人の心を逆なでするような表示。YESを思いっきりクリックする。
あれこれ操作を続けならタチバナさんに聞いてみた。
「タチバナさん、ずっと社で神使してたんですか?」
「私は出向からの採用ですので500年くらいですね。最初からの神使はサクラでございますな。」
「そうなんですかぁって500年?」
「由緒ある社ですから、かれこれ1300年程の歴史がございます。」
「サクラさんの年齢って・・・・」
「私は永遠の二十歳です!」
キッと睨むようにサクラさんが声を上げる。
「あぁすいません。女性の歳を聞いてはダメですよね。ごめんなさい。」
「女性? 神使に性別なんてありませんよ?」
「え?」俺
「え?」タチバナ
「え?」サクラ
俺が驚いた声を上げるとサクラさんとタチバナさんが意外そうな表情で声を上げる。
サクラさんが続けた。
「化称はその時々で都合の良い形をとるもので当初巫女が居なかったんですよ。でそれ以来ずっと」
ちょっと遠くを見る目で懐かしそうだ。
「そういやお稲荷さんの神使って狐さんですよね?なんでタチバナさんは龍なんですか?」
そういえばそうである。お稲荷さんと言えば狐だろう。それ以外など聞いたことがない。
タチバナさんが、ちょっと困ったように頭を書きながら説明してくれた。
「なんと申しますか稲荷の神使は元々全て龍だったのでございます。諸般の事情で現世ではこんなことになってしまってございますが・・・」
「?」
ちょっと何言ってるかわかりません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
タチバナさんによると、こうだ。
元々、稲荷の神使はすべての神使は龍だったのだが、ある時、大陸の方で勉強した空海という僧侶が開いた宗教と伏見稲荷が、自分たちを全国に広めようと同じ目的で結託。
伏見稲荷が旅の行商を利用して寄進と引き換えに各地の土地神に神号と神位を乱発。同時に空海の教えを広めて回っとのこと。世界最古の通信販売である。
で、仏教の中に稲荷を同じような性質の神を探し、これを充てたらしい。
その神というか仏というのが、荼枳尼天。
元々インドの夜叉。裸体で虚空を駆け夜な夜な墓の下の死人を掘り起こして死肉を食らう悪鬼。
大日如来に調伏され(闘いに負けて)仏教に帰依することになった。
で、その荼吉尼天を稲荷主神とし、その使い魔、いや神使か。それがジャッカルだったため、ジャッカルが生息しない日本の地で見た目が近いという理由だけで狐を充てたんだそう。
それ以来、稲荷の神使は狐になったんだとか。
まぁ人の子つまり人間がそれで納得するなら、それで良いってのが狐になったらしい。
もっとも、どうしても龍の姿を捨てたくない存在も居て現在に至っているらしく、
俺は知らなかったのだが、全国には数少ないが龍を神使としている稲荷社が有るとのこと。
理不尽なのは神様だけかと思ってが、人間もたいがい理不尽だよなぁ・・・・・
ニコニコと説明してくれるタチバナさんが不憫に思えてきた。
サクラさんとウズメはノーパソに飽きたのか少し離れたところで何やら歓談している。
「タチバナさん今朝の社でのことなんですが・・・」
「あ! あの折のご無礼、本当に申し訳なく・・」
「いやいやそうじゃくて、あ、あれでしょ? 俺が来るって知らなかったんでしょ?」
「はい。ウカ様から、我が子が訪れるので神使として出迎えするようにと。氏子のどなたかかな?と思いつつも、なんで神使の姿で?と思ったのではございますが。」
「あぁ、きちんと命令できない上司っていますよねぇ・・・・・ふぅ」
「神使としては神を軽んじられるわけには行かず威厳が大事でございますので、あんなことに・・・・」
「いやいや、宮司の息子だからって土下座はしなくていいでしょ? ずっとお世話になってきたんだし。」
「い、いや、そういう訳にも・・・・」
「だから、今後気を使わないでくださいね? ヤタさんにもウズメにも言っておいてください。」
「ウズメ様は呼び捨てなんでございますね。」
「あぁ・・・だってアレだし・・・・・威厳もへったくれも・・・」
「ハァ・・・・・」
細めた目でウズメを見ながら深い溜息を吐くタチバナさん。疲れてるんだろうなぁ・・・・
「あ、そうそうタチバナさん、”ウズメ”で気づいたんだけど、何する人?」
「何する人、でございますか?」
「ほら、ヤタさんはどうも所謂情報系な感じですよね? 得意分野。」
「それでございましたらウズメ様の本業は”穢払い”でございます。」
「穢払い? そんなの、神使なタチバナさんやらウカ様みたいな神様ならパパッと出来るでしょ?」
「はぁ? いえいえご冗談を。神使も神々も基本的に穢を嫌います。下手に穢れに関わって最悪神堕ちとか洒落になりませんのでございますから。」
「そんなものなの?」
「はい。穢は少量でも著しく神性を蝕みむのでございまして。」
「だから穢払いという専門職があるのかぁ・・・なるほどなぁ」
「はい。ウズメ様を筆頭に天女達がその任に当たっておいでにございます。」
「ウズメが筆頭?(爆笑) どうせ2、3人の仲良しグループかなんかでしょ? そんな少人数で穢払うとかウズメも大変だなぁ(爆笑)」
「いえ。それは違いましてございます。」
「え?」
「ウズメ様は穢払いの天女、50万柱の筆頭でございます。」
「・・・・・・・・マジ?」
「はい。”マジ”でございます。北欧の方では、戦乙女と呼ばれていたこともございます。」
「はぁ?」
何この気持。この割り切れない気持ち。
あれが穢払い集団の長? それも50万の筆頭だと?? あれが??
あの早とちり勘違いの胸娘が? よりにもよって戦乙女? はぁ??
うん。聞かなかったことにしよう。そうしましょう。そうしましょう・・・
目を泳がせつつ、ノーパソを操作する。
「・・・・ヒロシ様、聞かなかったことにしようとしておいでではございませんか?」
「だから、心を読まない!」
「いえ読んではおりません。顔に出ておいででございます。」
「・・・・・ごめんなさい」
「ウズメ様がおいでにならなければ穢払いはできません。最悪全滅することになります。」
「ごめんなさい。本当にごめんなさい!」
ああやって歓談してる姿は可愛いんだけどなぁ・・・・
ウズメに少し優しくしようと思った。
「只今帰隊したであります!」
ヤタさんがわさっと翼を広げ嫡子したと同時に、ボンッと白い光が広がりニンジャ姿に。
「ご苦労さまです。あのヤダさん。」
「は!なんでありますか!」
「ニンジャ姿やめようよ。言葉遣いとの違和感が半端ないし。それに見てる人にとって胡散臭さ全開だよ?」
「そうでありますか・・・・では致し方ありません。現世での職務姿でよろしいですか?」
「え? 現世で働いてんの? 忍者屋敷とかじゃないよね?」
「違うであります。ではっ!」
ポンっと例の白い光。
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
「えぇぇぇぇぇ! や、ヤタさんですよね?」
あまりの、そう。あまりの目の前の現実に声を上げてしまった。
「はっ! 自分は陸上自衛隊中央情報隊副隊長 一等陸佐 矢田哉であります!」
迷彩服に半長靴、緑のキャプにビシっとした敬礼姿。イケメン中年の陸上自衛官。
シュタっ言った感じで、両手を後ろで組み、両脚を肩幅に広げる。
なんでもありかよ・・・・
「あ、えっと、ずっと陸上自衛隊に?」
「いえ自分は、戦国時代の情報収集を端初に、御庭番、幕府海軍情報所、帝国海軍情報将校を経て、現職に着任いたしております! 最初の仕事は神武天皇即位前、熊野の山中で道を失っていた神日本磐余彦(後の神武天皇)を奈良の南端までのご案内でありました!」
何その舌噛みそうな名前って神武天皇?
おいおいおい、やんごとなきお方の極みのような存在ですよね?ヤタさん?
「あ、あぁ、そうなんですか。わかりましたこれからもよろしくおねがいします。」
「は! ヒロシ統合幕僚長殿!」
「え? なにその、”とうごうばくりょうちょう”って」
「この格好の自分は陸上自衛隊所属ですので、その上官にあたる職位として、ヒロシ様には統合幕僚長がふさわしいと愚考した結果であります! 無論この程度の職位では失礼に当たるのは重々承知しておりますが、本管には、これ以上の職位が思いつきませんでした!」
いやいやいや、それって、確か自衛隊陸海空三軍のtopの要職ですよね?
これ以上の職位って防衛大臣?総理大臣? いやいやいや、やめて、本当に、お願いします。
「あ、い、いや普通にヒロシでお願いします。本当に、本当にお願いします!」
泣くぞ! 手放しで泣くぞ!
「・・・・・了解であります!」
だから、その間はなに? 明らかに納得してませんって間ですよね?
「で、ニンジャ姿は、戦国時代の忍びか、幕府御庭番の・・・」
「いえ! 純然たる趣味であります!」
さっき諜報云々って言ってたよね?
「は?」
「いわゆる、”こすぷれ”であります!」
胸張ってコスプレってビシッと言い切るなって・・・ため息しか出ねぇ。
「あぁ・・・・・で、ヤタさん。街、見つかりました?」
「はい! ここから北に徒歩一時間ほどの距離に東西に伸びる幅10mの未舗装の街道のようなものが存在し、西進およそ徒歩二時間のところに跳ね橋を入り口とする石造りの城壁に囲まれた街が存在します!
東、南、北の同距離以内にこれ以外の街も家屋も存在しません!、
仮称”西の町”ですが当該街区の城壁は半径1000m。高さは20m。外周は水堀。詳細な水深不明ですがおおよそ2m以上と推測されます。内部市街区には、推定30000人規模。市街区はその殆どが石造りの二階から三階建の家屋が密集、中心部には中世貴族の邸宅をも模したような大きな石造りの屋敷が存在します。
また市街区は、東西南北の従事の大通りを基準にして、複数の路地が入り組んだ構造になっております!」
あぁ、そういう世界なのねぇ。それと、中世貴族の屋敷を模したようなとか・・・・うん、多分模してない。ガチでそういう文化なんだろう。
「ご、ご苦労様でした。」
「は!」
とりあえず・・・・はぁ、”とりあえず”が増えていくよ。置いてきぼりの事柄が山積していくよ・・・
ノーパソを閉じバッグにしまうと、ヨイショという感じで立ち上がり、パンパンと草を払う。
「みなさぁん! 街が見つかりました! 出発しますよ!」
とりあえず街に向かって歩き始めた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ガサガサガサ! ドサッ!
それは、突然だった。街道に出て西に向かって歩くこと1時間半くらいかな?
30mほど前方。みぎてに広がる林から、そいつらは飛び出してきた。
すらっとしたスタイルの白肌の女性。身長は結構高いな。
腰まで伸びた黄緑色の長髪に、まんま、ウィリアム・テルのような緑色を基調とした狩人のような服装。
アーチェリーを小ぶりにしたような弓を引き絞っている。
容姿はちょっと離れていて見えない。
対峙するのは・・・・イノシシだよな?
しかしでかい。2m位ありそうなそいつは、真っ黒。
というか、焦げ茶色いイノシシなのに、黒いモヤモヤを纏った感じ?
「あぁ穢れておいででございますね」
タチバナさんがポツリ
「穢れじゃな」
「穢でありますな」
「うわぁ、ばっちぃ」
サクラさん?
ひゅん!
放たれたやはイノシシの額に吸い込まれるが、次の瞬間弾かれた。
突進するイノシシ、なんとか右に左にかわしながら次の矢をつがえる狩人。
「あれ、まずいですよねぇ」
「とにかく、お手伝いして差し上げましょう。」
タチバナさんがそう言うなり皆で走り出す。
「汚れは妾に任せるのじゃ」
巫女服の襟元を両手で掴むウズメ。
と、狩人が大声でなにか呪文のような・・・・
「かけまくも、かしこき大神の勅もちて顕現し敵を散らせとかしこみかしこみ申す~
雷神の矢!」
え!と言った感じで、みんなが足を止めるのと同時に、狩人の前で宙に浮く金色に輝く矢が5本。バチバチと音を立てたかと思ったらイノシシに突き刺さった。
「?? あれ、祝詞ですよね?」
「だいぶ省略されてますが祝詞でございますね。」
「祝詞じゃな」
「祝詞でありますな」
「うわぁ、やっぱりばっちい」
だからサクラさん?
ご本のヒカルヤに射抜かれたイノシシはドサッと倒れた。直後、黒いモヤモヤが大きく膨れ上がる。
「このままではまずいのぉ、久々に妾が穢を払ってくれる!」
言うが早いか前に飛び出すウズメ。
「妾の言宣を持って顕現せよ。舞装!」
言うが早いがガバっと、え!? え!? えぇぇ!? 胸はだけたよ乳娘・・・・
半拍の間、キラキラとした光鱗を伴った光の柱がウズメを覆う。
一秒もかかってないと思う。ほんとあっという間
これでもかと言うような大きな胸をはだけさせ、金色の腰紐、申し訳程度の大きさで、そこから垂れ下がる、大事な場所を隠すような金色の半円状の飾り。ほぼ全裸。しかもスタイル抜群の絶世の美女。
乳娘はどこへ行った!
いやもうこれ変質者でしょ・・・・・
「では穢を祓らってくれようかの!」
ニヤリと笑いながら大きな黒いモヤモヤの前に進み出るウズメだった。