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勇者から逃げだした聖剣  作者: 黒一忍
最終章 邪神
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第80話 神化

 私達は遂に邪神のいる空間にたどり着いた。

 だが、邪神の前に立った途端、私とマーガム以外の4人の突撃部隊は動けなくなっていた。

 それはまるで、時が止まってしまったかのように固まっていたのだ。

 マーガムだけはなんとか動けるようなので、おそらく概念を持っていなければ、私達も動けなくなっていたかもしれない。


「ほぅ、私の概念に抵抗できるとは、なかなかの強者がいるようだな。」

「はい、我が主、今までの相手とは違い、主と同じ強さに到達できる者です。」

 私は邪神が動く前に動こうとしたのだが、まるで空気が鉄になってしまったかのように固くなって、私は体を動かせなくなっていた。


 それでも、打つ手はある。

 私は《縮地》を使い、邪神の眼前に瞬時に迫り、《神速抜刀》と概念 斬撃を同時に使用して邪神の首を斬った。

 ………しかし、邪神は落ちた首を拾うと、首が腕に吸収され、新しい首が生えてきた。

 …グロッ!


「マーガム!他の冒険者達と一緒にこの空間から脱出して!」

 この邪神とは戦ってはいけない。

 そう思った私はマーガムに脱出するように()()する。

 命令なんてなるべくしたくなかったけど、今は命令してでも脱出させるべきだろう。


 動かなくなった冒険者は4人、今のマーガムならギリギリ運べるだろう。

 マーガムが脱出するまでの間、私が邪神とその眷族を確実に足止めしなければならない。


 私は《縮地》、《剣舞》、《魔剣創造》を使用して、《縮地》で移動して《魔剣創造》で作った魔剣を邪神とその眷族に向かって投げ続ける。

 しかし、投げた魔剣はやはり、時を止めたように空中で静止した。

 止まった魔剣には《剣舞》の紋章を刻んだ状態で創造したため、《剣舞》で動かせるはずなのだが、静止したまま動かない。


「では主、私は逃げる者達を追います。」

「まぁ、私の相手はあいつしか無理だろうしな…。

 良かろう、ただし、成長の余地があるなら生かせよ?」

「了解!」

 邪神の眷族が空間を割って移動しようとする。


「待て!」

 私は移動を阻止しようとするが、邪神が間に入り妨害してくる。

「お前の相手は私だと言っている。」

「ぐっ?!」

 私は地面をゴムボールのように跳ねて、1㎞ほど吹き飛ばされた。

 すぐに体勢を整えて邪神のほうを《剣域》で確認すると、邪神の手には巨大な戦斧が握られていた。

 そして、邪神の眷族はいなくなっていた。

「げほっ、げほっ、ごめんマーガム…!」


「今のを食らって真っ二つにならないとは、お前、人間じゃないな?」

「私は、ちょっと強い人間です。」

 私は《時空間収納(アイテムボックス)》からオーガブレードを取り出して、邪神に向かって投げ飛ばした。

 ………が、オーガブレードは邪神に届く前に砂になってしまった。


 なんだ?

 何が起きた?

 まさか、分解された?

 それだと、聖剣でも危ないかもしれない。

 私の《干渉無効》は、体から離れた聖剣にまでは効果が及ばないのだ。


「ご主人、お待たせッスよ!《纏身》!!」

 セイスがマフラーとなり、私の首に巻かれた。

 セイスには帰り道の安全確保のために後ろから、概念 炎を使ってもらいモンスターが入れないセーフゾーンを作ってもらっていたのだ。

 セイスがここにいるということは、セーフゾーンを作れたということだろう。


 邪神は私の姿を眺めてから、頷いた。

「なるほどな、お前まだ本気を出していないな?

 本気を出させてやろう。」

 何を…言っている?

 次の瞬間、邪神の姿が30代の男から、小さくなり、………マルムの姿に変わった。


 ………は?

 最初に感じたのは動揺だった。

 次に感じたのが悲しみ、そして、怒りだった。

「お前、この姿なら本気を出してくるだろう?」

 邪神は心の底から楽しそうに笑う。


「ふざ………けるな…!」

 私の怒りに呼応するように、左目にあるマルムの霊魂石が白く輝く。

 その時、私にある変化が訪れた。

 急に選択肢が目の前に表示されたのだ。


 スキル開放条件を達成しました。

 《神化》が開放されました。

 神化しますか?→はい いいえ


 私は、はいを選択した。

 私を光が包み込み、私の体に変化が現れる。

 頭にはピンと立った犬耳が、背中には天使のような白銀の翼が現れた。

 私自身を鑑定すると、【神鉄】が【神鋼】になっていて、名前の横に神と表示されていた。

 どうやら神になってしまったようだ。

 私はその時起きた、もうひとつの変化に気がつかなかった。


 邪神は私がステータスを確認し終わるまで動くことは無かった。

 邪神は私が神になったところで、驚異にもならないと思っているのだろう。

 もしくは、強くなった私と戦いたいから待っていたのかもしれない。


 私は邪神に斬りかかろうとするが、その姿がマルムのものなので、違うとわかっていても斬れない。

 私には、マルムを斬ることがどうしても出来なかった。

 だが、怒りは消えずに増え続ける。

 故にそれは起きた。


 概念 絆が勝手に、(私の無意識が)《憤怒》を使用したのだ。

 私は、《憤怒》によって理性は徐々に失われていき、邪神を斬ることが出来ずにただ剣を振り回して暴れるだけになっていた。

 そして邪神に、「つまらん」とだけ言われて吹き飛ばされ、私の意識は闇へと沈んでいった。

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