第78話 決戦 人間の国
~薫視点~
ラフィスさんをクラスメイトの勇者に直してもらいながら、俺達は人間の国に現れた化け物について教えてもらった。
どうやら海那達突撃部隊は、無事に空間の裂目に入れたようだ。
海那達がいなくなってしばらくしてから化け物が出てきたらしい。
裂目の入り口を守っていた冒険者を吹き飛ばした化け物は、「あいつはどこだ!?」と叫びながら、周囲を破壊しているようで、今はクラスメイトの勇者達がなんとか抑えている状態らしい。
「あいつが誰かは気になるが、化け物を放置する訳にもいかんのぅ。」
「そうですね、ご主人様の帰ってくる世界を守りましょう!」
「なら我は、さっさと魔法を組み上げておこう。」
………いや、最後の誰だよ。
いや、分かってるぞ?
でも、姿と喋り方変わりすぎじゃないか?
他の2人もすんなりディアスだと認識してるからいいけどさ。
ディアスが魔法を次々に《魔法貯蔵》でストックしていく。
俺は魔法はほとんど使わないが、ディアスが唱えている魔法が、かなり長い詠唱の魔法なので、とんでもない威力なのはわかる。
いくら人間の国の外に化け物がいるからといって使っていい魔法ではないだろう。
しかし、今はあの化け物を倒すのが優先だ。
カノアさんは瞑想して集中力を高めている………と思ったがよだれが垂れているので、戦闘が楽しみでしょうがないのだろう。
ラフィスさん………は、なんかセルフ鞭打ちとかいうかなり特殊なプレイで興奮していた。
………見なかったことにしよう。
準備が完了した俺達は、化け物の元に向かった。
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俺達が化け物のいる場所に到着すると、勇者達は既に満身創痍の状態だった。
俺は《隠密》を使用して、化け物の認識から外れる。
カノアさんが、最初に満身創痍の冒険者や勇者を安全地帯に運んでから、龍の姿に変わり化け物に突撃した。
ラフィスさんは、弓を放ちカノアさんの援護を行う。
ディアスは、魔法で化け物の触手を消していく。
カノアさんのブレスや全体に対する殴打も、ラフィスさんの弓も、ディアスの魔法も化け物に当たったが、すぐに回復されてしまう。
どうやら、俺達の攻撃は、化け物の再生能力によって意味をなさなくなっているようだ。
ならばと、邪獣を倒した時のように、スキルを使用して、攻撃したが、《急所攻撃》の専用音が鳴らず、攻撃の威力がほとんど上がらず、かすり傷にもならなかったようだ。
「動けなくなりますが、弾幕なら用意できますよ。」
カノアさんに少しだけ下がってもらい、ラフィスさんに弾幕を形成してもらう。
化け物の至るところに矢が刺さっている。
………!?
今、一瞬だけ増田卓人が見えた。
しかも、増田の直ぐ近くに化け物の黒いコアに見え、あれを破壊すれば、増田を元に戻せるかもしれない。
そう思った俺は、コアを破壊して増田を助けることにした。
もし、増田を無力化出来れば、国からの依頼をクリアすることが出来る。
すると、海那に感謝される。
つまり、やる以外の選択肢は無いのだ。
カノアさんが殴打で全身を殴るのではなく、防御を無視してダメージをあたえる技術で化け物のコアにダメージを与えた。
さらにラフィスさんが矢を分裂させ、矢の弾道を曲げてあらゆる方向からの矢が化け物に突き刺さる。
ディアスが長い詠唱を終えて、魔法を発動する。
「………燃やし尽くせ、“ブロミネンスノヴァ”」
化け物がまるまる収まるほどの爆発が発生した。
………威力高過ぎだろ。
増田の奴が死ななけりゃどうでもいいけど。
コアが破壊されて、増田が外に放り出される。
「おい、大丈夫か?」
増田はすぐに意識を取り戻し、俺を見てからカノアさんを見ると、凄まじい形相でカノアさんを掴んだ。
「おいお前!お前の仲間はどこにいる!」
「なぜお主にそれを話さなければならないのかのぅ?」
「あいつを倒すために俺がここにいるからだ!」
増田がそう言ったことで、空気が固まった。
そして次の瞬間、増田を俺は思い切り殴りとばしていた。
「おい、言っていいことと、悪いことがあるのは理解出来てるよな?
死にたくなかったらもう喋るな。」
「お前もおれを馬鹿にするのか…?」
増田がそう言いつつ、俺に向かって剣を振るい切り捨てた。
しかし、増田が斬ったのは俺の分身だ。
増田を完全に無力化するために限界まで、こいつをボコる。
そう決めた俺は《影分身》や《隠密》を使って気配などを消して増田を攻撃し続ける。
増田が見るも無残な状態になったが、まだ生きているので、国王の元に《相転移》で一瞬で移動して事情を説明してから増田を引き渡した。
国王が慌てて俺達を召喚した魔法陣を起動させて、いろいろと設定しなおしてから、増田を魔法陣の中央に寝転がした。
しばらくすると、俺達が召喚された時のように、増田の体が光に包まれて増田が消えた。
国王に説明をしてもらうと、どうやらステータスなどをリセットして地球に送ったらしい。
こちらの世界の記憶もほとんど消したようなので、向こうの世界で暴れることはないだろう。
各国の防衛に成功した俺達は、海那達が邪神の撃退、もしくは討伐が完了するのを人間の国に開いた空間の裂目の中から海那とマーガムが出てくるのを待つのだった。




