第76話 決戦 魔の国2
~ディアス視点~
我は悪魔に勝つために《黒塵》を発動しつつ、魔法で悪魔を攻撃していく。
「ガハハッ! そんな攻撃、我輩には効かんぞ!!」
魔法が当たる前に筋肉で弾かれてる?!
『まじかよ、あの筋肉達磨…。』
魔法では、足止めどころか、目眩ましにもなりそうにない…。
「では、こちらから行くぞ!!」
そう言った悪魔は、我に向かって突撃してきた。
伸びる棒を魔力を込めて瞬間的に伸ばし、悪魔を避ける。
悪魔が通った場所は、何もかもがなぎ倒され、元凶の悪魔は生物というよりは、災害のようだった。
悪魔が再び我に向かって突撃してくる。
我は、《魔王覇気》と《魔王咆哮》を使い、足止めを試みつつ、《黒塵》を発動して自身に纏った。
足止めが成功して、悪魔の動きが停止したので黒塵を悪魔に向かって飛ばし、悪魔に付着した黒塵を燃やして黒炎を発動する。
悪魔が燃えてしばらくすると、悪魔が地面に倒れ伏したのだが、次の瞬間、むくりと起き上がった。
「さすがの我輩でもこれは熱いな。
だが、この程度の熱さか?」
悪魔がそう言うと、悪魔の体が白い炎で燃え始めて、黒炎を消してしまった。
『おいおい、黒炎を打ち消すとか、化け物かよ!?』
もう残っているスキルが、概念 融合と《魔法剣作成》と《限界突破》と封印されている《憤怒》、そして《神魔開放》くらいしかない。
どうすれば、あの悪魔に勝てるんだろう…。
「魔王、いい方法ある?」
『今のまんまじゃお手上げだな、だが、ひとつだけ勝てるかも知れない道があるぜ?』
「それは?」
『俺とお前が概念 融合で融合して、あいつに挑むことだ。
もちろん、勝てるかはわからねぇ、でも賭ける価値はある。』
魔王の提案を悪魔の攻撃を避けながら考える。
我は悪魔を早く倒しておねぇの所に行きたい。
魔王は魔の国を守るために悪魔を倒したい。
同じ敵を出来るだけ早く倒したいのだ。
でも心配もある。
最初に魔王と融合した時、魔王は我を乗っ取るつもりで我と融合したのだ。
また同じようにされたら、我は抗えるのだろうか、それだけが心配だった。
でも、悪魔を倒す為にはするしかない。
我は魔王を逆に支配するつもりで概念 融合を発動した。
我と魔王が混ざりあう。
憤怒の封印が解けて、魔王の意識が明確になる。
それはまるで、お互いを取り込むような、もしくはお互いを吐き出すような状態だった。
意識を発現できる席はひとつ、我はそれを取るために必死だった。
しかし、魔王はその席を譲った。
そして2人が混ざり1人になった。
目線が少し、高くなったか?
水魔法を使い自分の姿を確認した。
どうやら、魔王と半分ずつで融合した結果、白い少年は、白い青年に成長したようだ。
悪魔がこちらに向けて炎を飛ばしてくる。
我は炎を避けて、《黒塵》を発動し、悪魔に向かって飛ばした。
『それは我輩には効かん!!』
悪魔に黒塵が付着して黒炎を発動させるが、悪魔によって打ち消された………かのように見えた。
「同じ手を我が使うわけがなかろう。」
黒炎が発動し悪魔を焼く。
《憤怒》の怒りによるブーストだけで悪魔の力量を越えてしまった。
その怒りは、ほとんどが魔王の物だ。
魔の国に攻め込んできただけでも業腹なのに、さらに自分の魔王城を攻め混む拠点にされていたのだ。
もはや、悪魔を倒すことでしか収まらない怒りが魔王を支配していた。
一方でディアスは、自分に怒りを向けていた。
おねぇからもらった武器と概念を使いながら、未だに悪魔を倒せていない怒りが、ディアスを支配していた。
2人の怒りが重なり、1人では届かない領域へと足を踏み入れたのだ。
「だが、この程度で我輩は!!!」
悪魔が燃えたまま戦闘を継続しようとする。
悪魔の体からは黒い炎と白い炎がそれぞれ燃えている。
「お前は選択を誤った。
我を怒らせてはならなかった。」
そう言い、我は黒い炎と白い炎を融合させる。
融合は成功し、黒い炎の燃える勢いがさらに強くなる。
悪魔がこちらに向かって融合された炎を投げてくる。
いや、炎を掴むってどうやってるんだよ。
手に魔力で膜を張ればいけるだろうか?
我は飛んできた炎を伸びる棒と融合させる。
すると、伸びる棒から炎が上がり、その炎を使って悪魔を攻撃していく。
魔法も《憤怒》でブーストされているので、効くか試してみると効いたので、我は《限界突破》を使ってから、最高威力の魔法の詠唱を始めた。
「それは、始源よりある奔流、魔力とはすなわち、始源の力、」
詠唱中に飛んでくる攻撃は伸びる棒を使って避ける。
しばらく経過し、やっと魔法が完成した。
「…迸る魔力の奔流を!“オリジン・ノヴァ”」
魔力が悪魔を包み込み、悪魔を分解していく。
「我輩が、負けるだと?
ようやく、長い旅が終わったのだな…。」
それだけ言うと悪魔は消えていった。
同時に《限界突破》の効果時間が過ぎて、我のステータスが下がったため、我はその場に倒れた。
「お疲れ、人間の国に送ろう。」
見上げるとそこには薫さんがいた。
「あぁ、俺は分身だぞ?
本体の俺は動けなくなってるからな。」
それだけ言うと薫さんは我を連れて《相転移》で人間の国へと移動した。




