第70話 ギミック付けれるのか…
………どうしてこうなった。
私達がマーガム達と合流すると、勇者達が委員長以外、全員倒れていた。
マーガムに話を聞くと、ラフィスさんと薫が勇者達の心を折ってしまったらしい。
ラフィスさんは1人で後衛系の勇者達と魔法と弓の撃ち合いを行い、なんと勝ってしまったらしい。
薫は、前衛系の勇者を影分身を使ってボコボコにしてしまったようだ。
いや、駄目でしょ…。
勇者を強くするっていう依頼なんだから、心を折ってどうするの………。
「もうちょっと優しくは出来なかったの?」
「無理でした、ご主人様。
罰なら受けます!受けさせてください!」
「こいつら強くするの無理だぞ。」
「いや、諦めないでよ!」
ここで立ち上がらなかったらどうしよう………。
「とにかく、勇者達を成長させなきゃならないのに心を折って、勇者達がここで立ち上がらなかったら依頼は失敗になるんだから、頑張ってよ…。」
今回の依頼は、邪神に対する戦力を整える為にも必要なものだ。
邪神は各国に攻めると宣言した。
ならば、この世界を守る為には、各国の戦力を邪神の軍勢と同等に戦えるように鍛える必要がある。
獣の国には獣王が、
龍の国には龍王達が、
天の国には天使やエルフが、
魔の国には魔王が中心となって戦力を増強しているらしい。
しかし、人間の国は軍と勇者と冒険者くらいしか戦力が無く、さらにSSランククラスの猛者は私達以外にいない。
しかし、私達は教えるのが下手だから、勇者達は育たない、という状態に陥ってしまった。
私は、勇者を育てる為に何が必要か、考えることにした。
そもそも、勇者達にはレベル差がかなりあり、それにより高レベルが低レベルを侮るようになってしまった。
侮りや、慢心は、大切な物を失うだけだというのに………。
ひとまず、低レベル組をレベリングして、レベル格差を無くすのがいいかな。
次に、技量の無さだ。
これに関しては、国の騎士とかに聞いて欲しい。
教えるのが下手なのに、技を教えられる筈がない。
ひとまず、保留にしよう。
そして最後に、危機感の無さだ。
これが一番ヤバい。
自分達は大丈夫と思っているようで、あまりやる気が感じられない。
他人の意識改善はよくわからないから、やらなきゃヤバい状況にでもすればいいのかな?
とりあえずやることが見えてきたかな…。
まずは勇者のレベルの均一化だろう。
ダンジョン………は危険だし、守りきる自信も無いけど、管理者に協力してもらおうかな。
私は、管理者に協力してもらうために勇者達を置いてダンジョンに潜った。
合図をすると、管理者のいる最下層に転移した。
「ちょっと協力して欲しいことがあるんですけど…。」
私は事情を話してから、ダンジョンの入り口に転移させてもらう。
これで、勇者達を追い詰めて危機感を煽り、さらにレベリングも出来るという一石二鳥だ!
私は勇者達を連れてダンジョンに潜った。
ダンジョンに潜ってすぐに転移され、私は最下層に、勇者達は特別に作られた階層に飛ばされた。
そこで勇者には、あるモンスターと戦ってもらう。
モンスターはスライムだけど、レベルが異常に高く、おまけに勇者全員が攻撃してからでないとダメージが通らないため倒せない特別仕様のスライムだ。
ただし、スライムが攻撃することは無いように設定されているんだけどね。
ここで攻撃してこないから、と悠長に過ごしていると、ずっと出られないという訳だ。
勇者達は現れたスライムに驚いていたが、攻撃してこないことに気が付くと、すぐに気を緩めてしまった。
おいおい、このままだと餓死コースだぞ…。
それから2日が経過して、さすがに勇者達も焦り始めた。
3日何もしなかったら回収しようと思ってたけど、まだ大丈夫かな?
しかし、攻撃系の職業の勇者しか攻撃しないのでスライムは倒れない。
しかも、スライムは攻撃しないので、防御や支援系職業の勇者は完全に空気になってしまっている。
これ、もしかして全員で攻撃しないんじゃないかな?
3日目になったけど、全員で攻撃する気配はない。
仕方がないので、私は勇者達のいる特別階層に転移で送ってもらった。
「攻撃してこないなら、あなた達も攻撃すればいいでしょ?」
全員が期待した目でこちらを見てくるが、私は助言するだけだ。
私の助言を聞いて、委員長が攻撃した。
それに続いて、他の攻撃しなかった勇者が攻撃し始めた。
それにより、スライムにダメージが通るようになった。
そこからは、スライムを勇者全員で攻撃してスライムのHPを削っていき、3日目にしてようやくスライムを討伐することに成功したのだった。
その日勇者達は、夜遅くまで騒いでいたが、翌日の指導は引くぐらい真面目に聞いていたので、恐らく勇者は大丈夫だろう。
私が3日空けている間にマーガム達には龍の国に向かってもらい、鍛冶士のドワーフを連れてきてもらった。




