第65話 概念
転移の魔法陣で転移してきた私の目の前には、管理者がいた。
「うおっ?!」
びっくりした…。
いつもみたいに歩いて管理者の所に行くんじゃ無いのね…。
「あぁ、すいませんね。
あなたには聞きたいことがありまして。」
聞きたいこと?
なんだろう?
「答えられることなら。」
スキルの事とか、個人的な情報は話す気は無い。
「それで十分です。
あなたは何故、神獣様を従えているのですか?」
「召喚したら、セイスが出て来たんですよ。」
「召喚で神獣様呼んじゃったんですね…。
どんな魔力総量してるんですか…。」
いや、そんな呆れた顔しないでよ…。
なんだ?!
背筋が凍るほどの寒気がする…。
私が管理者に呆れた顔で見られていると、マーガムが転移されてきた。
「ミナさん!」
マーガムがまっすぐ飛びついてきたので、私は正面から受け止めた。
………もふもふ、気持ちいい。
もふもふしてるのに、寒気がする…。
この寒気はなんだ?
「お主ら、そういうのは宿でやったらどうかのぅ?」
っと、マーガムを撫でていると、カノアが転移してきていたらしい。
「ご主人様はいつも宿でやってるじゃないですか。」
ラフィスさんも転移してきたようだ。
………ん?
ご主人様?
私の事か?
「私を攻撃するのも、いつでもやってもいいんですよ?ご主人様!はぁはぁ」
「断固拒否します。」
いきなりか、このドMは…。
ご主人様ってのが、私のことなのも確定してしまった。
…悪夢でしかないな。
奴隷や使い魔でも無いのにご主人様と呼ばせるとか、かなり危ない趣味の人として認識されるじゃないか。
「なら、わしとも戦って欲しいのぅ!」
ドMの次は戦闘狂か…。
「いや、ラフィスさんを攻撃することも、カノアと戦うことも無いからね!?」
戦闘訓練以外でそんなことする気はないよ。
カノアとラフィスさんは2人揃って壁に手をついて落ち込んでいたが、2人を放置して話を進めることにした。
「あなたの仲間は個性的なんですね…。」
やめて、引きながら言うのやめて。
それにその言い方だと、私達も含まれるじゃないか。
マーガムもディアスもいい子なんです。
また寒気がする。
インフルに感染したときみたいな寒気だ。
聖剣でも病気に感染するんだろうか…。
しばらくすると収まったので、気にしないことにした。
寒気が収まって少し経ち、薫が転移してきた。
薫は私達を一瞥してから、床に寝転んで寝てしまった。
いや、寝ないでよ!
私は薫を揺らして起こそうとした。
………薫は起きなかった。
よし、放置だ。
今も壁に手をついているカノアとラフィスさんと同様に放置しよう。
「ご主人、そいつは殺気とか感じたら起きるっすよ。」
セイスも転移されてきたみたいだね。
あとは、ディアスが転移してきたら全員揃うね。
しばらくすると、ディアスが転移してきた。
「おねぇ!」
ディアスも私に飛びついてきたので、マーガムを右手側に寄せてから左手でディアスを受け止めた。
ん?
ディアスの顔が、覚悟というか、決意を秘めた顔になってる?
まぁ、このダンジョンの試練でディアスが成長したなら、ディアスも連れてきて良かったと思えるね。
「では、皆さん揃ったようなので、スキルを渡しますね。
今回お渡しするスキルは、並列思考です。
ちなみに持っている方は効果が重複するので安心してください。“贈与”」
私達の右手に紋章が刻まれた。
私とマーガムは、7つの紋章が揃った。
すると7つの紋章が合わさり、1つの紋章になった。
「おぉ、すべてのダンジョンをクリアしたんですね。
何千年ぶりですかね?
あなた達には、概念の使用許可が与えられ、概念が1つ付与されました。」
そう言われてステータスを確認すると確かに概念が増えていた。
私とマーガムは一緒の概念が付与されていた。
概念 絆
絆で繋がっている者のスキルを一時的に使用することが出来る。
使用制限やクールタイムは無いが、1人1個のスキルのみ使用することが出来る。
さらに…、
さすが神に連なる存在が使う概念だ。
もはやスキルとは別格だね。
ただ、後ろの方の説明が消えているのだけが気になる…。
デメリットとか、あるんだろうか?
「概念は強力なものです。
神ですら十全に扱える者は少ないほどです。
説明がすべて記載されていないのはその為ですね。
あなた達が、十全に扱えるようになることを期待していますよ。」
神ですら扱いきれない物なのか…。
なら、考えていてもしょうがないかな。
私達は、概念とかを棚に上げてダンジョンから魔の国へと転移で送ってもらったのだった。




