第63話 甘い誘惑2
~カノア視点~
古城に入ったわしらは、別々の場所に転移されたようで、他の者の姿は見えなくなってしまったのぅ。
わしの目の前には、前火龍王に挑むわしの姿が見えた。
ミナが、似たような奴を写真とか言っておったような気がするのぅ。
あの時のわしは、とにかく強くなって強敵に挑み続ける日々を送っていたのぅ。
わしは常にボロボロだったが、あの日々は楽しかったのぅ。
まぁ、今の方が充実した楽しさだがのぅ。
「ぬお!?びっくりしたのぅ。」
そんな事を考えながら、ぼんやりと写真を眺めていると、わしの目の前に文字だけが浮かんできおった。
少し驚いたが、よく文字を読んでみると、{他者を圧倒できる圧倒的な力が欲しいですか?→はい いいえ}と書かれておった。
わしは、いいえを選んだ。
圧倒的な力なんぞ持っていても、共にいる仲間がおらねば虚しいだけだろうのぅ。
それに、他者を圧倒できるほどの力を持っていたら、誰とも戦いを楽しめないではないかのぅ。
わしは、戦いを楽しむのが生きる楽しみだからのぅ。
一方的な戦いは好かぬ。
そんなわしの考え方を読み取ったのか、文字が変化して、{あなたは永久に戦い続けられる世界に転移できます。転移しますか?→はい いいえ}
………み、魅力的な提案だのぅ。
わしは悩んだ末に、いいえを選択した。
わしは気がついてしまったのだ。
この提案だと、わし1人だけで転移することになることにのぅ。
仲間が一緒で無いのならば、わしが別の世界に向かうことなんぞ、ありえぬからのぅ。
むしろ、わしはミナに勝つまではミナから離れるつもりはないからのぅ!
この時、ミナを正体不明の悪寒が襲った。
わしがいいえを選択すると、文字が消えて転移の魔法陣が出現したので、わしは転移の魔法陣を起動してミナ達がいる場所に転移された。
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~ラフィス視点~
「どうやら、別々の場所に飛ばされてしまったようですね。」
私は、自分の置かれた状況を即座に判断すると、対処法を考え始めた。
「まずは他の皆さんと合流したいですね。
それが不可能ならせめて連絡でも取れれば良いのですが…。」
しかし、セイス様がいない以上連絡は取れませんから、諦めて前に進みましょう。
もしもこの場にミナが居たならこう言っただろう。
「いつもの変態はどこに行った?!」と。
それほどまでに今のラフィスは落ち着いていたのだ。
しばらく進むと私の目の前に、天の国の女王様に私が鞭で叩かれている光景が見えました。
………実に私がうらやましい。
ではなく、なぜこのような光景が見えるのでしょうか?
私が思考していると、目の前に文字が浮かび上がって来ました。
よく文字を見てみると、{ゴブリンやオークに永久に叩かれ続けられますが叩かれますか?→はい いいえ}
私は迷わずいいえを選びます。
愛の無い攻撃なんて、興奮する要素ありませんからね。
相手のことを心配しながらも振るわれる強い一撃、それに私は興奮するのです。
………まぁ、放置などでも興奮できますがね。
あぁ、ミナ様、いや、ご主人様と呼んでいいですよね。
ご主人様に早く会いたいです。
早く再会して、「遅かったですね。豚ですか?」とか言われたいですね。
まぁ、ご主人様はそんな事言いませんけどね。
でも、チョップくらいなら貰えるでしょうか?
期待しておきましょう。
ミナに正体不明の悪寒が襲った(2回目)
と、私がトリップしている間に文字が出てきましたね。
{指定した相手が自分を叩いてくれるスキルがあります。欲しいですか?→はい いいえ}
私は見た瞬間、いいえを選択しました。
だって、そんなスキル自分で自分に鞭打つような物ですからね。
むしろ、指定した相手が自分に与えるダメージが10倍になるスキルとか欲しいですね。
考えただけで興奮してきました。
またしてもトリップしてしまいました。
気がつくと私の目の前には、転移の魔法陣が出現していました。
私は転移の魔法陣を起動して、ご主人様と皆さんとの合流を果たしました。
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~薫視点~
どうやら、海那達とは別の場所に転移させられてしまったようだ。
俺はいきなり行き止まりに飛ばされていた。
なので、道を戻ってみると大部屋にたどり着く。
ボス部屋かと思い構えるが、ボスは出ていない。
俺は影分身を1体出して大部屋に突入させた。
影分身とは視覚の共有が出来るので、部屋の中身を見てみると、そこには小4の俺の虐められている画像が写っていた。
あの時は、本気で死のうかと思ったぐらいだった。
それを救ってくれたのが海那だった。
いじめられている俺と、いじめてきた奴の間に立って、俺をかばってくれたのだ。
当時はかなり可愛い印象だった海那が間に立ったことで俺へのいじめは少なくなった。
いじめは続いたが、いじめられる度に海那が助けてくれた。
あの時から海那は俺のヒーローだった。
それでも俺も男なので、海那に守られなくても戦える男になれるように努力した。
中学校では、俺へのいじめは無くなったが、海那は俺によく話かけてくれるようになった。
当時凄く嬉しかったのを覚えている。
海那が俺に話しかけてくれるようになったのは、海那が凛々しくて可愛いかったため、高嶺の花になってしまい、誰も話してくれなかったからだろう。
そんな状態は高校まで続き、異世界に転移されるまで続いた。
異世界に転移された時、海那がいなかったことで俺はとても不安になった。
その時に俺が海那のことを好きになっていることに気がついた。
それから俺は………、
そこまで考えて俺は目の前に文字が表示されたことに気がついた。
読んでみると、
{あなたの思い人とはじめから一緒にいることが出来るスキルがあります。欲しいですか?→はい いいえ}
いいえだな。
あの時の出会いを、思いを無かったことにはしたくないからな。
すると、意思を感じ取ったのか文字が変化した。
{思い人がどこにいるのか把握スキルがあります。欲しいですか?→はい いいえ}
いいえだな。
同じ世界にいるかどうかだけ分かれば十分だし、同じ世界にいるか分かるスキルは持っている。
同じ世界に居るのなら、どこに居ても見つけて見せる。
この時、ミナを正体不明の悪寒が襲った。(3回目)
目の前の文字が粒子になって消えていき、目の前に転移の魔法陣が出現する。
転移の魔法陣を起動して、俺は海那達と合流した。
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「今日なんでこんなに悪寒がするの?!」
ミナの悪寒は、皆と合流するまで続いたのだった。
と、言うわけで戦闘狂、ドM、ストーカー予備軍をお送りしました。
どうしてこうなった…
いや、仲間になったのがカノア、セイス、薫、ラフィス、ディアスの順番じゃないですか。
で、順番的にはカノア、セイス、薫だったんですけど、何を思ったのか、セイスとラフィスを入れ替えてしまうという暴挙に出てしまった訳ですよ。
後悔はしてません………きっと。
なので、明日はセイスとディアスの話になります。




