第62話 甘い誘惑1
古城に踏み入れた瞬間、私達は転移させられて別々の場所に転移した。
そして、私は目に映った光景に愕然とする…。
私の目の前に広がるのは、マルムが死んでしまったあの時で時間を止めたような光景だったのだ。
あの時、私にもっと力があれば…。
やはり、そう思わずにはいられない。
すると私の目の前にAR表示みたいな感じで文字が現れた。
{ステータス等がこの時点の物になりますが、この時点に戻りますか?→はい いいえ}
………なんだこれは?
私は迷いなく、いいえを選ぶ。
あの時はやり直したいと何度も思ったけど、あの時がなければ今の私は無いだろう。
それに、マルムの命を弄ぶような真似を私は絶対に許さない。
私がいいえを選ぶと、目の前の光景は消滅して、魔法陣が現れた。
私が魔法陣を起動させると、次に現れたのは、マルムのホログラム(?)だった。
マルムのホログラム(?)が語りかけてくる。
「ミナ様、私を救うのが嫌なのですか?」
「そんなこと絶対に無い!
救えるなら救いたかった。
でも!………私は救えなかったんだよ。」
「でも、今のミナ様なら救えるはずです。
今の状態で過去に戻って、私を救ってくれませんか?」
私は、マルムの発言に違和感を感じた。
………果たして、マルムがそんな事を言うだろうか?そう思ったのだ。
マルムならば、過去に戻るよりも、前に、未来に進むように言いそうだ。
そう思うと、私はつい、笑ってしまう。
「ふふっ、そうか、そうだよね。
ごめんね、マルム。
救うことが出来なくて。」
「何故、謝っているのですか?
私を救うことが出来るのですよ?」
「うん、あなたはマルムじゃないよね?
マルムの姿でそんな事を言わないで欲しいかな。
私達は前に進める、誰かに力を与えられなくても、少しずつでも確実に。」
私の言葉に同調するかのように、左目のマルムの霊魂石も白く輝く。
すると、マルムの姿をしたホログラム(?)は「お見事」そう言い残して満足そうに消えていった。
マルムのホログラムが消えた後、私の目の前に転移の魔法陣が出現したので、私は転移の魔法陣を起動して、管理者のいる最深部に転移した。
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~マーガム視点~
古城に入った途端に僕たちはバラバラに転移させられてしまった。
転移した僕の目の前現れたのは、空に浮かぶ文字でした。
そこに書いてあったのは、{すべてを守れる力が欲しいですか?→はい いいえ}
と書いてあったので、僕はいいえを選ぶ。
僕には、ミナさんにもらった力がある。
それに僕は、誰かに与えてもらうだけでは意味が無く、自分に最適化が出来なければどんな力でも意味は無い、と思っている。
いいえを選んだ僕の前に、魔法陣が現れたので、魔法陣を起動する。
魔力総量の少ない僕でも起動出来たのでよかった。
魔法陣からは、マルムがぺらっぺらの状態で出て来た。
「お兄さま、過去に戻って私を救ってはくれませんか?」
「それを言うなら僕よりもミナさんの方が適任だと思うよ?
でも、ミナさんにだけ任せるのはもう嫌なんだ。
だから、ミナさんがやるのならやる。
これが僕の意思だよ。」
このペラペラのマルムが偽者なのは気がついている。
11年も一緒に過ごしたんだ。
マルムの癖や、考え方もある程度は分かる。
マルムなら、絶対に過去に戻って、なんて言わない。
むしろ、「お兄さま、過去に戻っている暇があるのなら、その暇を使って前に進まなければミナ様に嫌われますよ?」くらいは言ってくるだろう。
僕の目標は、ミナさんも守れる騎士になることだ。
その目標を達成するためには、過去に戻っている暇なんてない。
僕はミナさんよりも強くなる。
そうでなければ、ミナさんを守ることなんて出来ないと思う。
「僕の最愛の妹は、もう、いません。
それでも、だからこそ、僕はミナさんと、皆と一緒に前に進むんだ!」
その言葉を聞いた、ペラペラのマルムは、満足したように微笑んで消えていった。
そして、転移の魔法陣が現れたので転移の魔法陣を起動して、ミナさん達と合流するのだった。
全員分やりたいので、2日くらい続きます。




