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勇者から逃げだした聖剣  作者: 黒一忍
第七章 天の国
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第57話 聖女?

 私はカノアから飛び降りて悪魔と対峙する。

 悪魔は咆哮することで衝撃波が発生し、地面を抉りながら私に向かってきた。

 私は《縮地》で悪魔の背後に一瞬で移動しつつ黒刀(ノールツ)を抜刀し、悪魔の首を斬りつける。


 斬った箇所から黒い霧が発生して、その霧に触れた草木が黒く燃え始めた。

 私は、悪魔と黒い炎に《鑑定》を行使する。


ステータス

名前 ディアス(融合状態)

Lv259 職業(クラス)魔王Lv7 8才 男

HP18500 MP31000 SP5000

攻撃力 500

防御力 2400

魔法攻撃力 34000

魔法防御力 26000

素早さ 2300


スキル

魔力貯蔵Lv7

魔法貯蔵Lv7

魔力ブースト

憤怒


職業(クラス)スキル

魔法適正

魔法構築

詠唱加速

魔王咆哮

黒塵

思考加速

魔力剣作成

魔王覇気



魔法

回復魔法Lv3

水魔法Lv7

闇魔法Lv7


 融合状態だからか、ステータスが異常だ。

 8才のレベルじゃない。

 そして黒い炎を《鑑定》すると、


黒炎

スキル《黒塵》によって発生した塵が発火したもの。

水で消えることはなく、聖属性による浄化か、黒炎よりも強力な威力をぶつけることでしか消えない。


 なんとも厄介な。

 でも、聖属性で消えるなら、ぴったりの相手がいる、そう思いセイスを《相転移》で呼び出す。

「どうやら、俺の力が必要なようっすね!」

 そう言ったセイスは、ポーズを決めて登場した。

 ………そのポーズが荒ぶる鷹のポーズだったことには、何もいうまい。


 セイスに《纏身》と《主人ブースト》を使ってもらい、聖魔法を使って周囲の黒炎を浄化していく。

 悪魔、いや、魔王はそれを見て真っ黒な剣を作り出した。

 スキルから察するにおそらくは魔剣だろう。

魔王が剣を投げてくるので避けると、剣が当たった地点が爆発した。

 《剣域》で爆発した地点や規模を把握してから、改めて魔王を見ると、その周囲にはさっきと同様の剣がいくつも空中に停滞していた。


 まるで機雷だ。

 私は《時空間収納(アイテムボックス)》から聖剣を3本取り出して、《剣舞》で操り魔剣機雷を爆発させて数を減らしていく。


 私は魔王から機関銃のように放たれる魔法を、時に斬り、時に《縮地》を使って逃げながら、魔王に向かって進んでいく。

「我の邪魔を、するなぁあ!」

 魔王から飛んで来る魔法がさらに苛烈さを増し、魔法の着弾点が爆発するようになって、まるでロケットランチャーを連射されている気分だ。


 そして私が魔王の眼前で剣を構えたとき、魔王が零れるように言葉を放つ。

「何故我の復讐を止めようとする?

 あいつらさえ居なければ、いや、あいつらが攻撃さえしてこなければ、こなければ母親が死ぬこともなかったのに!」

 そう言った魔王は、泣いていた。


 私はそれを聞いて斬ろうとしていた動きを止めてから黒刀(ノールツ)を納刀する。

 そして魔王を抱きしめた。

 《黒塵》のスキルで私の体を黒炎が焦がすが、気にせず抱きしめる。

 この子のいままでの生活を知った、こうなった経緯を知った、だからこそ、私はこの子を独りにしてはいけない。そう思った。


 抱きしめながら私は魔王に語りかける。

「復讐を止めるつもりはないよ。

でもね、無意味に力を振るったらだめだよ。」

「母親を、我を助けてくれなかったこの世界が復讐対象なんだ!

 だから、無意味なんかじゃない!

 我だって、好きでこんなことをしてるんじゃない!

 怒りがどうしようもなく沸き上がるんだよ。

 もう、我を止めてくれよ…。」

 きっと、魔王の人格と子供の人格が混ざっているのだろう。


 復讐はしたいでも止めて欲しい、おそらく復讐したいのは魔王の方で、止めて欲しいと考えているのが子供なのだろうか。

 止めて欲しいと願われた以上この子を不幸にすることなく、この子を止める、そう決めた。


 セイスに聖魔法を全力で使ってもらい、魔王の怒りを和らげていく。

 そして私は、魔王のスキル《憤怒》に《解封(ロック・アンロック)》を使用して、封印しようとする。

 しかし、《解封(ロック・アンロック)》を他人に使う場合は、相手の許可が必要なので、子供の人格が選べるように、聖魔法による怒りの中和をしたのだ。


「あなたの未来だから、あなたが選んで。

 怒りに任せて生きたいなら、拒否を、怒りに支配されずに生きたいなら、承認を選んで。」

 私がそう言うと、魔王はすぐに承認を選んだ。


 《憤怒》のスキルは封印された。

 魔王の黒い体が崩れて、中から真っ白な男の子が現れた。

 男の子は眼を開いて状況を確認してから、かなり小さな声で、

「………、感謝する。」

 と、年齢に合わない感謝の仕方をしてきた。


「私達はこれから魔の国(デージン)に向かうけど、あなたはどうする?

人間の国(ヒューゲン)に行くなら送ってあげるけど。」

「…我はおねぇについていく。」

「わかった。

 でも、おねぇって私のこと?」

「……駄目?」

 いや、一応確認だったんだけど。

「駄目じゃないよ。急だったから確認したかっただけだよ。」


 ディアスが自分の意思で選んで、私達についてくることになった。

 魔の国(デージン)に向かうことに関しては、ディアスは父親に顔を会わせて欲しいとだけ言っていた。


 私はカノアにセイスの《意思伝達》を使って事情を説明してから降りてきてもらい、ディアスを連れて魔の国(デージン)に向かった。





「やっぱり、あいつは面白い奴だな!」

 このとき私の《剣域》の範囲外から、望遠鏡で私達を見ていたギルドマスターによって、私が聖女という噂が国内外に急速に広まっていった。

 私がそれに気がついたのは、聖女の噂が広まりきってからだった。

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