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勇者から逃げだした聖剣  作者: 黒一忍
第七章 天の国
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第56話 SSランクでも拒否権は無かった…

 目が覚めた私は、足下から感じる感触に違和感を覚えた。

 人肌の感覚が足下に広がっている。

 しかし、カノアが私を、そして私がマーガムを抱き枕にしているような状態で足下に人肌なん…て…、あ、そういえばラフィスさんがいたか。


 少し体を起こして見てみると、やはりラフィスさんがそこにいた。

 ………恍惚とした表情を浮かべている。

「ここが、私の天国ですかぁ…?」

 寝言で言うことなのかな?


 とりあえずラフィスさんは放置してカノアを起こそう。

「カノア、起きて。」

 カノアはすぐに起きてくれる。

「おぉ、ミナよおはようだのぅ………?

 ぬお!?…なんでこやつこんなところにいるんだのぅ。」

 それは私も聞きたいよ…。


「…ぅん?ミナさん、カノアさんおはようございます。」

 マーガムも起きた。

 どうやらマーガムはラフィスさんに届いていないみたいだ。

 よかった。

 マーガムには、真っ直ぐ育って欲しいからね。


 私達はベッドの枕側に寄って、ラフィスさんを起こす。

「ラフィスさーん、起きてください」

「うみゅ~。」

 ダメだ。

 全然起きないぞ。

 最終手段は物理的に起こすしかないか?


「ほれ、起きるんだのぅ“スタンボルト”」

 ラフィスさんが感電した!?

「カノアなにやってるの?!」

「いや…、起きないから電気ショックで起こそうと思ってのぅ。」

「いや、起きたけど!

 別の方向に飛んでってるでしょ!」

 私は素早くマーガムの目を手で覆う。

 ………この顔は見せちゃダメなやつだ。


 しばらくするとラフィスさんが戻って来たので、なんで足下に居たのか問いつめよう。

「ラフィスさん、なんで私達の足下に居たんですか?」

「いえ、とても気持ちよさそうな足があったので、………魔が差しました。でもとても気持ち良かったですありがとうございます。」

 天使が魔が差すって…、堕天とかじゃないよね?

 あと、踏んだことに感謝されても困るだけなんだけど。


「もうやらないでくださいね?」

「そんなぁ!?」

 いや、そんな絶望的な顔されてもなぁ…。


 私達はラフィスさんを放置して、魔の国(デージン)に向かう準備をする。

 私達が準備し終わった時、ラフィスさんは、………放置されて興奮していたので、無理矢理準備させて、薫と合流してから買い物に向かった。


 買い物は問題なく終了し、ギルドで魔の国(デージン)への物資移送のクエストを探したが見当たらなかったので、私達は天の国(エンシ)から出発した。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


 天の国(エンシ)から龍になったカノアに乗せてもらい魔の国(デージン)へと向かって進むこと3日、私達はホゾンの街まで南下していた。

 あと2日もあれば魔の国(デージン)にたどり着くだろう。

 ちなみにラフィスさんは、カノアのしっぽにくくりつけられている。

 なんでも、風に容赦なくぶつけられるのが気持ちいいらしい。

 私にはわからないし、わかりたくもない。


 ホゾンの街で宿を決めて、[食事処 平等謳う精霊亭]でティーナさんの料理を食べながら、ティーナさんに近況を聞いた。

「最近はねー、この街で悪魔が出てー、街が騒然としたよー。」

「悪魔?それはどんな見た目ですか?」

「黒い体にねー、真っ赤な眼だったよー。」

 それは、本当に悪魔なのかな?


 [食事処 平等謳う精霊亭]を後にして、私達はギルドに向かった。

 クエストを確認してみると、悪魔の討伐依頼が緊急クエストとして貼り出されていた。

 私達がクエストを見ているとギルドマスターが飛んで来た。

「お前さん達、戻って来てたのか!

 ちょうどいい、このクエスト受けてくれ。

 ちなみに拒否権は無いからな。」


 そう言ってギルドマスターが渡してきたのは、悪魔の討伐依頼だった。

 とりあえず強制的に受けさせられたので、概要を聞くと、結構胸糞悪い話だった。

 そして悪魔は魔の国(デージン)に向かって進んでいるらしく、さらに悪魔が通った後には破壊され尽くすらしい。


 見つけるのは簡単そうだ。

 私達はすぐにホゾンの街を出発して悪魔の後を追った。


 案の定、悪魔はすぐに見つかった。

 私は悪魔が放つ気配が異常なのを察知して、カノアに上空で待機するように伝える。

 私はカノアから飛び降りて悪魔の前に立ち塞がるのだった。

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