第56話 SSランクでも拒否権は無かった…
目が覚めた私は、足下から感じる感触に違和感を覚えた。
人肌の感覚が足下に広がっている。
しかし、カノアが私を、そして私がマーガムを抱き枕にしているような状態で足下に人肌なん…て…、あ、そういえばラフィスさんがいたか。
少し体を起こして見てみると、やはりラフィスさんがそこにいた。
………恍惚とした表情を浮かべている。
「ここが、私の天国ですかぁ…?」
寝言で言うことなのかな?
とりあえずラフィスさんは放置してカノアを起こそう。
「カノア、起きて。」
カノアはすぐに起きてくれる。
「おぉ、ミナよおはようだのぅ………?
ぬお!?…なんでこやつこんなところにいるんだのぅ。」
それは私も聞きたいよ…。
「…ぅん?ミナさん、カノアさんおはようございます。」
マーガムも起きた。
どうやらマーガムはラフィスさんに届いていないみたいだ。
よかった。
マーガムには、真っ直ぐ育って欲しいからね。
私達はベッドの枕側に寄って、ラフィスさんを起こす。
「ラフィスさーん、起きてください」
「うみゅ~。」
ダメだ。
全然起きないぞ。
最終手段は物理的に起こすしかないか?
「ほれ、起きるんだのぅ“スタンボルト”」
ラフィスさんが感電した!?
「カノアなにやってるの?!」
「いや…、起きないから電気ショックで起こそうと思ってのぅ。」
「いや、起きたけど!
別の方向に飛んでってるでしょ!」
私は素早くマーガムの目を手で覆う。
………この顔は見せちゃダメなやつだ。
しばらくするとラフィスさんが戻って来たので、なんで足下に居たのか問いつめよう。
「ラフィスさん、なんで私達の足下に居たんですか?」
「いえ、とても気持ちよさそうな足があったので、………魔が差しました。でもとても気持ち良かったですありがとうございます。」
天使が魔が差すって…、堕天とかじゃないよね?
あと、踏んだことに感謝されても困るだけなんだけど。
「もうやらないでくださいね?」
「そんなぁ!?」
いや、そんな絶望的な顔されてもなぁ…。
私達はラフィスさんを放置して、魔の国に向かう準備をする。
私達が準備し終わった時、ラフィスさんは、………放置されて興奮していたので、無理矢理準備させて、薫と合流してから買い物に向かった。
買い物は問題なく終了し、ギルドで魔の国への物資移送のクエストを探したが見当たらなかったので、私達は天の国から出発した。
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天の国から龍になったカノアに乗せてもらい魔の国へと向かって進むこと3日、私達はホゾンの街まで南下していた。
あと2日もあれば魔の国にたどり着くだろう。
ちなみにラフィスさんは、カノアのしっぽにくくりつけられている。
なんでも、風に容赦なくぶつけられるのが気持ちいいらしい。
私にはわからないし、わかりたくもない。
ホゾンの街で宿を決めて、[食事処 平等謳う精霊亭]でティーナさんの料理を食べながら、ティーナさんに近況を聞いた。
「最近はねー、この街で悪魔が出てー、街が騒然としたよー。」
「悪魔?それはどんな見た目ですか?」
「黒い体にねー、真っ赤な眼だったよー。」
それは、本当に悪魔なのかな?
[食事処 平等謳う精霊亭]を後にして、私達はギルドに向かった。
クエストを確認してみると、悪魔の討伐依頼が緊急クエストとして貼り出されていた。
私達がクエストを見ているとギルドマスターが飛んで来た。
「お前さん達、戻って来てたのか!
ちょうどいい、このクエスト受けてくれ。
ちなみに拒否権は無いからな。」
そう言ってギルドマスターが渡してきたのは、悪魔の討伐依頼だった。
とりあえず強制的に受けさせられたので、概要を聞くと、結構胸糞悪い話だった。
そして悪魔は魔の国に向かって進んでいるらしく、さらに悪魔が通った後には破壊され尽くすらしい。
見つけるのは簡単そうだ。
私達はすぐにホゾンの街を出発して悪魔の後を追った。
案の定、悪魔はすぐに見つかった。
私は悪魔が放つ気配が異常なのを察知して、カノアに上空で待機するように伝える。
私はカノアから飛び降りて悪魔の前に立ち塞がるのだった。




