第48話 あのときの不可能を可能に
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魔法陣によって転移した私達が見たのは、他のダンジョンの最終階層と同じ風景、ではなく、同じ風景に所々から木が生えている光景だった。
今回は何故か、光の案内も無いので、宮殿まで自力で向かう。
そして、宮殿の扉を無理矢理抉じ開けて中に入ると、手足を木で拘束された少女と、その横に、邪神の眷族が生み出した悪魔がいた。
あのときの悪魔とまったく同じに見えるが、あのときの悪魔は倒したので違う個体なのだろう。
私は薫を地面に下ろしてから、《縮地》を使用して一気に距離を詰めると同時に、《神速抜刀》を発動して悪魔の胴体に存在するコアを斬る。
………はずだった一撃は、何故か位置がずれて首を刎ねてしまう。
この現象には覚えがある。
ついさっき見たのだから。
「薫、どうして…?」
薫を見ると、薫は気絶していた。
すると、地面に落ちた悪魔の首が喋り始めた。
「ギギッ、ソイツノ深層意識ニ入リ込ンデ、操ッテイルノサ。」
なるほど、薫が裏切った訳じゃないのか。
なら、薫の妨害に関してはマーガムとセイスに任せよう。
カノアもようやく戦闘に参加する。
私は、《縮地》と《神速抜刀》を連続で使用して、悪魔を攻撃していく。
どれも薫のスキルによって致命傷にはならないが、少しずつ削っていく。
カノアも悪魔に殴りかかるが、やはり攻撃位置がずれているので攻撃が当たらない。
そしてセイスが薫を燃やしてスキルの発動を妨害しようとしたが、あまり効果は無いようだ。
私は、目を閉じて集中する。
もしかすると、目で見るからこそずれているのではないか、そう思ったので《剣域》で認識をしてから、《縮地》と《神速抜刀》を発動させた。
すると、悪魔のコアのある場所を僅かにずれて斬ることに成功した。
悪魔が避けて僅かにずれたが、どうやら思った通りに攻撃出来たようだ。
悪魔が空間に穴を開けて腕を入れようとする。
開いた先の空間はマーガムのすぐ後ろだった。
「同じことが、通じると思わないで!」
《神速抜刀》で腕を上から斬りつける。
悪魔の体が硬いため、斬り落とすまではいかず、それでも穴に腕を入れることは阻止できた。
しかし、悪魔は諦めずに魔法を穴に向かって撃ち込んだ。
《剣域》で穴の位置はわかっているので、あらかじめ指示を出しておいた。
マーガムにセイスを纏わせてから《獣化》させた上で《身体強化》と《強化防御》を使用してもらい、魔法防御力にすべて振り分けてもらっていたのだ。
マーガムに魔法が当たるが、極振りした魔法防御力を上回ることは無く、無傷で魔法を受けきった。
もちろん悪魔が魔法を撃っている間、眺めている訳もなく、悪魔に止めを刺した。
あのときは出来なかったことが出来た。
私はみんなの成長を感じて思わず涙が出てきた。
「助、けてー…。」
………あ、そういえば拘束された少女がいたの忘れてた。
私は、少女を木から引き剥がしてから事情を聞くことにした。
「いやー、参っちゃいますよねー。
邪神の眷族が出てきたと思ったら、いきなり木に拘束されたんですよー。
試練の内容が書き換えられるわで、大変なんです。」
ということは、私達はダンジョンを突破したことにならないかもしれないのかな?
「あ、でもあなた達はクリアしてますよー。
そこで気絶してる人は、クリアしてませんけどねー。」
薫以外はクリアしたのか。
「なんで薫はクリアした扱いにならないの?」
「それは秘密なんですよー。
ただ、私が決めた基準には、到達していなかった。
それだけですー。」
意識を取り戻したら、薫が文句言いそうだな。
「では、クリア報酬を渡したいと思います。
スキルは、《相転移》です。
効果は、自分と他のものの位置を入れ換えることが出来ます。
では、渡します“贈与”」
私の右手の甲に紋章が刻まれる。
これで残りのダンジョンは2つだ。
私達は、ダンジョンから転移でラインの街に戻ってきた。
薫はギルドの職員に任せて、私達は街に天の国に向かう準備をするために買い物をすることにした。
しかし、ギルドを出ると問題に気が付いた。
辺りが真っ暗だった、時間が深夜である。
どこの店も閉まっていたので、明日また買い物をすることした。
翌朝買い物を済ませてから、天の国に向かって出発しようと門から出てきた私達の前に、薫が立ち塞がる。
「海那、俺も連れていってくれ。」
「………いいよ。
でも、条件があるけどね。
まず、私達のことは他言しないこと。
2つ目に、パーティー内は仲良くすること。
最後に、絶対に死なないこと。
この条件は絶対に承諾してもらうよ。」
「わかった。
その条件で大丈夫だ。」
こうして、薫がパーティーに加入したのだった。
私達は、龍に姿を変えたカノアに乗って天の国へと向かった。
累計PVが30000を突破しました!
SSを活動報告のほうに上げていますので、良ければご一読ください。
実は勇者から逃げだした聖剣は、
話的には半分ぐらい進んでいるので、
このままの更新ペースで最後まで行きたいですね。




