第47話 すれ違い、ゆえの戦闘
~薫視点~
海那達とはぐれた俺はスキル《真眼》によって周りにいる人間達に見えるのが、モンスターであることを判別した。
《真眼》は、相手の嘘を見抜くことの出来るスキルで、嘘を言っている時には口の周りに煙が出るようになっている。
周りの人間達を見ると、全体に煙が出ていたので、周りの人間が嘘であることがわかる。
周りの人間達を試しに、少し斬る程度で止めてみたのだが反応がない。
回復薬を準備してから、思い切り斬ってみたら光になって消滅したので、モンスターだと確定した。
俺が周りの人間に見えるモンスターを次々斬っていくと、すべてのモンスターが光になって消滅する。
すると、《感知》の範囲内に人が1人侵入してくる。
こちらに向かってくるので、警戒しているとそこに出てきたのは、海那だった。
「海那?
なんで1人なんだ?」
《真眼》で見てみるも、煙は出ていない。
なので嘘ではない…のか?
一応、確認はするか。
「なぁ、海那、記号を書いてくれないか?」
海那は首をかしげるだけで、返事をしてくれない。
そして海那が俺に背中を見せると、海那の正面に魔法陣が出現し、海那が魔法陣に乗り、魔法陣を起動した。
「海那?!」
俺は魔法陣を急いで起動しようとして、海那の仲間が気が付けるように、記号を書いてから魔法陣を起動した。
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~ミナ視点~
魔法陣で転移した私達の目に映ったのは、私を抱えて泣いている薫だった。
………なんで、私がそこにいるんだ?
便利な《剣域》先生によると、致命傷で無いギリギリの位置に怪我を負っていている状態だと教えてくれた。
さっきまでと同じで景色に細工がなされているので、《剣域》先生が妨害されているような状態だけど、私が視認できる事の情報ならば的確に分かる。
マーガム達を見てみると、元の姿に戻っていたので、おそらく薫も本物だろう。
一応、マーガム達も本物ではない可能性があるので、セイスに《意思伝達》を使って貰って確認しよう。
『みんな、本物?』
『はい、本物です。』
『本物だのぅ、なんなら戦って確認するかのぅ?』
『いえ、お断りします。』
どうやら、みんな本物のようだ。
あと、戦闘狂は自重して。
薫にも《意思伝達》を繋げてもらったのだが、反応が無いので、私が近付こうとすると、薫がかなりの速度で苦無を投げてきた。
私がそれを切り落とすと、薫が立ち上がり、こちらに敵意を向けてきた。
「また、出てきたな?
偽物が!!」
えっ?
私が偽物?
ちょっと理解が追いつかない。
「さっきも頭の中に直接話かけて来やがって、戸惑っているところで海那を殺したんじゃないか!」
「いや、私生きてるけど…?」
「なら、この死体はどういうことだ?
モンスターなら死んだら光になって消えるだろ!
消えないんだから、海那は、死んだんだよ!」
「いや、それモンスターだし、ギリギリ致命傷じゃないから、消えてないだけだよ。」
これで理解してくれないかな?
「もう、いい。
これ以上、その姿、声で喋らないでくれ。」
そういうと薫が複数に増えた。
リアル影分身ってやつだ。
薫の影から這い出てくるから、凄いホラーだ。
………あんな影分身は嫌だ。
もっと、忍者みたいに瞬間的に出て来て欲しい。
昔のホラー映画のテーマソングが聞こえてくる気がする…。
薫の分身が一斉に突撃してくる。
私は《神速抜刀》を使えるように構えてから、マーガムとカノアに指示をだす。
「マーガムとカノアは下がっていて。
薫は多分、勇者の中でも一番強いから。」
「わかりました。
どうか、無事でいてくださいね。」
「一番強いのか…、戦いたいが、ここはお主に任せようかのぅ。
敵意がお主にしか向いておらんから、わしとの戦いに集中してくれんだろうしのぅ。」
良かった。
戦闘狂が引いてくれた。
とりあえず薫を怪我させないようにしなければならないけど、私の偽物にとどめを刺せば光になって消えるはずなので、
第一目標で、私の偽物の消滅
第二目標が、薫の説得
そして最悪の場合は、薫を気絶させてダンジョンをクリアする。
私は、《剣聖》を発動させて1秒を引き延ばし、《剣域》で状況を把握する。
私の偽物を守るように、薫の本体と、薫の分身2体が張り付いている。
そして、私に向かってくる分身体が30人。
私は、《時空間収納》から聖剣を7本取り出してから《剣舞》で操る。
4本を私の偽物の討伐に向かわせて、残った私と3本は向かってくる分身体の迎撃を行う。
分身体の攻撃は基本的に、私を狙ってくるのですべて迎撃するのだが、分身体を消しても消しても新しい分身が増えるのでかなり厄介だ。
そして、偽物の討伐に向かった4本も、薫本体の能力の高さとおそらくスキルによる防御のおかげで、傷つけることすら出来ていない。
何故か、《神速抜刀》で斬る地点が大幅にずれるので、偽物に攻撃が当たらないのだ。
「セイス、お願い!
概念の炎を使って影を燃やして!」
すると、セイスが飛び出して薫の影を踏んでから炎で影を燃やし始めた。
すると、影から分身が出てこなくなったので、1体、また1体と分身を消していく。
ミナは影を無くせば分身が出てくることも無いと考えたが、カノアがオークジェネラルに使った“オリジンフレイム”の原点(もしくは到達点)とも言える概念の炎なので、スキルの使用のための過程が妨害された(もしくは焼き払われた)為、分身が出なくなったのだ。
そして、私に向かって来ていた分身をすべて消してから、私は薫の前に立った。
「薫、そこをどいて。
薫に真実を教えてあげるから。」
「断る!
海那は俺が守る!」
しかし、私と薫の戦闘能力の差は歴然だった。
薫の分身体では、私の《剣舞》で動かす聖剣2本は捌ききれないし、薫本体では、私を止めることは出来ない。
私は、私の偽物にとどめを刺した。
すると、偽物は光になって消えていく。
それを薫は呆然と眺めたあと、気絶してしまった。
そして私が薫を背負うと、私達の目の前に魔法陣が出現したので、私達は魔法陣を起動させて次の場所へと向かった。




