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勇者から逃げだした聖剣  作者: 黒一忍
第六章 ラインの街
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第46話 ラインのダンジョン

 翌朝、私達は薫と合流してギルドで手続きをしてからラインのダンジョンに向かった。


 ギルドで聞いた話だと、ラインのダンジョンは階層が1階層しかないダンジョンらしい。

 なんでも天井をモンスターが走っていたりすることもあるダンジョンのようだ。

 さらに、今までダンジョンからの帰還者が1人しかいないことでも有名なダンジョンらしい。


 ギルドで情報を集めたが、受付嬢から聞いた以上の有益な話は少なかったと思う。

 曰く、ダンジョンに一緒に潜った仲間が見当たらない。

 モンスターがスキルを使ってくる。


 …うん、それ自分が何らかの幻覚にかかってるんじゃないの?

 とりあえず実際に体験しないとわからないけど、対策はしたいな。


「マーガム、カノア、セイス、あと薫も聞いて。

 もしかしたらあなた達を認識出来ないかも知れないからなにか合図を決めて起きたいんだけど…、どうする?」

「じゃあ、武器で地面に文字とか、絵を書くってのはどうだ?」

「そうだのぅ、それがいいと思うのぅ。」

「僕もそれがいいと思います。」

「そうだね、それがいいかもね。」


「どんな合図にするっすか?」

「なら、こんなのはどうかのぅ?」

 そう言ってカノアが絵を書き始める。

 ………上手いな!

 カノアの絵(カノアの顔)が上手すぎて真似できないよ?


「カノア…、そのレベルだと私書けないよ…。」

「…? これくらい普通ではないかのぅ?」

「あれ? 普通ってなんだっけ?」

「カノアさんの普通は、少しずれてますからね…。」

龍の国(ドラウ)の人間はみんな絵が上手かったぞ?」

 薫が補足してくれる。

 そっか…、カノアごめん、マーガムと同じこと思ってたよ。


「なら、こういうのはどうですか?」

 そう言ってマーガムが図形を書いた。

 そうだよね、判別用なんだから図形でいいよね。


 私達は、図形を決めてから食糧を買いためたあと、ダンジョンに潜った。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


 ダンジョンに潜ると私とセイスだけがいて、マーガムとカノアと薫の姿が見えない。

 私は《剣域》によってモンスターの位置を把握しつつ、マーガム達を探し始めた。


 《時空間収納(アイテムボックス)》から聖剣を3本取り出して《剣舞》で操作する。

 そして、出現したゴブリンを斬っていくと、《剣舞》で操る1本を受けきるモンスターが現れた。

 そのゴブリンへの攻撃を一時的に中断していると、そのゴブリンが地面に図形を書き始めた。


 …この図形はマーガムだね。

 セイスに《意思伝達》を使って貰うと、無事成功したので良かった。

『あぁ、ミナさんですか?

 合流できて良かったです。』

『そうだね、合流できて良かったよ。

 ところで私と私が倒したゴブリンは何に見えてる?』

 『僕からはミナさんはオーガに見えますけど、剣が宙を浮いて攻撃してきたのでミナさんだと思いました。

 僕の近くに居たのは人でしたね。

 冒険者の格好をしていたので過去にこのダンジョンに潜った冒険者かもしれませんね。』

 結構厄介だな…。

 私にも幻覚が見えているってことは、おそらく見えている景色に何らかの細工が施されているのだろう。

 とりあえずカノアと薫を探しに行こう。


 私達が2人を探していると、宙を舞う蜥蜴人(リザードマン)が見えた。

 蜥蜴人(リザードマン)を飛ばしているのも蜥蜴人(リザードマン)だ。

 蜥蜴人(リザードマン)が防御することもなく、吹き飛んでいた。

 蜥蜴人(リザードマン)が光になって消えていく。

 私達に気が付いた蜥蜴人(リザードマン)がこちらに向かってくるが、蜥蜴人(リザードマン)を吹き飛ばしていた蜥蜴人(リザードマン)はこちらに気が付いていない。

 ………蜥蜴人(リザードマン)って言い過ぎて混乱してきたぞ。


 あの吹き飛ばした方の蜥蜴人(リザードマン)、もしかしなくてもカノアだよね…。

 とりあえずこちらに向かって来た蜥蜴人(リザードマン)を倒しつつ、カノアに気が付いて貰う為にセイスに《意思伝達》をしてもらう。


『カノア! 聞こえる?』

『おぉ!? ミナか?

 どこにおる…、あぁ、そこにいるオーガとゴブリンか?

 少し待っておれ、今この木偶の坊達を倒すからのぅ。』

 どこまでも変わらないな、この戦闘狂は。

 もはや、安心できるけど。


 さて、あとは薫だけか…。

 薫は一体何に見えるのだろうか。

 私達はまだ行っていない場所に向かったが、そこに薫の姿は無く、魔法陣が展開されているだけだった。


 薫が見つかっていないので魔法陣の前で休んでいるとマーガムが何かを発見した。

『あぁ!

 ミナさん、ミナさん!

 こんなところに薫さんの記号があります!』

『え?

 なんでこんなところに記号が…?

 私達を待つ選択肢もあったはずだよね…。』

 もしかして、薫に何かあった…?


 私達は急いで魔法陣を起動して先に進んだ。

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