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勇者から逃げだした聖剣  作者: 黒一忍
第六章 ラインの街
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第45話 人、それを脅迫という

 私達は気が付かなかった。

 ミナと言う名前をギルドの個室以外で言うということがどういう結果をもたらすのかを。


「ミナ?

 まさか…、月島 海那か?」

 私は、まるで油を差し忘れたブリキのようにぎこちなく首を動かす。

 いつの間に聞いていたのか、そしていつの間にラインの街に来ていたのか、薫がそこにいた。


「いえ、私はその人とは違います。」

「なら、海那の恥ずかしい話を聞いて貰おう。」

 えっ?!

 ちょっと待ってよ!

 恥ずかしい話ってなんだ?!

 くそぅ、ありすぎてわからないぞ…?

 ありすぎても恥ずかしいものは恥ずかしい。


「あれは、海那が小学生の時だ。

 あの時は、暑い夏だった。

 みんなでプールに、「うわぁあぁあ!?ちょっと待ってぇぇ!!!」」


 それは絶対に駄目なやつだ!

 何より私が恥ずかしくて死ぬ!

 まさか、脅迫なんて手段を使ってくるとは…。


「うぅ…、薫のいじわる…。」

「海那が素直にならないからだろ?」

 しかし、薫にバレてしまった…。

 出来れば隠しておきたかったな。


 まぁ、バレてしまったものはしょうがない。

「私達は今、ダンジョンを攻略するためにこの街に来ているの。」

「だろうな。

 俺も連れてってくれ、足手纏いにはならないからさ。」

 どう断ったものか…、危険だしそもそもマーガムとカノア以外は守れない。


「ご主人ー、肉はまだっすかー?」

 ちょっとセイスは黙ってようか?

 この話が終わったらちゃんと食べさせてあげるから。

 私は、セイスの口を塞いで喋れなくする。

『ご主人、ひどいっすよー!!!』

『ごめん、この話が終わったら食べさせてあげるから、ね?』

 《意思伝達》があったわ…。


『セイス、マーガムとカノアにも繋いで!』

『なんかわかんないっすけど、了解っす!』

 いきなり《意思伝達》が繋げられて2人とも少し驚いてしまう。


『みんな、どうやって断ったらいいと思う?』

『物理的に拒否すればいいのではないかのぅ?』

『却下。』

『何故!?』

 もはや考えるまでもない。

 そんなことやったら地の果てまで追ってきそうだし。


『では、パーティーに必要な職業(クラス)が揃っているから、と断ってはどうでしょうか。』

『良さそうだね。』

 マーガムの案が採用されました。


「パーティーに必要な職業(クラス)は全部揃っているから、その、ごめん。」

「見たとこ3人しかいないけど、足りてるのか?」

「足りてるよ?

 斥候かつ前衛かつ後衛の私に、敵の攻撃を受け止める前衛のマーガム、前衛のカノアがいるから。

 私達のパーティーは、命大事に突撃が基本方針だからね。」

 パーティーの方針なんて、今考えたよ。


「海那の仕事多くないか?

 俺が入れば斥候はやらなくてもいいぞ。」

「いや、でも…。」

「ごほん!

 えー、ここにいる海那はですねー、昔僕の家でー…「わかったよ!連れていけばいいんでしょ?!」………ようやくわかったか。」

 なんでよりによって薫にバレてしまうのか…。

 私の昔のことなんて、もはや黒歴史だぞ。


 でも、薫を連れていくことになってしまった…。

 とりあえずセイスの要望通り肉を食べに行こう。

 その時に薫とダンジョンに入る打ち合わせをしよう。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


 私達は、肉の食べ放題の店に入り肉を食べていた。

 焼き肉、すき焼き、しゃぶしゃぶ等の多種多様な料理が楽しめる。

 私達は美味しいお肉に舌鼓を打ちつつ、薫にレベルと職業(クラス)だけ聞いておく。

 レベルは、300オーバーで職業(クラス)は暗殺者のようだ。


 出来ることは、主に索敵、そして認識外からの攻撃することによるクリティカルダメージを主眼に置いたスキル構成のようだ。


 私達は肉の食べ放題の時間が終了したので、宿に戻ろうとする。

 もちろん薫とは宿が違うので途中で別れた。………のだが、薫はこちらをつけてきている為、少し寄り道して追跡を撒いてから宿で休んだ。


 翌日、私達は薫と合流してラインのダンジョンに挑戦するのだった。

 薫の本当の思いに気が付くことは無く、それが今回のラインのダンジョンでは大切なことだということを私達はこの時理解していなかった。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


 ~追跡を撒かれた薫~

「くそっ!

 いつから気が付かれた?

 今まで、追跡に気が付かれたことなんて無かったぞ。」

 海那の居場所を探すが、もう宿に入ってしまったのか見当たらない。


 もう、離れたくない、そして絶対に守ってみせる。

 そう強く思っているからこそ、俺はここまで強くなったのにそれ以上に海那は強くなっていた。

 その事実に思わず笑ってしまう。


 俺は海那の捜索をしばらくしたあと、宿に戻って明日に備えて寝た。

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