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勇者から逃げだした聖剣  作者: 黒一忍
第五章 ライゾの街
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第42話 名所巡りと誘い

 朝、目が覚めた私は、隣に眠るマーガムとカノアの頭を撫でつつ起こす。

「起きてマーガム、カノア。」

「んぅ…、おはようございます…。」

「おぉ、もう朝か。

 おはようだのぅ。」

「おはよう、今日は名所巡り日和だよ。」


 時刻は、午前8時、この世界の時間感覚は元の世界と同じなので、転移者なら元の世界に帰ったときに混乱することもなさそうだ。


 私達は着替えてから、カノアの案内で少し日が登ったライゾの街の観光名所巡りを開始した。


 最初の名所は、足湯だった。

 ライゾの街は、温泉がそこかしこで湧いている街なので、足湯もただで利用できる。

 ただ、奴隷や獣人差別があるので、マーガムも使える足湯を探すけど、あっても綺麗なお湯が無い足湯しかない。


 私は、獣人用の足湯に手を突っ込んで《解封(ロック・アンロック)》を発動する。

 ロック対象をお湯とその主成分とマーガム、私、カノア以外に設定すると、お湯以外の不純物がその場で止まる。

 私は水魔法で不純物すべてを外に出す。

 これで獣人の抜け毛などが私達の所に来ることはないだろう。


 私達は綺麗になった足湯に足を入れた。

 程よく暖かいので少し眠くなってしまう。

 マーガムとカノアは、船を漕ぎ始めてしまったので、2人をしっかり起こしてから次の名所に向かった。


 2ヵ所目は、間欠泉だった。

 地面から10m近く噴き上がる間欠泉は圧巻だった。

 しかし、間欠泉によってびしょ濡れになってしまった。

 ………カノアが。

 カノアが今回の名所巡りを計画してくれたのだが、説明に夢中になるあまり、間欠泉に近寄りすぎたのだ。


「あっっつぅぅぅ!」

 急いで水魔法で冷えた水を作り出し、カノアにぶっかける。

 医療的にあってるかはわからないけど、とりあえず冷やした方がいいと思ったからやった。

 普通の人間ならば重度の火傷になっていただろうが、そこは龍王だ。

 それも火龍王なので、火傷とかにはなりにくかったりするんだろう。

 とにかく、カノアの火傷が軽くてよかった。

 だが、今日のカノアの格好はいつもの軍服ではなく、白のTシャツに黒のジーパン(上下共に赤のラインが入っている)だったのだ。


 そして今、白のTシャツが透けてしまい、下着が丸見えになってしまっている。

 私は《時空間収納(アイテムボックス)》から、大きめの布を取り出してカノアを包む。

 これで大丈夫だろう。


 私は、回復魔法と火魔法、風魔法を使って温風を吹かせて、カノアの服を乾かしつつ、カノアの火傷を治していく。

 私達は一旦宿に戻って、カノアを着替えさせてから名所巡りを再開した。

 ちなみにカノアの格好は、さっきまでとほとんど変わっていない。

 軍服もそうだが、何着も同じ服を持っているのだそうだ。


 正午になり、私達は食事を取ることにした。

 カノアに案内されて着いたのは、ラーメンの暖簾が掛かった屋台だった。


 私達は、暖簾をくぐって木の椅子に腰掛ける。

 メニューを見てみると、元の世界とほとんど同じだったんだけど、一部違う料理が記載されていた。

 私とカノアは、竜骨ラーメンを注文して、マーガムは、チャーシューたっぷりの醤油ラーメンを注文した。


 マーガムの醤油ラーメンが先に提供される。

 マーガムは馴れない箸に悪戦苦闘しながらも、美味しそうに食べている。

 マーガムの様子を眺めていた私達に、竜骨ラーメンが提供される。

 カノアも箸は初めて使うようだったが、しばらくすると綺麗な持ち方をしていた。

 なんでも、雑誌を見て時々練習していたのだそうだ。


 私も箸を持って、「いただきます。」と言ってから竜骨ラーメンを食べ始めた。

 竜骨ラーメンは、結構さっぱりとしていているけど、味のインパクトは結構強かった。

 なにより麺との相性がいいのか、繊細なバランスで作られたすごい料理だった。


 ラーメンを堪能した私達は、次の名所に向かった。


 そして最後に私達が案内されたのは、街を一望できる高台だった。

 もう日は沈み始め、空を真っ赤に焼いている。


「今日は楽しんでもらえたかのぅ?」

「「もちろん! すごく楽しかったよ(です!)」」

「それは良かったのぅ!

 最後にここに来たのは、お主らに言いたいことがあってのぅ。

 また、お主らと一緒に観光とか、ゆっくり過ごしたいのぅ。」

「そうだね、次はラインの街かな?

 また案内してね、カノア!」

「僕も楽しかったのでまた観光したいです。」

 また、カノアに案内してもらいたい、そう思った私とマーガムだった。



□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


 ~その頃のタクト~

 目が覚めると病室のような場所だった。


 「くそっ!なんなんだあいつは!

 なんでレベル300を越えてる俺が殴りとばされてんだよ!」

 そう言って壁を殴る。

 壁が少し崩れたがそんなことはどうでもいい。


 俺をあんなに殴り飛ばせる奴は、王城に残ったクラスメイトの中には1人もいない。

 第一、よろけすらしないほどに俺は強くなっていたはずだ。


「俺に恥をかかせたあいつに、絶対に復讐してやる!」

 タクトの目には、仄暗い光が宿っていた。


「なら、力を与えてやろうか?」

 俺の後ろに男が音もなく立っていた。


「誰だ!?」

「誰かはどうでもいいことだろう?

 お前は、恥をかかせた奴に復讐したくないのか?」

「したいに決まっているだろ!」

 だが、あいつに殴られたことすら認識できなかった。

 今の俺では勝てないことは、さすがにわかる。


「なら、俺についてこい。

 そうすれば、お前を縛っている誓約から解放した上で、力を与えてやろう。

 もちろん俺の指示は聞いてもらうがな。」

「力は貰うが、お前の指示は聞かねぇぞ。」

「それなら、この話は無しだ。

 お前では絶対にあいつには勝てない。」

「くそがっ!

 わーったよ、ついていってやる。

 だから絶対にあいつに勝てる力を寄越せ。」


 タクトの元々高かった自尊心は、異世界に来たことによって、さらに高くなっていた。

 そして、膨れ上がった自尊心をミナによって砕かれた。

 だからこそ、砕かれた自尊心を取り戻す為にタクトは何が何でも復讐しようとしたのだ。

 それを悪魔が把握した上で、甘い言葉で近寄ってきたのだった。


「契約成立だな。

 では、ついてきて貰おうか。」

 男がそう言うと、男の目の前の空間が割れて穴が開く。

 そして男が穴の中に入っていく。

 そして、タクトも穴の中に入っていき、空間の割れ目は閉ざされた。


 その日、タクトが姿を消した。

 ミナに対する復讐心は消えず、いずれ復讐する日を心待ちにしながら。

次回で1話幕間を挟んでから、第六章ラインの街開始です。



感想とか貰えるとありがたいです。

あ、ダメだしもあればしてください。

やっぱり良いものにしたいんですよね。


返信は出来る限りしたいと思います。

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