第41話 まさかの最下層と小さい復讐
転送された私達の前に現れたのは、他のダンジョンと同じ最終階層の風景だった。
足元から光が出現して、道案内をしてくれるので、私達は光を追いかける。
しかし、初めてダンジョンをクリアした委員長と薫は、少し遅れてから追いかけてくる。
委員長と薫は警戒しつつ、キョロキョロと周りを興味深げに見渡していた。
「ここは恐らく最終階層だから、そんなに警戒しなくても大丈夫だよ。」
「…えっ?
ということは、このダンジョンを踏破出来たということですか?」
「そうだね。
この光を追っていけばいいよ。」
話ながら進んでいると、他のダンジョン同様、宮殿のような場所にたどり着き、宮殿の扉が開いて私達を招き入れる。
扉の先には、面接会場のような感じの家具配置と、腕を組んでこちらを見つめるおじいさんがいた。
「座れ、お前達がこのダンジョンをクリアしたかは、俺が決める。」
私達は、面接会場のように左から、マーガム、カノア、私、薫、委員長が横一列でパイプ椅子に座る。
「まずは、実技試験のクリアおめでとう。
お前達は、見事俺の作ったダンジョンの罠をクリアしていった。
そこは、認めよう。
だが、なぜこのダンジョンに挑んだ?
なぜ強さを求める?
その理由によって、お前達に証を授けるかを決める。」
………完全に面接だな…。
実際に受けたこと無いけど、たまにドラマとかで出てくるのと同じ感じがする。
「私は、強くなるためにダンジョンを踏破しています。
もう絶対に、守りたいものを失わない為に…!」
「僕も同じです。
もう、ご主人様だけが戦うようなことが無いように、隣に立って守れるくらい強くなりたい…!」
「わしも、もう戦闘開始で気絶などしたくないからのぅ。
それに、こやつらに頼らずとも邪神の眷族を打倒できるようにならなければならん。
そうでなければ、わしはわしを許せん。」
私達はそれぞれの想いを語る。
それは、マルムを守れなかった事実を受け止めて、それでも前に進もうとする強い意志だった。
「邪神の眷族か…、つまりお前達が…、………わかった。
お前達はクリアだ。
残りの者も理由を聞かせて貰おうか。」
どうやら、クリア出来たようだ。
残りは、委員長と薫だな。
「私はここまで、ただ付いてきただけです。
私には、証を受け取る資格はありません。
なので、辞退したいです。」
…ちょっ!何言ってくれてんの?!
勇者があなたしか居ないんだから、あなたが証を受け取らないと、私達のクエストが失敗したことになるでしょ!
「お前達の様子は観察していた。
確かにお前は何も出来ていなかったが、他の邪魔もしなかっただろう。
向き不向きはあるのだから何も出来ていないのはしょうがないことだ。
辞退は許可しない。
諦めて受け取れ。」
そう言われた委員長は、受け取ることにしたようで、こちらとしても安心した。
グッジョブ!おじいさん!
「俺は、人を探している。
ダンジョンをクリアすれば、その人を見つけられるようになるかもしれないと思って、ダンジョンに挑んだ。」
「なるほどな、だが、お前の探し人は案外近くにいるかもしれんぞ?」
………訂正、なんてこと言ってくれるんだ!
これでバレたら責任問題にするぞ!
「そんなのは、既に調べた。
灯台もと暗しっていうからな。
だが、この世界にいるのは確かなんだ。」
………そりゃそうだろう。
隣にいるもの。
「では、全員クリアだから証を授けよう。
“贈与”」
私達の右手の甲に紋章が刻まれる。
いままでに手に入れた紋章を合わせると、4つ目の紋章だ。
ようやく折り返し地点だ。
「お前達に授けたスキルは、《解封》だ。
あらゆる物に対して鍵をかけたり、開けたりすることが出来るスキルだ。
ただし、生物が相手だと相手の許可が必要だから注意することだ。」
とんでもなく便利なスキルだな。
自分の部屋の施錠から、もしかしたら呪いを解呪することも出来るかもしれない。
このスキルがあの時あれば…、とどうしても思ってしまう。
だが、本当に解呪出来るかもわからないのだから、そう思っても仕方ないのだけどね。
私は気持ちを切り替えてから、魔法陣に案内してもらい、私達はダンジョンから脱出した。
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とりあえず今回のダンジョンに潜る目的は完了した。
勇者を連れてダンジョンをクリアしたし、これで国に指名手配されることもないよね。
私達は、ギルドに向かって歩き始めた。
ギルドに着いた私達を待っていたのは、静寂だった。
とゆうか、ざわざわしている。
「えっ?
銀閃聖姫さん?
落とし穴に落ちて、死亡したと報告を受けていたんですが…。」
受付嬢から説明されて、委員長が頭とお腹を押さえている。
胃に穴が開いてそうだな、回復魔法をかけておこう。
それにしても、私が死ぬこと………あるか?
酸素が無くても、元々呼吸してないから関係無いし、怪我を負うことも無いからね。
………そう考えると、とんでもなくチートだな、私。
「とりあえず、それを報告した勇者を連れてきてください。」
とりあえず1発くらいは殴っておきたい。
「わかりました。
しばらくお待ち下さい。」
そう言うと受付嬢がギルドの奥に走っていく。
しばらくして、連れて来られたタクトは、とても驚いてくれたようだ。
そりゃ自分が殺した筈の人間が生きて戻ってきたら、私でも口が閉じなくなるだろう。
私は、口を開けて間抜け面を晒しているタクトの顔を、めり込むレベルで、しかし、死なない程度の力で殴り飛ばした。
タクトが吹き飛んで壁にぶつかって止まり、周りの冒険者達や受付嬢が固まった。
ちょっと、いや、大分すっきりした。
そのあと受付嬢に説明すると、タクトの故意による罠の発動と、虚偽報告が認められて、タクトは私達に賠償金の支払いを命じられた。
タクトを殴り飛ばした後、私達はギルドマスターにクエストの報告をしていた。
「ダンジョンをクリアしました。
クエストの方も、勇者のリーダーが証を持っているので、確認してください。」
「そっちは確認したよ。
さすがはダンジョンクリア数過去最高、やはり君達に任せてよかったよ。
まったく、国も無茶を言ってくれるよ。」
「そうですね。
私達の情報を国に渡さないでくださいね?」
「そこら辺は大丈夫さ。」
信用できないよ。
実際、脅迫してるんだから。
そう思いながらもギルドマスターとの話を終わらせて、私達は宿探しに向かった。
無事に宿が取れた私達は1日かけてライゾの観光名所を回ってから、その翌日ラインの街に向かうことにした。




