表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者から逃げだした聖剣  作者: 黒一忍
第四章 龍の国
40/168

第36話 その頃の勇者

今回は委員長視点です。

 ~ミナ達がオークの討伐をギルドから依頼された同時刻~


 私達は、昨日受けた依頼を今日ようやくクリアして、その報告にギルドに向かっていた。

 増田君達は先に帰ってしまったので、後で文句を言いに行く予定だ。


 徹夜でゴブリンを倒していたので、もう寝たいけど報告しなきゃいけない義務があるから、ギルドに向かう。


 ギルドに着いたけど、ギルドの職員が慌ただしく走っている。

 そして、ギルドは冒険者達のざわめきに包まれていた。


 私達はギルドの職員をなんとか捕まえて、クエストのクリア報告をしてから事情を聞いたのだけれど、どうやらオークが大量発生したらしい。

 幸い、ライゾの街には高ランクの冒険者が少なからずいるので、街から逃げる人はいないみたいだ。


 しかし、龍の国(ドラウ)の方には1パーティーしか、Aランクが居なくてとても危ない状況らしい。

 龍の国(ドラウ)には、龍王様が9人いるみたいだけど、龍王様は忙しく、よっぽど危ない状況でしか参戦しないらしい。


 私達が龍の国(ドラウ)に行きましょうか? と提案してみたが、なんでも龍の国(ドラウ)にいるAランクパーティーが、自分達2人が突撃して、1人が守るから大丈夫と言ったようで、私達はライゾの近辺に来るオークの討伐を依頼された。

 ちなみに大丈夫で無かった場合は、そのパーティーに多額の賠償金やらなんやらの支払いが命じられるそうだ。


 私は、増田君達を起こして文句を言ってから、オークの大群がこちらに来ている事を説明した。


「大丈夫だって、他の冒険者がなんとかしてくれるよ。

 まぁでも、俺達のレベルアップの為に受けてやるよ。」


 増田君はそう言うけど、私達のレベルは平均50前後しかない。

 増田君達アタッカー系が敵を倒してしまうため、騎士等のディフェンス系とサポート系のレベルは全く上がらない。

 増田君達だけがレベルアップしていき、次々モンスターを倒していっても、私達には何の恩恵も無いのだ。

 なので、クラスメイトの雰囲気は最悪な雰囲気になっている。


 私達は増田君達を連れてギルドに向かい、オークの大群からの防衛依頼を受ける。


 オークの大群についての情報を聞いていると、ギルドに私達と別行動の上原君が姿を見せた。

 どうやらクエストの報告に来たようで、受付嬢さんからオークの大群について話を聞いているようだ。


 確か上原君の職業(クラス)は、盗賊(シーフ)だったと思うので、今回の防衛依頼の細かい情報を獲得するクエストが別途依頼されるのかもしれない。


 上原君は、以前王城で見た時よりも少し、痩せたような印象を受ける。

 話しかけるか悩んでいると、上原君から声をかけてくれた。


「委員長じゃないか。

 委員長達も、オークの大群からの防衛依頼受けるのか?」

「えぇ、そのつもりよ。

 私達は一応、勇者だからね。」

「海那は見つかったか?」

「いいえ、でもこちらに来ていると決まって無いから…。」

「いや、居るはずだ。

 俺のスキルがそう言っている。」

「そう…、見つけたら教えるわね。」

「あぁ、頼む。

 これ、俺の今の住所だから、見つけたら連絡くれ。」


 私は上原君から、住所を書いた紙を受けとる。

 どうやらライゾの街に住んでいるようだ。


 それから私達は、オークの大群についての情報を交換してから別れた。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


 しばらく経って、私達はライゾの街の外でオークを迎撃する準備をしていた。

 すると、見張り台に立っている男の人が声を張り上げた。


「オークの大群を確認!

 数、およそ5万、いや、10万!」


 10万…、そんなの防衛出来るの?

 私達はその数の多さに萎縮してしまっていた。

 そんな中、上原君が落ち着いた様子でオークの大群に走っていく。

 そして、上原君がオークに飲まれた…と思った次の瞬間、上原君の周りのオークが全て切り刻まれていて、オークが全て倒れていく。


 その姿を見た増田君が、俺だってあれくらい! と言いながらオークに飲まれた。

 私は、呆れながら増田君を助けに向かった。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


 ようやく、増田君を助けられた。

 増田君はボロボロでHPもほとんど無いだろう。

 私は、ポーションを飲ませてHPを回復させる。

 すると、増田君が目を覚ます。

「気が付いた?

 あなたじゃあ、上原君みたいに出来ないの。

 わかった? わかったらすぐに戦列に戻る!」

「俺は、なんであいつが…!」


 増田君は、立ち直れていないけど、他の冒険者の人達がオークをかなり倒してくれている。


 しばらくすると、森の方から凄まじい音が聞こえた。


 オークの数が減ってきて、最後の1体が倒された。

 ギルドの受付嬢がクエストの終了を告げる。

 どうやら上原君達、斥候系の職業(クラス)の人が森の中にもオークが居なくなったことを確認してくれたようだ。


 なんでも、龍の国(ドラウ)の冒険者パーティーがたった2人で森の奥地までたどり着き、オークジェネラルを倒したらしい。

 龍の国(ドラウ)の防衛に至っては、たった1人で押し寄せるオークをほとんど一掃してしまったらしい。


 その冒険者パーティーが、ライゾの街に来るようなので、私は会ってみたいと思って、ライゾの街に留まることにした。

 他のクラスメイトや上原君も興味があるみたいで、みんなでその冒険者パーティーを待つことにした。

ミナとクラスメイト遭遇まったなし!


次回で遭遇します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ