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勇者から逃げだした聖剣  作者: 黒一忍
第四章 龍の国
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第33話 聖剣の普段使いの剣

 ダンジョンから出てきた私達は、経過した時間を確認する。

 迷宮を踏破するのに、かなりの時間が掛かってしまった為、時間感覚が曖昧になっていたからだ。


 近くを通った人に今の日付を聞くと、ダンジョンに入った日付から1ヶ月が経過しているらしい。



 ………えっ?

 1ヶ月…?確か約束は2週間だったはず…。

 約束を1週間も過ぎている。

 これはまずい…!


 私達はドワーフの工房まで不自然で無いスピードで走っていった。


「遅れてごめんなさい!」

「おうミナ、遅かったじゃねぇか。」

「ダンジョンに潜っていたもので…、すみません。」

「ダンジョン? あぁ、龍のダンジョンか。

 で? どこまで進んだんだ?」

「一応、クリアしました。」

「………は? あの挑めば10階層進むのに1年は必要な大迷宮を1ヶ月だと?

 まぁ、あんな剣を持っている時点で、ミナの実力は疑いようが無いがな!」


 そういって、ガッハッハ、と豪快な笑い方をするドワーフの店長。

 しかし、すぐに笑うのを止めて店の奥に入っていく。

 私達は、どうしたものかと思っていると、

「どうした? 早く付いてこい。」

 と言われたので、店長の後を追う。


 しばらくすると、私達の前に鉄で出来た人形が置いてある少し開けた場所に出てきた。

 そして、店長が私に2本の剣を渡してくる。

 1本は、私の使っている刀と同じ長さで、刀身の形状もほとんど一緒の黒色の刀であった。

 もう1本は、普通の剣よりも幅が広く、さらに少しだけ分厚い黒色の剣だった。


 実際に手に取って見て驚いた。

 重量と重心がほとんど同じなのだ。

 武具鑑定で調べてみると、オリハルコンとアダマンタイトの合金で出来た剣なのがわかった。


 ………オリハルコンとか、アダマンタイトって国宝級の鉱石だったよね?

 それだけしか使われていない剣って、かなりお高いのでは無いだろうか。

 金額を聞くのが怖くなってきた…。


「これ、いくらくらいですか?」

「俺の技術もまだまだ上に行けるってことを教えてくれたんだ。

 特別に材料費だけで、白金貨1000枚でいいぞ。」

 ………材料費だけで、10億円ですか…。


「円でいいですか?

 というか、円でしか払えません…。」

「むしろ、そっちのほうがいいな。

 白金貨なんぞ、嵩張ってしょうがねぇ。」


 私は、ギルドタグを《時空間収納(アイテムボックス)》から出して、店長に10億円を渡す。

 闘技大会での儲けが全部消えたよ…。

 まぁ、白金貨が少しはあるし、売ってないモンスターの素材もあるから、しばらくは大丈夫かな?


「とりあえずその剣で、あの人形を斬ってくれ。

 出来映えの確認と、調整がしたいからな。」


 言われた通りに人形を斬る。

 鉄を斬っているにも関わらず、まるで鉄が豆腐のようにすんなり斬れた。

 試しに《神速抜刀》を使っても、負荷がかかることなく鉄を斬れる。


「すごいですね!

 《神速抜刀》で鉄を斬るのに耐えられたのなんて、私の剣くらいでしたから、他に耐えられる素材があるとは思いませんでした。」

「今回のこだわった所だな。

 ミナに見せて貰った剣を再現する為には、素材の硬さと柔らかさが必要だったから、オリハルコンとアダマンタイトで合金を作ればちょうどいい硬度の武器になるかと思って混ぜてみたらうまくいって、かなり近い性質の素材が出来て、それで作ったのがその剣ってわけだ。」


 この剣と刀は、【神鉄】とかなり近い素材らしい。

 それにしても、刀身が黒色なので他の冒険者に見られても特に問題が起こる事もない。

 これで、他の冒険者が全員気を失うまで待つ必要も無い。

 堂々と戦闘に参加することが出来る。


 その事実に、私は重大な事を見落としていた。


 それは、真っ黒の武器がやはりこの世に存在しないことはないが、珍しい武器だということだった。


 もちろん、いつもなら常識的な戦闘狂のカノアが教えてくれるはずだったのだが、カノアが黒の武器に魅入られていて、スルーされた為、私がその事実を知るのは少し後になる。


「この武器の名前は、細い方がノールツ、太い方がワシュヴァだ。

 大切にしてやってくれ。」

「もちろんです。

 この武器なら、私の全力にもある程度は耐えてくれると思いますし。」

「全力だと、ある程度か、こりゃ手厳しいな。」

 そういって、店長が再びガッハッハと笑い出した。


「まぁ、武器のメンテナンスとかもしてやるから、また来て武器を見せてくれ。」

「わかりました。

 でも、しばらくしたら龍の国(ドラウ)を出るので、かなり期間が開いてしまいますけど。」

「構わねぇよ。

 気が向いた時に来てくれればいい。」

「わかりました。

 それじゃあ、また。」


 そして、私達は宿屋に戻って、買い物やギルドでの依頼などをこなして数日が経過した。


 向かう場所も決まって、 人間の国(ヒューゲン)に戻って、ライゾの街に向かうことにした。

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