第30話 ドワーフの工房
ドームから出て来た私達は、 ひとまず龍の国を観光することにした。
ドームに入る時にはゆっくり周りを見れなかったが、よく見てみると工房が多く見受けられる。
カノアに理由を聞いてみると、
「それは、この国の近くにとても大きな火山があってのぅ、そこで採れる鉱石が良質なのが多いためだのぅ。」と答えてくれた。
まだ夜には早いので、少しだけ工房を見て回ることにした。
工房の近くには、工房で出来た武器を販売する武器屋に必ず存在していて、私達は中には入らずに武器を見ていった。
《武器変化》の武具鑑定を使ってみると素材と武器の良し悪しがわかるので、いい素材を使っていて、腕のいい店を探してみる。
私とマーガムが使う武器は、【神鉄】で作られていて、それは一般的に聖剣と呼ばれる物に分類されてしまうので他の冒険者がいるところではよほどのことが無い限りは、使う気にならないので、普通の冒険者が使うような素材をつかった武器も必要だと思ったから、腕のいい店でいい剣を探すことにした。
一軒目
素材…良し、武器の出来映え…悪い
二軒目
素材…悪い、武器の出来映え…良し
三軒目
素材…悪い、武器の出来映え…悪い
こんな感じで見て回っていたんだけど、途中で事件が起きた!
なんと、ドワーフの中に武具鑑定を使える者がいたのかはわからないけど、マーガムの槍と盾にドワーフが群がって来た。
ちなみに、私の武器は《時空間収納》に収納しているので、誰にも気付かれることはなかった。
マーガムに群がるドワーフの一人に話しかけて、事情を聞いてみる。
「どうしてこの子に群がるんですか?」
「そりゃお前、こいつの持っている槍と盾がとんでもない素材で出来ているのは、見りゃわかるからな!
それに、加工技術もとんでもないな…。
盾と持ち手に継ぎ目が一切見えねぇ、どうやってんだ?あれ。」
《武器変化》で武器を作ると、イメージ通りに出来るなら気にしてなかったけど、やっぱりとんでもだったんだな…。
カノアが龍王であることを名乗ったことで、マーガムを中心に少しスペースが出来た。
しかし、周りを囲むドワーフ達は、獲物を見つけた餓えた獅子のような目でマーガムの槍と盾を見つめる。
さすがにこの状態では武器を探すことも出来ないので、路地裏に入ってから、マーガムの槍と盾をマーガムの《時空間収納》に収納してもらい、他の地区の工房を見ることにした。
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表通りの工房はあまりいい武器を見つけられないので、裏通りや人がいない店なんかを巡り始める。
もう何軒見たかも覚えていないけど、日が落ち始めて空がオレンジに染まって、帰ろうかな?と思ったそのとき、私達は少し小汚ない工房を見つけたので最後に入ってみることにした。
店に入ってみると、店主に見えるドワーフが煙草を吸いながらこちらを一瞥だけして鉱石を弄り始める。
私達は武器を見てみるのだが、剣(素材悪い、出来映え悪い)は一纏めに置かれていて、棚に置かれているのも同じような剣ばかりだった。
だが、店主が弄っている鉱石はオリハルコンだった。
普通なら、王城の宝物庫に保管されるか、英雄の武器になるような鉱石がそこにあるのだ。
ならば、置かれている武器もかなり質が良いはずなのだ。
私は不思議に思いながらも、武器を物色していると、
見つけた。
極僅かにオリハルコンを含んだ剣が一本だけそこにあった。
私はそれを手にとって改めて、武具鑑定を使用する。
すると、素材は鉄と極少量のオリハルコン、出来映えは超が付くほどの一流だった。
「おいお前」
いきなり店主が話しかけてきた。
「それを見てどう思う」
「そうですね…。
他の剣と比べて出来がとても良いですね。
それに、素材は鉄がほとんどですけど僅かに含まれるオリハルコンによって若干強度が増していますね。」
「そうか、お前はわかるのか。」
「なんで分かるのかのぅ?
オリハルコンが含まれているようには見えないのだかのぅ。」
カノアが不思議そうにしていると、店主が立ち上がってこちらに向かって歩いてくる。
「お前になら武器を作ってやる。
最近は武器を道具としてしか扱わない奴が多くてな、だからそれを見つけた上で評価出来た奴にしか作ってやらないことにした。」
私自身が聖剣だから、道具っていう間隔は無いかな?
なんというか、手足の延長のような感じだ。
「じゃあ、この武器と同じ形で同じ重量の武器を作ってください。」
そう言って《時空間収納》から、聖剣と聖刀を取り出す。
「こりゃぁとんでもないもんが出てきたな。
確かにこれは普通には使えないだろうしな。
わかった。
少し重さとかを計測するから、奥の店で剣でも見ててくれ。」
そう言って通された部屋には、表の店でも見なかったとても良い武器が置かれていた。
私達は夢中で武器を見たり、試したりして時間を潰した。
しばらくして店主が戻ってくる。
「これは難題だが、絶対に作って見せる。
とりあえず、二週間くれ。
他に仕事も無いから集中してやれる。
ところでお前の名前を教えてくれ。」
「私はミナって言います。」
「ミナか、わかった。」
そう言うと店主は店の奥に行ってしまったので、私達は宿を探しに表通りに向かった。
全話を見直して修正し終わったら活動報告にあげるので目安にしてください。




