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勇者から逃げだした聖剣  作者: 黒一忍
第四章 龍の国
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第29話 龍王との対面

 私達は、龍の国(ドラウ)に着いてすぐに、クエストを達成するためギルドに向かった。


 納品を完了させてから、カノアにどうするかを聞く。

「このあとは、どうするの?」

「まずはわしだけで、他の龍王と合ってこようと思っておったが、ついてくるかのぅ?」

「そうしようかな。

  あんまり離れるのも良くないでしょ。」

「それもそうだのぅ。」


 カノアが私達を連れてきたのは、大きなドームだった。

 カノアがどんどん進んでいくので私達もついていく。

 しばらく進んで着いたのは、9つの席が置かれた円卓だった。

 既に8つの席には、他の龍王が座っていてこちらをじっと見てくる。


「これで、全員揃ったな。

 これより、龍王会議を始める!」

 一番背の高い席に座った黒い髪でがっしりした体格の男が号令をかける。

 カノアが一番背の低い席に座り、龍王を一瞥する。

「この度、正式に火龍王になったカノアだのぅ。

 攻略したのは、獣の国(ビーノ)のダンジョンだのぅ。

 隣で立っておるのは、わしと一緒にダンジョンに潜った仲間だのぅ。」


「仲間が人間と獣人か…、お前、それでも龍王か?

 龍王ならば、他の龍と共にダンジョンを攻略するべきだろう!」


 黄色い髪の男がカノアを批判する。

 カノアを批判する声が次々に出てくるが、カノアは特に気にすることなく話を続ける。

「まぁ、言っておることは正しいだろうが、わしの仲間への侮辱ならば、許さんぞ?」

 カノアから殺気が流れ出る。


「といっても、こやつらはわしと同等かそれ以上に戦えるからのぅ。

 こっちのマーガムは、これからが楽しみな強さを持っているしのぅ。

 もう一人のミナは…、この場の龍王全てで戦っても、勝てんだろうしのぅ。」


 カノア、そんな事言ったら、私に敵意が向くんじゃないかな?

 ほら、気のせいかな?

 龍王の視線を独り占めしているような…、いや、している。

 今にも襲いかかってやろうか!と言わんばかりの視線を感じる。


「カノア?私そんな事やらないよ?

 あなた絶対に私と戦いたいからそんな事言ってるでしょ!」

 カノアが視線を逸らすので、逸らした先に移動して眼を覗きこむ。


「すまん…、止めてくれ、わしが悪かったからのぅ…。」

 カノアが謝ったので、覗きこむのを止める。

 そして、私が周りを見渡すと周りの龍王が、決闘を挑んできた。

 なんでも、龍王随一の戦闘狂のカノアが謝るのは滅多に無いらしく、私達と会う前は、弱いから悪い、とか言っていたらしい。

 そのカノアが謝る程の者がどのような強さなのかを見てみたいらしい。


 私は思った。

 めんどくさいなぁ…、と。


 しかし、龍王の権力には、たとえAランクの冒険者といえども逆らえなかったのだ…。


 こうして、決闘(3対1)をすることになり、私は、3人の龍王と戦うことになった。

 本当は1対1だったんだけど、カノアが煽りまくった結果、相手が3人に増えたのだ。

 場所は移動して、闘技場みたいな場所だった。

 ちなみに戦う龍王は、水、風、光の龍王だ。

 カノアは戦う候補から外されていて、すごく悔しそうにしていた。

 わざわざ手の内を見せる必要も無いのだが、強さを見せないとカノアが弱いみたいになりそうだから、ある程度は見せることにした。



「“ウォーターウェーブ”」

 青い髪の女性が、水の攻撃魔法を発動して、私に水で出来た激流をぶつけにくる。


「“ラヴァストリーム”」

 私は、激流に溶岩流をぶつけて相殺する。


 水が蒸発して、水蒸気が発生して視界が悪いが、《剣域》のおかげで何処から攻撃が来るか分かるので《剣域》先生さまさまである。


 白い髪の幼女が光のレーザーを放つ。

 持ち前の移動速度で避けるのだが、レーザーが曲がって、私を囲う牢のようになった。

 どうやら、水で鏡を作り、それに光のレーザーを当てることで曲げてきたのだろう。


 私は慣れない闇魔法を使用する為に詠唱を開始する。

「それは全てを飲み込み、何も産み出さない。全てを逃がさない重力よ、ここに顕現せよ!“ブラックホール”」


 私を囲う光だけが吸い寄せられる。

 この魔法はどうやら対象を選択出来るようで、私や相手の龍王はまったく吸い寄せられない。


 風魔法で緑の髪のおっさんが攻撃してくるが、ブラックホールに全て吸われた。


 全ての龍王を《神速抜刀》で峰打ちすることで、意識を刈り取る。


「良かろう。

 お主の力は認めよう。」

 黒い髪の男がそう告げると、全員が円卓のある場所に戻っていく。


「カノア、今回は許してあげるから、次はやらないでね? …ね?」

「わかっておるのぅ。

 お主の力を他の龍王達も認識し直しただろうからのぅ。」


 カノアの思惑通りに事は進んだようだ。


 そのあとは、カノアの火龍王としての仕事を決めたりした。

 仕事は、ギルドで依頼をこなすだけでいいらしい。


 カノアは龍王と話し合い、席を立ってから宣言する。

「わしはここに誓う。

 わしは火龍王として、人を導いていく事を、そして、ミナと一緒に旅をすることを!」


 他の龍王が、ばっ! とカノアを見る。

 しかし、契約魔法は既に起動してしまっている。

 カノアが私達と旅をする。

 という契約が成立したので、カノアは火龍王でありながら、私達と旅が出来るのだ。


「では、逃げようかのぅ!」

 私達はカノアに手を引かれて、その場をあとにした。



□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


 残された龍王達は思った。

 もともと戦闘狂の火龍王にやらせることなんて無いのだから、旅に出るならそれでよし!

 そう思ったので誰も火龍王を追うことはなかった。

木曜日くらいに全話を見直して修正などをする予定です。

一日一回更新そのままでやるので時間かかるかも知れませんが。

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