第26話 獣の国からの脱出
~国王との謁見当日~
私達が宿から出てカノアと合流するとカノアが、
「ダンジョン攻略出来たから、正式に龍王になれるのでのぅ、龍の国に行って龍王になりたいのだが、龍の国に向かわせてはくれぬかのぅ?」
「私達も一緒に行くよ。
カノアの晴れ舞台も見たいし、龍の国にもダンジョンはあるからね。」
「ありがたいのぅ!
盛大に歓迎するので期待してほしいのぅ!」
次に向かう国は龍の国に決定だな。
マーガムとカノアのお願いは出来る限り聞いてあげたい、そう思っているから即決だった。
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私達は国王と謁見するために王城に来た。
前回来たときよりも兵士の数が多い気がする。
私達は案内役の兵士に連れられて、謁見の間へ入る。
「よくダンジョンを攻略してきたな。
どうだ、国に仕官せぬか?今なら待遇も善くしてやれるぞ?」
「勧誘はお断りだのぅ。
そもそも、ミナ達にはわしが唾つけとるでのぅ。」
「すみませんけど、国に仕官する気はありません。
あとカノア、あなたも勧誘しないで。
もう仲間なんだから…。」
「………それもそうだのぅ。
龍王になってもお主達と一緒に旅をするからのぅ!」
カノアが嬉しそうな声を上げるが、龍王の職業的には大丈夫なんだろうか?
まぁ、カノアが大丈夫そうだから大丈夫なんだろう。
私達は拒否するが、中々に国王がしつこい。
「ならば、この獣の国から誰も傷付けずに出てみせよ。
1日以内に門から出られたならば、仕官の話は無しにしてやろう!」
国王がそう言うと国を半透明なバリアが覆う。
「えっ?!」
「お主、本気か?!
わしらを逃がさない為だけに“国防壁”を使うなど!」
“国防壁”とは、国に居るすべてのMPを少しずつ分けてもらうことで発動に必要なMPを貯めておき、発動すれば龍の攻撃ですら防ぐバリアのことを言うらしい。
カノアが説明してくれた。
それを聞いて私が思ったのは、元○玉のバリア版だったのだが間違ってはいないだろう。
つまり、この国王は確実に私達を国に仕官させたいのだろう。
カノアは龍王で、私とマーガムはダンジョンを2つ攻略している。
カノアから聞いた話だと、ダンジョンは1回攻略しただけでも英雄の資格があるらしい。
………まぁ、英雄なんてなりたくないし、資格も無い。
本当に守りたいものを守れないのに英雄なんてふざけてるとしか思えない。
とにかく、ダンジョンを2つ攻略した時点で、各国から引っ張りだこの人材になってしまったのだ。
私達はカノアのお願いを聞いて龍の国に向かう予定なのだ。
絶対に門から出て龍の国に向かう。
そう心に決めて王城から出る。
国防壁の力を信じているのか、兵士は誰も邪魔してこなかった。
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私達は国防壁の張られた門の前に来ていた。
国民からの妨害が凄かった。
泣きついてきたり、すがりついてきたり、私の見に覚えのない子どもがママと呼んできたりで精神的にキツかった。
………なんでママなのさ…、お姉ちゃんくらいの歳だよ私……。
ちなみに、国防壁をどうにかして門から出るプランはある。
1、超巨大オーガブレードで門ごと国防壁をぶち壊す。
2、そもそも《縮地》で移動すれば出られる気がする。
3、聖剣で《神速抜刀》すれば斬れそう。
とりあえず、1は被害が凄そうだから無しの方向で、2から試してみようかな。
私が《縮地》を門の外に設定してから一歩踏み出した。
………出れた。
マーガムとカノアに手を振ると振り返してくれる。
隣に立っていた衛兵や、門番が顎が外れるほどに口を大きく開けていた。
私はすぐに《縮地》を使ってマーガム達の近くに戻る。
そして、マーガムを背負って、カノアをお姫様抱っこ(脇に抱えようとしたら拒否された。)して、《縮地》を発動して門の外に出た。
衛兵が王城へと走っていく。
一応、難癖付けられるのも嫌なので、聖剣で《神速抜刀》を使い、刀身を見られること無く国防壁を切り刻んで、カノアとマーガムも一緒に門を出入してから、龍の国へと向かった。
「それにしても、ミナのスキルは頭のおかしいのが揃っておるのぅ!
是非とも戦いたいもんだのぅ!」
「頭のおかしい…、いや、そうなんだけど…。
もうちょっとオブラートに包んで欲しいかな…。」
「ぬ?
なら、わしの闘争本能がすごく刺激されるすばらしいスキルを持っているのだから、すぐ戦おう!」
カノアがにじりよって来るので後ずさっていると、背中に木が当たり後ろに下がれなくなる。
《剣域》は使っていたんだけど、カノアの勢いがすごく、《並列思考》も武器の構想を練っていたので、木があるのに気が付かなかったのだ。
カノアが、壁ドンならぬ、木メリ(木に手がめり込んでる)を発動した。
「のぅ、今すぐに戦いたいのだがのぅ。」
そう言ってからカノアが私の首を舐めてきた!
反射的に平手打ちをしてしまい、カノアが吹き飛んで気絶していた。
しばらくしてカノアが意識を取り戻す。
「んぅ…、ミナさっきはすまんかった。
ちょっとテンションがおかしかったようだのぅ。」
「ちょっとじゃなくて、かなりおかしかったけど大丈夫?」
「もう大丈夫だのぅ。さて、龍の国へと向かうとしよう。」
そう言うとカノアが、髪の毛と同じく炎のような赤色の西洋ドラゴンへと姿を変える。
私とマーガムはその上に乗り、龍の国を目指してカノアが飛び立ったのだった。




