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勇者から逃げだした聖剣  作者: 黒一忍
第三章 獣の国
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第25話 悲しみを越えて

 私が泣き止んだ時、少年が近づいてくる。


「すみません、僕が弱いばかりに試練の挑戦者に邪神の眷族と戦わせてしまうような事になってしまい、本当にすみませんでした。

 ダンジョンクリア報酬のスキル、《魔力変換》です。」


《魔力変換》

 MPを1消費して、ステータスを1上昇する。

 また、MPを規定量消費して、一時的に物質化させることが可能になる


 マーガムの《身体強化》のような使い方から、物質化も出来る上位互換のようなスキルだった。


 だけど、スキルを貰っても喜べなかった。

 喜びを分かち合いたいマルムはもういないのだから…。

「マルム、マーガム、ごめん。

 マルムを、守れなくて、ごめん、なさい。」


 私は立ち上がることが出来なくなっていた。

 すると、マーガムが私の肩を掴んで、

「立ち上がらないなんて絶対に、許しませんよ?

 だから、また、一緒に旅をしましょう?

 マルムも、そう願っているはずです。」

 マーガムがそう言って、霊魂石を握り締める。

 私は、マルムの霊魂石と自分に《武器変化》を使用する。


 すると左目が、透き通る蒼色から、霊魂石と同じ白色に変化する。

 マルムが居るような気がする霊魂石を目にすることで、マルムも私達が見た光景を見る事が出来ればいい、そう思ったから。


 霊魂石を目にした時、私の中にマルムのスキルが一部だけ引き継がれていた。



ステータス

名前 ミナ・ルシーナ

Lv108 職業(クラス)剣姫Lv7 16才 女

HP44800 MP56500 SP11700

攻撃力 表示不可

防御力 表示不可

魔法攻撃力 表示不可

魔法防御力 表示不可

素早さ 表示不可


スキル

武器変化

高速回復Lv8

干渉無効

魔力貯蔵Lv8

魔法貯蔵Lv8

魔力ブースト

???


職業(クラス)スキル

剣域

剣聖Lv7

限界突破Lv7

並列思考Lv7

剣舞Lv7

神速抜刀

神速納刀

能力付与

縮地


魔法

回復魔法Lv9

火魔法Lv7

水魔法Lv8

光魔法Lv8

風魔法Lv5


 《能力付与》

 武具にスキルを付けることが出来るスキル


 《縮地》

 自分と目的地までの距離を無くすことが出来るスキル


 まるで、マルムが一緒に居るような気がする。

 私は、マーガムを抱きしめて、もう何も失わないように強くなると誓った。

 私の中に暖かい気持ちと、黒い感情が産まれたことに気付かぬまま。


「すまぬ!

 戦いは、どう、なっ…っ!

 ……本当にすまぬ。」

「カノアが謝ることは無いよ。

 本当に悪いのは、他の誰でもない私なんだから。」


 そう、救える筈の力を持ちながら、救うことが出来なかった自分が何よりも許せない。


 きっと私は、慢心していた。

 私なら、この子達を守ることが出来ると。

 だから私は、マルムを救うことが出来なかったのかもしれない。


 私は後悔し続けるだろう。

 あの光景とマルムの言葉を忘れられるはずが無いのだから。


 私達は魔法陣を使用して、ダンジョンの入り口に戻った。

 ギルドにダンジョンを踏破したことを報告すると、また国王に謁見しなければならない、と言われた。

 国王への謁見は、3日後に決まった。


「のぅ、お主大丈夫か?

 ダンジョンから出てから少し様子がおかしいぞ?」

「そう?

 私は大丈夫だと思うけど…。」

「いや、あんな事があったのだから仕方ないのだが、どうにもお主が大丈夫に見えるようにしている気がするのだ。」


 ………バレてる。

 たぶんマーガムにもバレてる。

 だって、私の手を握って私の顔をじっと見てくるから。


 あのときから私は《並列思考》のほとんどで後悔していて、どうすればマルムを救うことが出来たのかを考え続けていた。

 そして、残った思考で平常運転するようにしていたのだ。


「ねぇ、私はどうすれば良かったと思う?」

 私の口から言葉が出てしまう。

「わしがもっと強ければ、お主だけが戦う状況にせずに済んだ。

 むしろ、お主は最善を尽くしただろう?」

 カノアが拳を血が流れる程、強く握り締めた。

「あのとき、僕は何もできませんでした…。

 だから、ミナさんだけが悩む必要は無いはずです。」

 マーガムは、私の手を強く握ってくる。

「それに、マルムが今のミナさんを見たらきっと、怒りに来ますよ。」

 マーガムが笑いかけてくる。


「そうか…、ふふっ、それもそうだね…、みんなで、強くなろう。

 もう何も、誰にも、奪われないように…!」

「はいっ!」

「だのぅ!」


 私達はようやく前に進む決心が付いた。

 私は2人に抱きついて、ぬくもりを確かめる。


 これからはみんなが笑顔で進めますように、そう私は願わずにはいられなかった。

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